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過去の放送分 過去の放送分 2008 11月1日 放送分
「新エネルギーの話」(1)
コーチャー/寺門和夫さん(科学ジャーナリスト)
大村正樹&寺門和夫
大村正樹
キッズのみんな、こんばんは。今日のテーマは新エネルギー。エネルギーというとガソリンとか石油とかね。でも、それはいつかなくなるって考えたことある?そういう時代が来てもいいように、今日は新エネルギーについて考えてみたいと思います。今週のサイエンスコーチャー(略してサイコー)は、すっかりおなじみになりました科学ジャーナリストの寺門和夫さんです。こんばんは。
こんばんは。
大村正樹
寺門さん、ちょっとお久しぶりですけれど、番組も3年目に入ってきましたよ。
  そうですか。最初の時を思い出しますねぇ。
大村正樹
その時はイグノーベル賞を語ってくださってね。今日のテーマは新エネルギーですが、近い将来、石油や石炭などの燃えるエネルギーはなくなっちゃうんですよね?
そうですね。だから新しいエネルギーが注目されているんですが、注目されるのには3つ理由があります。1つは地球温暖化。石油や石炭を化石燃料と言いますが、燃やすと二酸化炭素が出ます。これが地球温暖化を引き起こすから、なるべく二酸化炭素を出さないために化石燃料を使わないようにしよう、というのが1つにあります。それから、日本だと燃やす時に有害物質を排除する装置が付いていますが、その装置が付いてない国が多いです。そうすると大気汚染という問題が起こるので、これを防止しようというのが2つ目。最後は、石油や石炭は埋蔵量に限りがあるので有限ですよね。ずっと石油や石炭に頼ることはできないのでそれに替わるものを開発しよう、ということでいわゆる新エネルギーが注目されています。
大村正樹
日本はアラブの国々から石油などを買っていますが、国内ではちょっとしか採れないですものねぇ。
  石油は、ほとんど輸入に頼っています。
大村正樹
では注目の新エネルギー、いの一番にあげるものは何ですか?
  まず、やっぱり太陽のエネルギーを利用するということですね。その中でも一番注目されているのは太陽光発電、いわゆる太陽電池です。
大村正樹
あっ、ソーラーパワーですね。太陽は、僕らが生きている限りおそらく永遠に燃え続けてくれるから、それを利用しない手はないですよね。
そうですね。基本的に、太陽の光はずーっと地球に降り注いでいます。ですから、これを使えばほとんど無尽蔵にエネルギーを取り出すことができる。いまはただ、それを取り出す仕掛けが足りないということになります。
大村正樹
仕掛けというのは、太陽電池とか?
  ひとつには、太陽電池。これは太陽の光のエネルギーを利用して発電するというものですね。もう皆さん、色々なところでご覧になっていると思います。屋根の上に付いてたりビルの屋上に付いてたり。最近では、ちょっとした外灯にも付いてたりします。
大気汚染
 
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大村正樹
雑誌の付録でも「太陽電池で走るソーラーカーを走らせよう」とかあって、キッズたちも見たことあると思います。僕が子どもの頃、30年以上前から太陽電池はあったんですよね。だけど、あまり街で見かけないのは何でですか?
太陽電池自体は、確かに昔からありました。昔は、他のエネルギーが使えない場所で使う、特別な発電装置に近かったですね。例えば、人工衛星は宇宙空間に出てしまいますから、電気をコンセントにつないだりできません。でも、太陽光はいつも降り注いでいるので人工衛星の電源として、昔から使われていたわけです。なぜ地上で使われなかったかと言うと、石油エネルギーがすごく安くて、使いやすかった。だから、どうしてもそちらに流れていたわけですね。
大村正樹
太陽電池は高いってことですか?
  昔から高いし、いまでもまだちょっと高いですね。
大村正樹
だから、なかなか普及しないんですね。
  いまよりももっとコストが下がると、どんどん導入されていくと思いますけれど。
大村正樹
いま、宇宙空間にある人工衛星の写真にパネルが見えますね。あれは太陽電池?
  そうです。紫色とか青っぽく見えるパネルは、全部太陽電池です。
大村正樹
そうなんですか。宇宙の空間は暗いイメージがあるけれど太陽の光があって、昼間は人工衛星も太陽の方を向いているわけですよね。そこで電気を蓄えている。ちなみに世界的にみて、太陽電池あるいはソーラーパワーは日本でどれぐらい使われているんですか?
まだまだ地球全体で使われている量は少ないですが、太陽電池について言えば生産量は世界一です。
大村正樹
へぇ〜。作っているんですか?
  そうです。たくさん作ってるし輸出もしてますね。それから、設置している太陽電池の量でいうと、世界で二番目。つい最近まで世界一だったんですけど、いまはドイツが非常に積極的に力を入れているので二番目になりました。いずれにしても日本は太陽電池の先進国なんですよ。
大村正樹
世界で一番太陽電池を作ってるし、世界で二番目に利用している。でも、あまり日常には入ってきてないですよね。
  というのも、日本では太陽電池が供給する電気量の割合は、まだ1パーセントぐらいです。
大村正樹
100分の1。やっぱり、コストがかかるからですか?
  そうですねぇ。ただ、地球温暖化の問題とかありますので、これからどんどん導入されていくんじゃないかと思います。
太陽光発電
 
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大村正樹
太陽電池って一生ものですか?
  少しずつ劣化していくので性能が落ちてきます。変換効率といって、太陽の光を電気に変える能力がだんだん落ちていきます。
大村正樹
じゃあ1回すごくお金をかけて太陽電池を買っても、キッズが大きくなる頃にはまた交換しなくちゃいけないってことですか?
  そうですね。ですから、新しいタイプの太陽電池が色々考えられている。いまある太陽電池は基本的にシリコンという物質を使って作っていますが、それを別の材料にしたり、ナノテクノロジーを使った新しい材料でもっと効率よく電気を作ったり、長持ちさせたり、どこにでも貼れるような非常に薄くて軽くいものにしたり、そういった新しいタイプのものが研究ではできている。なかなか実用化にならないですけど、もう少し経つと色々な太陽電池が出てくるんじゃないかなと思います。
大村正樹
出てきてもらいたいですよねぇ。だって電気代がかからないわけですから。最初に設備投資してお金を払っておけば、ある程度安定した電力が供給されて、しかもCO2は出ないわけですよね?
まったく出ませんね。
大村正樹
地球温暖化に影響ないということですね。どんどん太陽電池を作りましょうよ。
  そうですね。
大村正樹
例えば単一電池1個と太陽電池では、どれぐらい値段の差があるんですか?
  多分、まだ普通の電池のほうが安いと思います。太陽電池は実際に家庭の生活とか会社で使えるぐらいの規模になると、それなりにお金がかかります。ですから、これを安くする方法を色々考えなくちゃいけない。
大村正樹
どうすればいいんだろう?
  昔、日本では政府が補助金を出して少し援助してくれてたんですね。例えば、「自分の家の屋根に太陽電池を付けます」と言うと、ある程度の補助金みたいなものが出ていたんですけど、いまはそれがないんです。でも、ドイツでは太陽電池で発電したら「その発電した電気を買いますよ」って、自分で発電した電気を売ってお金にする仕組みがつくられています。
大村正樹
麻生総理大臣もそういうことを考えたら、また支持率が上がるかも分からないですよねぇ。
  そうですね。
大村正樹
来週、ほかのエネルギーの話も伺ってよろしいですか?
  はい、分かりました。
大村正樹
今週のサイコーは科学ジャーナリストの寺門和夫さんでした。ありがとうございました。太陽の光を浴びて「あったかい」とか、夏は「暑〜い」とか思うじゃない。冬になって寒くなると「夏の暑かったのがなつかしいなぁ」「あの暑さが貯金できてればなぁ」って僕は子どもの頃から思ってたんだけど、太陽電池をエネルギーとして蓄えておけば、また違った冬の過ごし方ができるかもしれないんだね。しかも、タダ。太陽電池もっともっと普及してもらいたいけど、なかなかコストが高いみたい。太陽電池を求める声は非常に多くて、新エネルギーとしていまものすごく注目されているそうです。
太陽
 
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