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2009年08月12日

渋滞研究の匠

今回、お迎えした匠は、渋滞研究の匠
西成活裕さん

西成さんは東京大学大院で渋滞の研究をされています。
お盆の帰省ラッシュがすでにはじまっていますが
今日は、高速道路などで、どうして渋滞が起きるのか?
それを防ぐ方法などを教えていただきました。

●渋滞の原因となる最大ものは?


現在,高速道路の渋滞原因の35%(本年度は70%だったという)が
「気付かない程度の緩やかな坂道」です。前を走るクルマが速度を
落とすと,後ろのクルマが少したってからブレーキを踏む。
車間距離を取っていないと急ブレーキとなるため,数十m後方で
やがて流れは止まる。これは「渋滞注意! ここは上り坂」という
看板を立てるだけでも,ある程度は解消できるのです。

また、首都高速道路など、交通の集まる場所では、交通集中による
渋滞が原因の7割ぐらいを占めています。道路は1時間に
最大約2000台しか車を通すことができません。
これ以上の車が集まるとどうしても渋滞してしまいます。

●発生しないように私たちが注意することは?


★車間距離は40m?

車間距離を十分空けることです。
高速道路の場合、車間距離40mが大きな分岐点になります。
これを40m以下に詰めてしまうと、前のクルマがブレーキを踏んだとき、
自分のクルマもブレーキを踏まざるを得ないということが
実験結果などから分かっています。
        
でも、40m以上空いていれば、前のクルマがブレーキを
踏んでも自分のクルマはより強くブレーキを踏むということがないのです。
つまり、後続車に対して「ブレーキを踏む」という連鎖が強まるか、
弱まるかの境目が車間距離40mなのです。言い換えれば、
40m以上空けていれば、後続車にブレーキが弱まって伝わるため、
渋滞は発生しないということになります。

★20キロダウン?

2~3キロ先に渋滞!などという表示があったら、そこになるべくゆっくりと
近づくことです。
例えば20キロぐらいスピードダウンすることで、前方の渋滞を
小さくすることができ、また1km以下の長さの小さい渋滞ならば、
消すこともできます。

これを渋滞吸収走行と呼んでいて、実際に私達はこう走ることで
高速道路でのいくつかの渋滞をとってきました。


●お仕事の予定などは?

新しい本を出しています。
これまでの渋滞研究を分かりやすくまとめたものです。

「渋滞」の先頭は何をしているのか? (宝島社新書)
図解雑学シリーズ 「よくわかる渋滞学」(ナツメ社)


また、9月頃「YOU TUBE」に渋滞研究の映像をアップいる予定です。
急いで渋滞に突入した車と、車間距離とスピードダウンした車との
渋滞吸収の比較映像です。

これを見ると、渋滞は「急がば回れ!ゆっくり行くことが最善」が一目瞭然です。

投稿者 たまなび : 2009年08月12日 17:26

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