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過去の放送分 過去の放送分 2008 11月8日 放送分
「新エネルギーの話」(2)
コーチャー/寺門和夫さん(科学ジャーナリスト)
大村正樹&寺門和夫
大村正樹
キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。今日のテーマも新エネルギー。石油などに替わる新しいエネルギーの話を聞いていきたいと思います。キッズのみんなが大きくなって「エネルギーがない」という時代が来ないために、今、専門化の方たちが色々と準備されているそうです。今週のサイエンスコーチャー(サイコー)も科学ジャーナリストの寺門和夫さんです。こんばんは。
こんばんは。
大村正樹
先週、太陽電池の興味深い話を聞いて、「もっとこういう所にも太陽電池がありゃいいなぁ」と思った1週間だったんですが、太陽光の使い道はもっと色々あるわけですよね?
そうですね。太陽のエネルギーで地球は暖められていますが、色々な気象現象は太陽によって起きていることが非常に多いんです。太陽光発電も太陽から来る光を利用して電気をつくるわけですが、それ以外には太陽熱発電というのもあります。
大村正樹
太陽熱発電。
  これは太陽の光が持っている熱エネルギーを使います。例えば、みなさんも実験でやったことあると思いますが、レンズで太陽の光を集めた所に紙を置くと燃えますよね。
大村正樹
焼いた、焼いた。
  つまり、太陽の光はわれわれが浴びている分には多少暖かいぐらいですけど、1ヶ所に集めるとものすごく高い温度になるのです。巨大な反射鏡で太陽の光を1ヶ所に集めて、その熱を利用して発電するのが太陽熱発電です。ですから、これは太陽電池とは全く別の仕組みで発電をするものなんです。
大村正樹
なるほどねぇ。メカニズムは似てるかと思ったんだけど、ちょっと違うんですね。でも太陽の暖かさを利用しているということですよね。
はい。太陽の暖かさを利用しているものの中には、海洋温度差発電というものもあります。
大村正樹
海の温度の差ですか?
  そうです。例えば熱帯の海は、太陽の光を受けてすごい暖まってますね。ところが、海の深いところは冷たい。つまり海面近くと海底のほうでは、温度の差がかなりできるわけです。この温度差を利用して発電しようというのが海洋温度差発電です。
大村正樹
海の上の方が暖かくて下のほうが冷たいというだけで、なぜそこから電気が生まれるんですか?
  ちょっと複雑になるんですが、暖かい海水と冷たい海水を汲み上げて、ひとつの装置の中で色々なガスなどを回転させて電気を取り出すという仕組みです。
大村正樹
いわゆる水力発電と同じような?
  ちょっと違います。温度差からエネルギーをとるというものです。
大村正樹
分かんないですよ。それは、これからポピュラーになる発電方法ですか?
  ただ、これは場所が限られている。つまり熱帯に近い所じゃないと、なかなか温度差ができないので。
大村正樹
日本ではやりづらい?
  ええ、日本ではなかなかできないですね。
海
 
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大村正樹
新エネルギー、ほかにはありますか?
  例えば、風力発電があります。風も、もともと太陽の熱で起こっているので…。
大村正樹
そうなんですかぁ!
  風力発電も、実は太陽エネルギーの利用のひとつなんですよ。
大村正樹
風ってなんで太陽の熱から生まれているんですか?
  地球の気象現象は、すべて太陽の熱で動いているんです。
大村正樹
へぇ〜。雷も雨も?
  はい。台風もみんなそうです。温度差ができたり気圧の差ができることによって、風が発生するわけです。ですから、これも元をただせば太陽の光によってできてることなんですよ。
大村正樹
なるほど。風力発電は何となくイメージがつくと思うんですよ。すごい風でグルグルグルッと風車を回して発電するって。東京だったら江東区の若洲という所に1つ建っています。あと青森県とか北海道では、白い風力発電の塔が何年か前に風で倒れちゃってニュースになりましたよね。
そうですね。
大村正樹
でも、あれって新エネルギーなんですか。昔からあるんじゃないんですか?
  オランダの風車は有名ですよね。だから昔から使うエリアはあったんですが、これもある意味では太陽電池と同じで、これからのエネルギーとして本当に使っていこうとなると、技術的に色々クリアしなければいけないところがあるんですね。
大村正樹
へぇ〜。
  まずひとつは大きな風車を作って、今の話ではないですけれど壊れないようにしなくてはいけないし、ちゃんと発電してどこかに届けなければいけない。そういったシステムが全部必要なわけです。それからもうひとつ、風力発電の場合は風が強い所、いつも吹いている所じゃないと余り発電の効率がよくない。
大村正樹
不安定なんですね。
  だから、どうしても場所が限られてしまう。
大村正樹
これも、発展途上の発電方法なんですね?
  言ってみれば、世界的にも非常に注目されているエネルギーのひとつです。
大村正樹
オランダといえば確かに風車ですけど、発電用ではないですよね?
  あれは、単に機械的に回しているだけで。
大村正樹
そうですよね。穀物をついたり脱穀したりとかの動力を得るためのものですよね。じゃあ昔からある風車とは違って、発電用に使い始めたのは最近ということですね?
そうです。
風
 
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大村正樹
風力発電が新エネルギーなのかぁ。ほかに新しいエネルギーは?
  これから有望なのは燃料電池ですね。
大村正樹
あっ! エコカー。究極のエコカー!
  はい。
大村正樹
燃料電池ってハイブリッドカーといって、最近、各メーカーが色々な車を出していますが、あれも新エネルギーみたいなものなんですか?
そうですね。この場合ちょっと複雑ですが、燃料電池というのは新しいエネルギーを利用するひとつの電池といったほうがいいと思います。ですから、それ自体がエネルギー源ではない。水を電気分解すると酸素と水素になる。これを逆にやると電気ができて、燃料電池はそれを利用しているんです。
大村正樹
へぇ〜。水を分解すると酸素と水素。じゃあ酸素と水素をくっつけると電気になるんですか。
  そうです。ほかに水ができるわけです。それを行っているのが燃料電池です。これもずーっと昔からありまして、例えばアポロ宇宙船の電源は、実は燃料電池だったんです。一部ではそういう特殊な目的には使われていたんですけど、最近では家庭で使われたり、今度は自動車に使おうという動きがあります。ただ燃料となるのは酸素と水素です。酸素は基本的に空気中にありますからいつでも使えるんですけど、水素をつくらないと燃料電池は動かない。水素が、これからの新しいエネルギーの形として注目されているわけです。
大村正樹
水素は空気に触れると爆発するっていいますよね?
  そうですね。
大村正樹
危ないじゃないですか?
  今はその水素をどうやって取り出すかが一番の問題になっているんですけど、最も普通に行なわれているのは、都市ガスですね。天然ガス、これってほとんどの成分がメタンというガスですが、ここから水素だけを取り出すという方法で水素をつくって、それと大気中の酸素を反応させて発電しているのが燃料電池です。
大村正樹
今の話を聞くと、基本的に日本の発電は原子力発電と火力発電で70パーセントというじゃないですか。こういう自然の力を利用して発電すれば、地球に極めてやさしい社会ができますよね。
水素を使ってというのは、そういうことなんですね。水素を燃やすと、今言ったように何も汚染物質が出ず非常にキレイですから、太陽の光を使うと同じようにクリーンな社会が実現できるわけです。
大村正樹
太陽の光と海の水で、もう1回人間が自分たちの暮らしを見つめ直して、新しいエネルギーの開発をしていけば、本当にやさしい社会が生まれるかも知れないですねぇ。
そうですね。これから、それを目指していかないとたぶん地球温暖化も防げないし、空がキレイな社会をつくることもできないと思いますね。
大村正樹
そうですかぁ。勉強になったなぁ。ちょっと今、原点に戻った気分だなぁ。寺門さん、2週にわたってありがとうございました。
  どうも失礼しました。
大村正樹
今の話を聞くと結局、太陽と海があればエネルギーは何とか取り出すことができるってことなんだよね。すごく基本に立ち返ったような話で、「もっと暖かくなりたい」とか「もっと涼しくなりたい」とか、暮らしに快適さを求めるあまり地球温暖化が進んじゃったという気がしてたけど、原点に戻ればもっともっと地球にやさしくできる社会が来るんじゃないかなぁって思いました。
太陽
 
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