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2008年03月25日

<浜松町かもめ亭 川柳川柳喜寿記念会>!

先週の金曜日(3/21)、文化放送・メディアプラスホールにて
「第15回 浜松町かもめ亭 川柳川柳喜寿記念会」が開催されました。

番組は以下の通りです。

<浜松町かもめ亭 川柳川柳喜寿記念会>

立川こはる   『真田小僧』
快楽亭ブラック 『川柳の芝浜』
川柳川柳    『首屋』
     中入り
喜寿三本締    川柳・圓丈・ブラック
三遊亭圓丈   『夢一夜』
川柳川柳    『ジャズ息子』


助演をしてくださいました圓丈さんは川柳さんの元弟弟子(六代目圓生門下)、ブラックさんは川柳さんと同じくインディペンデント系(あるいはマイノリティ系)の落語家として知られている御仁。なんともディープな顔合わせの会ではありました。

川柳さんの『ジャズ息子』は『ガーコン』と並び、戦後新作落語の大傑作であり、また川柳さん生涯の代表作です。当夜の出来も喜寿とは思えぬ調子、唄声、台詞が冴えわたり上々の出来でしたが、私はもう一席の古典落語『首屋』にヤラれました。

金に困った男が自分の首を売ることにするという不思議なタッチのこの噺(なんとなく高橋葉介の漫画の世界みたい)時間にして十分にも満たない小品ですが、巧い人が演るとえもいわれぬ味わいがあって大好きです。

川柳さんの口演で、もっとも心にしみ入ったところは、首を売る男がいよいよ斬首される段になり、お屋敷の庭に着座すると一言「もう一遍、世間が見たいんで」と言い、門番にお願いして表通りをちょっと見ます。しかし、何が起きるわけでもなく「へい、有り難うございました。なに、そんなに好きな世間でもなかった・・・」といって首筋をかきあげるくだり・・・。
開けられた門から表を見ている、何もない顔付き、そしてふっと我に返っての述懐に川柳落語の五十数年が見事に結晶されているような思いがしました。

謡曲の『江口』ではありませんが、人の世が「思えば仮の宿」であることをわからせてくれる落語とでも言えばいいのかな・・・浮き世のややこしいあれやこれやのを離れたところから眺めて、サラッと語ってしまう視点が川柳落語の根底にはあるんですよねぇ・・・。
急転直下のサゲまで、最高に贅沢な数分間でした。

(会全体の詳しいレポートは「浜松町かもめ亭 公式サイト」に近くUPされます)

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・・・というような感動の高座だったのですが、終演後の打ち上げでは川柳、ブラック両先生が「お○○こ」という日常生活ではあまり耳にすることもない単語をを三十回くらい仰ってくださいましたので噺の余韻もちりぢりになってしまいました!

Tejime.JPG
1・中入り後の高座で、川柳・圓丈・ブラックによる手締めが行われました。

20080321.JPG
2・打ち上げにて。左から川柳さん、快楽亭正日(ブラック門下の前座。なんと一番太鼓も叩けない)、立川こはる、快楽亭ブラックさん。

Minasan.JPG
3・左からブラックさん、わたし(松本尚久)、笹木美きえ師匠(下座)、石井徹也さん(後方)、川柳さん。まだあまり飲んでないのかな。これだけみると平和そうな雰囲気なんだけど・・。

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さて。今後の予定です。

■ 4月24日(木) 第16回 浜松町かもめ亭 柳家の会
  出演 柳亭市馬 柳家小袁治 柳家三三  ※ 小袁治・市馬兄弟弟子トーク有り。

■ 5月23日(金) 第17回 浜松町かもめ亭 寿輔・喜多八二人会
  出演 古今亭寿輔 柳家喜多八 二席づつ

■ 6月30日(月) 第18回 浜松町かもめ亭 日向ひまわり真打昇進披露会
  出演 神田ひまわり改め初代・日向ひまわり(二席) 春風亭小柳枝 瀧川鯉昇

■ 7月7日(月) 第19回 浜松町かもめ亭 立川生志真打昇進披露会
  出演 立川笑志改め初代・立川生志 立川志の輔 立川談春

■ 8月29日(金) 第20回 浜松町かもめ亭 怪談噺の会
  出演 柳家喬太郎 五街道雲助 

前売り情報などは当ブログおよび「浜松町かもめ亭」公式サイトでお知らせをいたします。皆様のご来場をこころよりお待ち申しあげます。

                               松本尚久(放送作家)

投稿者 落語 : 2008年03月25日 23:06