過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分
「台風の話」(1)
コーチャー/山口宗彦さん(気象庁気象研究所)
気象庁気象研究所 台風研究部のHPはコチラ>>http://www.mri-jma.go.jp/Dep/ty/ty-sjis.html
大村正樹&山口宗彦

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今回は台風を取り上げます。9月30日の日曜日の夜、関東地方のみんな、怖かったでしょう? 今年も台風たくさんやってきました。台風っていったい何なのか? 詳しいサイコーにお知らせの後、聞いてみるよ。


大村正樹

今週のサイコーは、気象庁気象研究所の山口宗彦さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

気象庁の方なんですね。

そうですね。


大村正樹

気象研究所は霞が関にあるんですか?

ではなくて、気象研究所は気象庁の一部ですが、茨城県のつくば市にあります。


大村正樹

じゃあ、今日はつくば市のほうからお見えなんですね。山口さんは、講談社から『台風の科学』という本も出版されてます。台風は9月の終わりですかねぇ。東京も夜、すごいことになりました。

そうですね。ちょっとびっくりしましたね。


大村正樹

さて、台風は、台湾のあたりから来るから「台風」というと、私は子どもの頃から聞いてるんですけれど。

諸説いろいろあって、それも一つの説です。


大村正樹

ほんとですか(笑)。

例えば、アラビアの神の名前に似ているとか、いろいろ諸説あって、僕も正直わからないんですけれど、ただ英語で台風はTyphoon(タイフーン)ですよね。


大村正樹

タイフーン。

その台風とタイフーンが似てることから、語源は一緒なのかなとか。


大村正樹

日本で台風といわれる前から、英語ではタイフーンといわれてたんですか?

どっちが先なのか僕はよくわからないんですが、面白いことに日本語でも台風、英語ではタイフーンと非常に発音が似ている。


大村正樹

ハリケーンとかサイクロンとか聞きますよね。そもそも、台風の定義は何ですか?

台風の定義を知るためには熱帯低気圧の定義を知る必要があって、私たちが住んでいる日本はだいたい北緯でいうと30度から45度帯。こういう緯度を中緯度といっています。


大村正樹

東京は北緯35度ぐらい。

そうです。そういった中緯度で発生する低気圧を温帯低気圧と呼ぶんですね。天気図とかで「低」という漢字で丸くククってあるのを見たことあると思いますが、あれが温帯低気圧に相当するんです。


大村正樹

はい。

一方、もっと南、熱帯のほうの海面の水温が温かいところで発生する低気圧を熱帯低気圧と呼んでるんです。その熱帯低気圧のうち最大の風速が17.2メーター以上になったものを台風というふうに呼んでいます。


大村正樹

何ですか、その17.2という中途半端な数字は?

ハハハハ。これは、アメリカではノットという単位が使われていて、それだと34ノットという数値で、m/s(メートル・パー・毎秒)に変換すると17.2という数字が出てくるんです。


大村正樹

日本や東南アジアに影響を及ぼすのに、アメリカ基準なんですか?

国際の基準があります。世界気象機関(WMO)という機関があって、そこで「この強さになったら、こういうふうに呼ぼうね」とか世界共通の取り決めがあります。


大村正樹

決まってるんですね。1号2号とか19号とかあるじゃないですか。この間9月30日に東京に来たのは17号でしたっけ?

そうですね。


大村正樹

あの番号は何ですか? 何号まであるんですか?

あれは、できればできただけ番号がつくようになっていて。


大村正樹

ええ。

1年間に平均すると、だいたい26個の台風が発生するといわれています。


大村正樹

へぇ〜。じゃあ、今年はまだ年平均まで及んでないですね。

そうですね。だいたい今の状況だと平年並みか、やや多いぐらいになっています。


大村正樹

えっ、多いんですか! だって26個でしょ。まだ20個ぐらいですよ。

まだ10月11月12月がありますから。


大村正樹

そうなんですか。まだ12月まで台風発生の可能性があるんですか?

あります。


大村正樹

えぇ〜!

驚くことに、例えば12月30日ぐらいに発生して、年をまたいで1月の初旬に消滅する台風もあるんですよ。


大村正樹

台風はイメージ的に10月ぐらいで終わるかと思っていた。

いえ、そんなことないです。


大村正樹

冬も来るんですか?

冬も来ます。


大村正樹

へぇ〜! 一番遅く日本に影響を及ぼした台風って何月ぐらいですか?

それはちょっと…(笑)。


大村正樹

急に聞かれてもわからないですか?

急に聞かれてもわからないですけれど(笑)。でも日本に影響があるという意味だと、冬に発生しても日本に影響する可能性は非常に低い。やっぱり台風の移動は台風の周りの気圧配置、風の流れによっているので、冬に発生したものはなかなか日本まで、北に上がって来れないというような状況があります。


大村正樹

なるほど。日本のニュースにはならないまま終わっちゃう台風もあるということですね。

そうですね。例えば春ぐらいに天気図を見て「台風5号が発生しました」と。「もう今、何で5号になってるの?」というのは、実は1月2月3月4月ぐらいには1から4号まで発生していて、日本に影響があるのは3号とか4号ぐらいなので。


大村正樹

なるほど。そうか、じゃあ年平均で26個台風は発生して、10月13日の段階ではまぁ例年よりも多いということですね。

やや多いぐらいですね。


大村正樹

気象用語の中で最も威力の強い台風は、何て表現されるんですか?

超大型で猛烈な台風と表現します。


大村正樹

超大型で猛烈な台風! それは具体的な数字−ヘクトパスカルとかありますけれど、どういうことですか?

風の強さに応じて、強い・非常に強い・猛烈というふうに階級分けをしています。


大村正樹

猛烈とは、風速のことですね。

そうですね。猛烈となりますと105ノット。m/s(メートル・パー・毎秒)に直すと54メートル毎秒の風が吹くと猛烈な台風というふうに表現します。


大村正樹

ちなみに東京も台風の影響を受けますけれど、これまでの台風のイメージとして上陸の多いのは沖縄とか南のほうですよね。

そうですね。ただ上陸という言葉は、本州の海岸線に台風の中心が到達した時を上陸というので、島などに台風の中心が到達してすぐ海に抜けるような場合は通過というふうに呼んでいます。


大村正樹

ふ〜ん。台風の上陸が多い場所はありますか?

はい。過去20年間で台風の上陸回数が多い県ベスト3をあげると、1位は鹿児島県、2位は高知県、3位が和歌山県となっています。


大村正樹

ほぉ〜。いずれもよくニュース中継で観た場所ですよねぇ。

そうですねぇ。


大村正樹

沖縄ってイメージとして台風が多い感じですけれど。

沖縄の場合は、上陸とはいわず通過というんですね。


大村正樹

そうか、陸が少ないから。

そうですね。すぐ海上にまた抜けてしまうので、通過という表現を使っています。


大村正樹

鹿児島、高知、和歌山に上陸が多いんですね。

はい。


大村正樹

わかりました。もう台風のシーズンは終わったと勝手に思ってましたけれど、まだまだ冬場も台風が来るということで、ちょっと興味深いお話でした。今週のサイコーは、気象庁気象研究所の山口宗彦さんでした。ありがとうございました。

ありがとうございました。


大村正樹

これまで日本に上陸した台風で一番被害が大きかったのは、1959年の伊勢湾台風。この時は台風15号で、死者行方不明者5,098人ということなんですね。今はこういう人がいらっしゃるので台風の予知は早くなりました。みなさんも警戒して備えることが大事だと思います。ということで、来週も夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を。じゃあね!