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2009年06月05日

第18回~宇宙~

皆さん、こんばんは

お休み前のひととき、いかがお過ごしになりましたか?

今回も番組を振り返っていきましょう。

第18回は宇宙をご紹介しました。

星空を見上げると、その天頂近くに、光のしみのような天体がかすかにほのめいています。
私たちの銀河系、天の川の最も近くにある巨大銀河、『アンドロメダ銀河』です。
お隣さんとはいえ、地球からの距離は230万光年。
そんなところにある天体を、私たちが見ているということは、今から230万年前の遠い昔にこの天体を
旅立った光が、230万年かかって、いまようやく私たちの瞳に到達したということです。

私たちが夜空の星を見ているとき、視野の中には、地球に近い星も、遠い星も、同時に入っています。
ということは、『いま』という瞬間に、遠い過去から近い過去までの時空の広がりを
同時に見ていることになります。
この考えを、目には見えない電波にまで広げれば、私たちの体には、137億年前に起きた
宇宙の始まり、『ビッグ・バン』の残り火である宇宙電波も降り注いでいるわけですから、
私たちは宇宙が始まって以来のすべての情報の海の中にいることになります。
すなわち、私たちが星を見るという営みは、はるか宇宙の彼方に至るまでの137億光年という
途方もない時空の広がりを、『今』という一瞬に凝縮して体験しているということです。
そういえば、『人間は考える葦(あし)である』という有名な言葉を残したフランスの哲学者パスカルが、
こんなことを言っています。

「人間の尊厳は、一瞬のうちに全宇宙への想いをめぐらすことが出来るところにある――」

たかだか100年くらいの人生しか送れない私たち人間が、一瞬のうちに宇宙のすべてと向き合っているということは、実に不思議です。と同時に、時空のひとしずくにも満たないちっぽけな人間の、
大きな存在の意味のようなものを考えずにはいられません。


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投稿者 agqr : 2009年06月05日 11:21

 

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