12月21日放送分後記

ゲストは先週に引き続き、フリーアナウンサーで押阪忍さんで
した。

いきなりですが、押阪さんをお迎えして思い出したことがあり
ます。私がこの世界に入って、最初の仕事はラジオでした。そ
の時、先輩に言われたことがあります。ラジオは映像がありま
せん。

でも、リスナーに見えないものを見えるように伝えなければな
りません。まず先輩に教わったのが音を聞かせるということ。
玉砂利の道を歩いているのとコンクリートの道を歩いているの
では靴音が違います。音で想像力を広げる・・・。

なんでこんなことを思い出したかといいますと、押阪さんがご
趣味にされている陶芸のコレクションをわざわざ持ってきてく
ださったのですが、ただスタジオで見せて下さっただけではな
く、お茶でかんぱい!とコンコンと音をならすという
おしゃれな演出をしてくださったんです!

前回も書きましたが、この辺の気配りは、そうそう真似ができ
るものではありませんよね。

2押阪 小.jpg


これも前回も書きましたが押阪さんはハンサムで、しかもおし
ゃれな演出を嫌味なくできるスマートな方。
でも、その生い立ちは、お母様を幼いときに結核で亡くされ、
ご兄弟も次々と同じ結核で亡くなってしまい、お父様と末っ子
の押阪さんだけが残されてしまったという何ともせつない過去
をお持ちなんです。

押阪さんは「いわゆるクレイマークレイマーだったんですよ」
と明るく語っていらっしゃいましたが、はじめて聞く私にとっ
てはものすごくショックなお話でした。

押阪さんの気配りの原点は、大きな悲しみをへて、人とのつな
がりがいかに大切かということを心の底から知っているからな
のではないでしょうか?

世界でも数例という難病にかかってしまった奥様のお話も明る
い口調で話されていましたが、悲しみを乗り越えた押阪さんだ
からこそポジティブに語れるのだということを痛感しました。

本当のやさしさや気配りを思い出させてくれた2週間。贅沢な
時間でした。

さて、次回は、今年最後の放送。
2008年を振り返ります。どうぞお楽しみに!

2008.12.22

安藤和津 トークマルシェ

安藤和津さんがさまざまなジャンルで活躍されている方をお迎えして、その時々に興味と関心の高い話題を伺います。安藤和津さんは、エッセイストとして、二人の娘の母として、俳優・映画監督の妻として、CNNの元ニュースキャスターとして、母の介護をしてきた女性として・・・いろいろな視線で優しく面白くインタビューしています。日曜日の朝、トークのマルシェ(市場)へようこそ。


プロフィール

東京生まれ。初等科から高校まで学習院に学ぶ。
上智大学独文科卒業後、イギリスに留学。エッセイストやコメンテーターとしてテレビ番組に出演。夫は、俳優・映画監督の奥田瑛二氏。著書は『女盛りは子育て盛り-Momoko&Sakura』文化出版局、『月うさぎ』奥田瑛二絵、あすなろ書房、『あいうえお-安藤和津の主婦と生活』PHP研究所、『愛すること愛されること』講談社、『てきぱき家事絵本』小学館、『忙しママの愛情レシピ121』講談社、『愛すること愛されること』講談社<講談社文庫>、『さくらうさぎ』奥田瑛二絵、ミキハウス、『オムツをはいたママ-母との愛と格闘の日々』グラフ社、『長い散歩』学習研究社 など