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江上 剛さん 2008年02月11日

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◆ テーマは 団塊世代と経済/お金 ◆
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パーソナリティに 元銀行員で作家の
江上 剛 さんをお迎えしてのテーマは
「数字と経済で振り返る“団塊人生の光と影”」。
 
江上 剛さんは1954年1月生まれの54才。
早稲田大学卒業後、
旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行され
97年のいわゆる
「第一勧銀総会屋利益供与事件」では
広報部、本店審議役として
混乱の収拾に尽力されました。
事件を映画化した『金融腐食列島 呪縛』では
登場人物のモデルにもなっています。
 
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番組スーパーバイザーの弘兼憲史さんと
江上剛さんとは、年齢で7つ違うものの、
サラリーマンから作家業に転向してきた共通項が。
(弘兼)きょうは楽しみにしてました。
(江上)島 耕作に会ってる気分です。
    似てるな! と感激してます。

 
不況からの脱却には団塊世代のパワーを――
(江上)この世代が、またちがうパワーを出せば
    不景気も払拭すると思う。

(弘兼)人数が多いことで、消費するマーケット
    という意味でも 大きな注目を浴びる。
    定年後に僕ら世代が どんな買い物をするか、
    これが経済につながりますからね。

 
日本経済を動かしてきたのは団塊世代――
(江上)日本の時代はこれまで全て、
    “団塊世代が動く”たびに変わってきた。

(弘兼)時代のスポットライトが常に
    僕らの足元を照らしてる――注目されている
    いい意味でのストレスもありますし、
    うっとうしいな、という面もあります。

 
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◆ 1960年 ~ 団塊太郎12才 ◆
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この日の放送では、各パートの冒頭で
エポックメイキングなニュース音声を
お送りして、江上剛さん、弘兼憲史さんに
分析していただきました。
 
オープニングに続くパートの冒頭では
テレビコマーシャルで流れていた、当時の
池田勇人首相の「所得倍増計画演説」
お聴きいただきました。
 
「設備が増える…。生産が伸びる…。
 消費が増える…。所得が増える…。
 減税をする…。貯金をする…。
 雪だるま式じゃありませんか」

 
実質国民所得は3年間で
 12万円から15万円に増えました。

現在、経済成長で注目されている中国と
当時の日本を比較すると・・・
(江上)
 1960年頃は 年率17%くらいの伸びで
 今の中国以上に伸びていた。働いたら働いただけ
 実感できた時代ではないでしょうか。

 
 田舎の一本道を 電気屋さんが 電気製品を
 運んでいくのを 見たのを覚えています。

(弘兼)
 あの時代、電気屋さんが夢の仕事でした。
 ウィンドウの中に、全部、夢が入っているので
 将来 電気屋さんになりたいと思いました。

 
(江上)
 テレビは「神様」で、観音扉に、
 レースのカーテンがついてました。

(弘兼)
 松下電器に入った時の初任給が4万円台、
 2年目に8万円台、3年目に11万円台・・・
 恐ろしいくらいに
 ドンドン上がったのを覚えています。

 
高度成長期に突入する前はどのような時代だったでしょうか
――1953年に テレビが登場し、
55年には炊飯器、トランジスタラジオ、
トヨタが自家用車「クラウン」を発売・・・
56年に「もはや戦後ではない」が流行語に。
 
(江上)
 54年に自由貿易の世界に入り、
 国際社会と自由に 物の物流 ができるようになり
 成長の基盤ができた。
 そして58年に長嶋茂雄がデビュー、
 ミッチー・ブームで白黒テレビが一気に売れた。

 
当時は 大卒の初任給が1万円未満、
テレビ受像機の価格は20~30万円の時代――
  
●日本の漫画文化は「読み手」としての
団塊世代が作った――。

(弘兼)
 中学生になるとお小遣いで漫画が買える。
 しかし、月刊誌では高いので、4分割して
 30円くらいで買える週刊誌に。
 社会に出る頃には青年誌が作られる…。
 世界で 大手出版社が漫画を作っているのは
 日本だけ。しっかりマーケティングリサーチが
 されて 漫画文化を創っている。

 
 「描き手」として 手塚治虫さんをはじめ
 ときわ荘に集まった天才集団がいらっしゃて
 団塊世代の「読み手」、そして「出版社」
 3つが うまく重なって日本の漫画文化の
 基礎を作ったと思います。

 
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(江上)
 あの頃、月刊誌の付録が楽しかったんです!
 
当時の付録というと・・・ラジオキット、
紙飛行機セット、漫画のほかに「読み物」も・・・。
(江上)
  “タイムマシンで恐竜の世界に行く”という
 読み物があって、本当の記事だと思っていました。

 
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◆ 1964年 ~ 団塊太郎16才 ◆
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このパートの冒頭では
東京オリンピックの実況をお聴きいただきました。
 
アジア初のオリンピックは大成功。
新幹線が開通し、大学初任給は3万円に到達。
カー、クーラー、カラーテレビの「3C」が売れ、
自動車の保有台数は1千万台を突破。
大型消費時代が到来し、「いざなぎ景気」へ・・・。
 
東京五輪開催当時の弘兼さんは高校2年生、
江上剛さんは小学生。
(江上)
 近所のかわいい子の家にテレビがあって、
 ボート競技を見たり・・・。

(弘兼)
 当時のカラーテレビは「赤青黄色」しか
 見えなくて…「カラー放送です」と書いてありました。
 電波状態が悪かったり、技術がまだ低かった…。

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◆ 1969年 ~ 団塊太郎21才 ◆
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冒頭では「東大紛争」の当時のニュース音声を
お聴きいただきました。
 
(江上)
 68年に日大から火が吹き、翌年東大紛争。
 当時、日本はベトナム戦争のおかげで
 経済成長しているという反省、それから
 公害病がたくさん出てきて、
 成長に対して「これでいいのか?!」と
 団塊の世代の人たちが 自意識を持って、
 自分たちの主張を始めたのが
 学生紛争だったと思います。

(弘兼)
 もっと遡れば66年に早大闘争がありました。
 入学試験の時は 機動隊の山の中を
 “受験票を掲げながら”入って行ったという
 たいへん楽しい受験でした。

 
(弘兼)
 あの頃の学生運動は、
 一人が手を上げると みんながワッと手を上げる、
 ある種の“ファッション性”があって
 「片手に少年マガジン、片手に朝日ジャーナル」
 という言葉があるように、漫画を読みながら、
 高度成長でいい生活をしながら、
 でも「社会は悪い!」というムードでした。

 
(江上)
 就職試験の時に、
 「君は学生運動をやったのかね?」と聞かれて
 「やってません」と言うと
  「根性がないヤツ」と言われ
 「やってました」と言うと、
  「君は立派だ。うちに来てくれ」と
  言われたような時代でした。

実はこの時代に弘兼さんと江上剛さんが
出会っていたかもしれない・・・そんな事実が判明。
69年、新宿駅西口では 所々で
ディベートの輪ができ、その輪の中へと入って、
論破されては、落ち込んで、勉強しては再び参加…
という毎日を過ごしていた弘兼青年。
高校生となり、上京していた江上剛さんは
この新宿西口で開かれた フォーク集会を
座って見ていたのだとか。
(江上)
 僕は座っていただけ。
 弘兼さんは 本格的だったと思います。
 ♪僕は悲しい受験生~ とか
 歌っていた時代じゃないですか?

(弘兼)
 高石ともやの「受験生ブルース」ですね(笑)
 
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◆ 1995年 ~ 団塊太郎47才 ◆
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団塊世代の挫折・・・
冒頭では「第一勧業銀行総会屋事件」
ニュース音声をお聴きいただきました。
 
この事件の発覚前から
事態の収拾に奔走していたのが江上剛さん。
(江上)
 今まで一生懸命働いて自分達が作ってきた
 企業社会の結果、銀行は総会屋に利益を与え、
 自分たちはリストラの憂き目にあう 時代に入り、
 「失われた10年」と言われます。

 
当時の総会屋の話題の中では、
江上さんが 警察の保護対象になっていた
エピソードをご紹介くださいました。
(江上)
 脅迫状が届くんですが、
 脅迫状のの“匂い”がするんです。
 封筒に品がなく、字が汚かったり・・・。
 指紋をつけないように交番に届けました。

 
その場だけを しのぐ“問題の先送り”体質は
もはや限界に達していた・・・。
銀行の体質に 大掛かりな“外科手術”を
施す きっかけとなる事件でした。
(江上)
 大蔵省が財務省に変わり、
 制度もいろいろ変わりました。

 
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◆ 1997年 【 団塊リポート 】
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冒頭では「山一證券自主廃業」
ニュース音声をお聴きいただきました。 
 
「団塊リポート」として、かつて山一證券にお勤めで
現在は千葉県館山市でペンション「きやっせ」
経営されている、現在63才の谷川さんに
電話でお話を伺いました。
 
自主廃業が発表された当時は52才。
率直な感想は?
「破産・倒産ではなく、自分から会社をたたむ
 というのは、どうしてなのか?
 会社がなくなる ということでびっくりしました」

 
2千億円以上の負債を隠した「飛ばし」
原因と聞いて――
「当時の上層部は、会社を守るという
 動機なんでしょうけど、
 証券市場の中心にいる証券会社の人が、
 そういうことをやったのは非常に残念」

 
証券会社を辞めた際、これまでのキャリアを生かす
転職コースを選ばなかったのはなぜ?――
「入社してから ずっと日本経済も伸びて、
 いい時代を過ごしましたが、バブルが弾けてから
 働けど働けど 赤字 という状況が続き 飽きていた」

「未練はなく、定年になったら田舎暮らしを、と
 考えていたので、思い切ってやめようと…」

 
あれから10年がたって・・・
ペンションを訪れるお客さんは
大半が当時を知っている人、そして かつての
お仲間も集まり、必ず 昔の話が弾むのだとか。
 
(弘兼)
 (谷川さんのように)バブルの崩壊によって
 自分の歩んでいた人生を切り替える
 いいきっかけになった方もいる。
 「人間万事塞翁が馬」ですね。

 
(江上)
 変な言い方ですが、
 かえって“潰れてよかった”と思えるような
 自分の また違う魅力が発揮できてよかった、
 という人も 何人もいます。

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◆ 2008年 ~ 団塊太郎60才 ◆
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現在――。
消えた年金問題、格差社会、地球温暖化・・・
団塊太郎の第2の人生はどうなる・・・?
(弘兼)
 団塊世代だけでなく、
 一般の方も大変ですが…。

 
●経済の最大の問題点は――
(江上)
 「グローバル化」といいますが、
 日本の大企業は 安いところで生産、
 高く買ってくれるところに売る――。
 日本の従業員の取り分が少なくなってきた。
 これが問題。

  
●「環境」が大きなポイントに――
 話題は CO2削減目標を定めた
 「京都議定書」から「環境問題」へ。
 
(江上)
 ヨーロッパの人は「環境」のルールを
 自分達で決め、ルールを決めれば決めるほど
 儲かる仕組みになっている。
 日本人は これ以上 減らしようがないんです。

(弘兼)
 日本のCO2削減目標6%に対して、
 ヨーロッパは8%とか10%。
 「ヨーロッパはよくやっている」かというと、
 そうではなくて、日本は“絞りきった”状態から
 さらに6%削減しなければいけない。
 体重100キロの人と60キロの人で
 10キロ減らすのは、どっちが楽か
(という話)。
 
(江上)
 日本はマジメだから、
 本気でCO2を削減しようとしているけど、 
 外国はCO2を お金に替えようとしている。
 日本も戦略的に“本当にCO2を削減しながら
 経済も成長する方法”を考えないといけない。

 
(江上)
 中国では“日本が中国のCO2を買いにくる”
 という笑い話もあるんです。

 
(弘兼)
 日本がこれからCO2を14%減らすのは
 ハッキリ言って無理なんです。
 日本が目標を達成するには
 (日本が技術を提供して)よその国の
 CO2を減らせば、その分、日本が
 CO2を減らした――ことになっています。

 
(江上)
 環境と経済成長はリンクさせないといけない。
 CO2の次は「水」が大変になってきます。

 
地球規模の環境問題と 日本が抱える経済問題が
結びつきました。
ここに不景気を払拭するためのヒントが・・・。
ここで 力を発揮することができるのが
「団塊世代」という江上剛さんのお話。
皆さんはどのように感じられたでしょうか。
 
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◆ エンディング ◆
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あっという間の2時間が過ぎました。
(江上)
 とっても楽しかったです。
 “生弘兼さん”にお会いできて感動してます。

(弘兼)
 面白かったです。
 同じ サラリーマンから作家になった立場ですので
 “執筆の秘訣”も伺いたいです。

 
●番組をお聴きの方、団塊世代の方へのメッセージ
 
(江上)
 団塊世代は、それぞれの時代を作った人たち。
 
 インドネシアなど アジアを取材して一番感激するのが
 (団塊世代の人達が)自分が磨いた技術を
 地域の人たちに教えていること。
 「この人たちは、ますます活躍するな」と思いました。
 団塊世代には、大卒でなくても 技術を持った人が
 たくさんいます。世界も ますます そうした人を
 必要としているので、世界で活躍すれば、
 日本の評判も もっともっとよくなる。
 もうひとがん張りしてほしいですね!

 
(弘兼)
 頑張らないと。
 
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◆ 次回の「団塊倶楽部」 ◆
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次回の「ドコモ団塊倶楽部」は
3月20日(木=春分の日)
午前11時から
の放送です。
パーソナリティーには 山本コウタローさんを
お迎えしてお送りいたします。
どうぞお楽しみに!!
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◆番組の中でおかけした曲目◆
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紅孔雀 主題歌
恋の片道キップ / ニール・セダカ
君といつまでも / 加山雄三
花のサンフランシスコ / スコット・マッケンジー
地上の星 / 中島ゆみき
Bali Moon / Temiyan
オリノコ・フロウ / エンヤ
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「ドコモ団塊倶楽部」は熱い青春時代からラジオを お聞きいただいている団塊世代の皆様に、心地よい 音楽と話題にのせてエールを送り続けている番組です。 番組は毎月1回の放送で、2005年1月よりスタート、 あの頃も、そして今も輝き続ける団塊仲間の方のお話 を伺ったり、懐かしい時代を紐解いてみたり・・・・。 レトロに浸る心地よさと同時に、今をそしてこれからを 楽しんで生きる気分をお届けしています。 番組のスーパーバイザーは1947年生まれ団塊ド真ん中・ 漫画家の弘兼憲史さんと団塊ジュニアを代表して石川真紀アナウンサー。

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