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過去の放送分 過去の放送分 2008 9月27日 放送分
「地球温暖化の話」(1)
コーチャー/野沢徹さん(国立環境研究所)
大村正樹&野沢徹
大村正樹
キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今日のテーマはみんな知っていると思うけど、地球温暖化。社会テーマにもなってる温暖化が進むと僕たちの暮らしはどういうふうになってしまうのか、大変興味深いお話を聞いていきましょう。今週のサイコーは、国立環境研究所の野沢徹さんです。こんにちは。
こんにちは。
大村正樹
野沢さん、国立環境研究所はどちらにあるんですか?
  茨城県のつくばにあります。
大村正樹
温暖化を語りに来られたということは、今日は自転車でお越しですか(笑)?
  さすがに遠いので、自転車で東京までは無理ですけれど(笑)。バスと電車を乗り継いで来させていただきました。
大村正樹
車じゃなくて交通機関ですね。やっぱり仕事柄、エコのことって常に考えていらっしゃるわけですか。
  そうですね、できるだけ考えるように努力しています。
大村正樹
僕もずっと考えているんですが、北極や南極の氷がなくなっているというニュースを見たり、赤道近くのツバルという国の、島が一つなくなっちゃった話しを聞くと、地球温暖化の影響は様々な形で出てきているわけですよね。具体的にはどれぐらい温暖化しているんですか、いま地球は?
温度計で測ったデータが過去150年ぐらいあるんですが、それを基にして「エイヤッ」と地球全体の温度を計算してみますと、100年間で0.7℃上がっていることが分かっています。
大村正樹
100年で0.7℃。これは高いのか、この程度なら問題ないのか、どうなんでしょう?
  なかなか判断が難しいと思うのでもう少し細かく分けてみますと、100年だと0.7℃ですが、例えば過去50年に限ってみればその倍の1.4℃ぐらい上がっている。さらに過去25年ぐらいでは、100年に換算すると2℃ぐらい上がるような勢いなんです。
大村正樹
100年で0.7℃だけど、50年では1.4℃上がっているということですか? じゃあ、この50年で急速に気温が上がっているということですね。やっぱりビルが建ったり車が増えたり、非常に便利になったことも影響しているんですか?
そうですね。特に東京ですと100年間で実は3℃上がっているんです。
地球
 
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大村正樹
東京は100年で3℃も気温が上がっている!大変じゃないですか。
  一つには温暖化の問題もありますが、大村さんがおっしゃったような「都市化」という問題もあります。つまりビルがたくさん建つことで風通しが悪くなって、熱い空気が逃げにくくなる。そんな中で、車を使ったりエアコンから熱を放ったりして、熱がどんどん溜まる一方になっているのです。
大村正樹
100年間の気温の上昇は、地球規模で0.7℃。日本だったら平均してどれぐらい上がっているんですか?
  日本だともうちょっと高くて、100年で1.1℃ぐらい。
大村正樹
ということは、日本は小さな国だけれど気温の上昇度合いで見ると、世界的に高いということですね。
  そうですね。
大村正樹
例えば、このまま気温が上がっちゃうと22世紀を迎える2100年にはどれぐらいになるか、試算で出てるんですか?
  最新の予測によると約100年後の2100年には、世界の上昇温度は1.1℃から6.4℃ぐらいです。今のところ考えられる最悪の場合ですけれど。
大村正樹
1.1℃から6.4℃では幅がありますけれど、最悪の場合で6.4℃ですか。ちなみに地球の年間平均気温は何℃ぐらいですか?
  いま地球の平均気温は大体14℃ぐらいですね。
大村正樹
14℃。じゃあ、平均気温が20℃超えるということですか?これは、誰が聞いても大変なことですよね。夏場どうなるの、という感じ。
ええ。例えば東京辺りだと8月の平均気温は28℃ぐらいだと思いますが、それが5℃から6℃上がれば34℃ぐらいになる。日によって高かったり低かったりありますから、38℃ぐらいはザラになる可能性が十分に考えられる。
大村正樹
へぇ〜。去年辺りから埼玉の熊谷市では“あついぞ!熊谷”というキャンペーンをやってますけれど、100年後にはそれどころじゃなくなっている可能性もあるということですね。気をつけないといけませんねぇ。温暖化になると色々な影響があると思うんですが、キッズたちに分かりやすく説明するとしたら、例えばどんなことがありますか?
もちろん、いま言ったように温度が高くなるから、日中できるだけ外に出ないようにすることは重要です。遊びたいと思いますけれど。もうちょっと身近なところで言いますと。例えば毎日食べているお米ですが、お米は暑くなればなるほど取れるわけではないんです。余り温度が高くなりすぎると、実が付きにくくなって質が悪くなってしまう。つまり、おいしくないものになる。
大村正樹
お米がまずくなるんですか?じゃあ、日本人の主食がお米からパンに変わっちゃう可能性もありますね。
  小麦が取れればですけどね。
大村正樹
小麦もまた温暖化に影響してくるんですか?
  ええ、もちろんそうです。お米と同じように小麦も当然影響を受ける。小麦は日本ではできなくてアメリカやロシアという国で作っているんですが、そちらも温度が上がればお米と同じように取れる場所が変わったり、味も落ちたりという問題は十分に起きてくる。
小麦
 
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大村正樹
お米もまずくなっちゃうし、小麦からできるパンもスパゲッティもおいしくなくなっちゃうということですか。
  そうですね。もうひとつ大事なのは、取れる量自体が減ってきてしまう可能性があるんですよ。
大村正樹
なるほど。海の生き物も少なくなってると言われる中で、お米も取れる量が少なくなっちゃうと何を食べていけばいいんでしょうかねぇ。
大変なことになってしまうと思うんですよ。
大村正樹
米は暖かくなると余りおいしくなくなるわけだから、ちょうど今の温度が適した気温。日本のお米は、世界でも屈指のおいしさですもんね。
そうですね。今は、特に西日本がお米を作るのに一番適した温度になっている。温暖化してしまうと極端な話、西日本ではもうお米は取れなくなって、東北や北海道のほうが主な産地になる可能性もあるんですね。
大村正樹
そうですよね。中学校の頃、社会で米作の北限を習ったんですが、北海道のたぶん札幌辺りだった気がします。そこより南しかお米は取れませんよとなっていたのが、今はさらに北のほうに行っても、色々なお米がありますよね。何とか米というブランドのお米が。
はい。品種改良の成果がもちろんあると思いますが、それだけではない。同じようなことが果物にも言えてきますので、みなさん一番よく食べると思いますがリンゴやミカンの取れる場所がどんどん変わっていく。
大村正樹
リンゴというと青森ですよね。温暖化しちゃうと、北海道のほうにシフトするということですか?
  そうですね。100年後のリンゴの産地は北海道の可能性は十分ありますね。
大村正樹
ミカンというと静岡とか愛媛。
  その辺がいま限度ですけれど、関東地方の山沿いの群馬や栃木でもミカンがたくさん取れるようになるかも知れない。
大村正樹
野沢さん、あっという間に時間です。来週はキッズたちに温暖化対策として何をしたらいいのか、レクチャーしてください。
  はい、分かりました。
大村正樹
去年の放送で東京大学の松井先生という、すごく偉い先生がラボに来られて、「温暖化温暖化と人間は騒いでいるけれど、実は地球からしたら何億年という中のわずかな点でしかない。僕たちの暮らしはすごく温暖化によってダメージを受けるんだけど、地球はそんなに大きなダメージを受けない。だから、氷河期が来て恐竜が滅びちゃったのと同じようなことなんだよ」と言われすごい印象に残っているんだけど、人間は滅びたくないもんね。だから、来週はそのためにどうするべきかを、みんなでじっくり考えたいと思います。
リンゴ
 
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