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過去の放送分 過去の放送分 2008 2月16日 放送分
「廃油の話」
コーチャー/ハッタケンタローさん(アースデイマネー)
大村正樹&ハッタケンタロー
大村正樹
今回のサイエンスコーチャー略してサイコーは、アースデイマネーのハッタケンタローさんです。こんばんは。
  こんばんは。
大村正樹
アースデイマネーって何ですか?
  地球のためのお金ですね。実は、2001年にアースデイマネーは渋谷で生まれたんですけれど、簡単に言うとボランティアマネー、環境クーポン券。いま渋谷を中心に皆さんに使っていただいています。
大村正樹
分かりやすく言うとどういうお仕事ですか?
  このアースデイマネーをもらうためにはどうしたらいいかと言うと、ボランティアに参加したり、あとは環境にやさしい団体や何かボランティアを進めている団体に寄付をするとお礼にもらえるお金ですね。給料は働いているお父さん、お母さんはもらっていますけれど、なかなかそういうところでお金がお礼としてもらえないので、そのお金をもらって渋谷のカフェ、レストランやファッションのお店でクーポン券として使えます。
大村正樹
よく分からないですけど、ハッタさんは地球のためにボランティアをされている方なんですか?
  そうですね。みんなそうだと思いますけどね。
大村正樹
でも、実感として自分が何をやっているかと胸を張って言えること、ないもんな。電気をこまめに消すとか、そんなことしかやってないんですけれど。それで、驚くべき捨てちゃうようなものを使ってバスを動かしたという方。
そうですね。実は皆さんの台所にあるもの。
大村正樹
台所。冷蔵庫を使ってバスに? 違うなぁ。捨てるものですよね? ゴミ? 生ゴミでバスを動かした。
  それもアイデアとしていいですね。たぶん、いずれできます。
大村正樹
じゃあ、ハッタさんがやったのは何ですか?
  皆さんご存じの自動車はガソリンで動きますけれど、ガソリンは油です。油は石油ですね。この油を天ぷら油で、皆さんが天ぷらを揚げた後の廃食油と言いますが、それでバスを動かしました。
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大村正樹
お母さんが天ぷらを揚げた後の、固めて捨てちゃうような油でバスを動かすことができるということですね。天ぷら油のほうが1リットル当りの値段は高いと思うんですが、あれをジョバジョバと給油口に入れたらバスは動くんですか?
まず値段ですが。バスは軽油で走りますよね。ディーゼルですね。ガソリンと軽油で、ディーゼル車は軽油で動くんですが、その軽油でバスを動かしたんですね。いまご存じのようにガソリンが高騰してますので、実は天ぷら油のリサイクルのエネルギーのほうが安いんですよ、1リットル当り。
大村正樹
新品の油を使ったら高いけれど、リサイクルのほうが安い!?
  なぜかと言うと、まだ天ぷら油が車の燃料として公に認められていないので、税金がかかってない。それともう一つ大きいのは、やはり皆さんは固めて捨ててますよね。そういうものをただで引き取らせていただきエネルギーにしてますので、そういう意味で原料代がいらない。
大村正樹
元々捨てちゃうもの。ということは捨てるための手間を考えると、リサイクルしてバスを動かそうということですよね。いまハッタさんが税金の話をしてたんだけど、みんな知ってるかな? お父さんがガソリン入れるでしょ。150何円とか払うでしょ。「高いなぁ」と言うでしょ。そのうちの何と53円80銭が税金です(笑)。じゃあ、天ぷら油は天ぷらを揚げた後にちょっとカスを取って、それを「はい、どうぞ」と使えるわけではない?
「はい、どうぞ」という形で使える車は、実はあるんです。だけど、それを精製、要するにきれいにして、ちょっと加工してエネルギーとしてディーゼルエンジンと同じように--脂肪酸エステルと言うんですが、それは難しいので--同じような成分にしてディーゼル車にそのまま改造もなく入れられるんですね。
大村正樹
いま市販のバスのエンジンに、その脂肪酸エステルというものを入れると動くということですか?
  動きます。
大村正樹
だけど、いまはルール上認められていないということですか?
  面白いですよ。陸運局に「この車はこういう燃料で動きます」ということで、VDF、BDFと言いましてバイオディーゼルフューエルという植物性ディーゼル燃料ですが、そういった届けをすると、陸運局がポンとハンコを押して。
大村正樹
えっ、登録すれば?
  登録すれば認められてるんです。いらなくなった天ぷら油で走る車が、道の上を走ってもいいんです。そうじゃないと僕もできませんでしたから。
大村正樹
そうか。今、バイオガソリンと言って何%サトウキビが入っているとかいろいろありますよね。それと違って、正真正銘の廃油、捨てる油で走る車が道を走ってもいいということですね。それを実は走らせた?
走らせた。今でもいろいろな所で走ってますけどね。例えば、京都のゴミ収集車はそれでやってたり。あとは自由が丘でサンクスネイチャーバスというのが、100%ではないですけれど、いずれも混ぜて走ってます。
ガソリン
天ぷら
 
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大村正樹
自由が丘のバスは乗合バスですか?
  そうです、コミュニティバスです。廃油とか混合した油で走ってます。混合してもいいので、「廃食油はいっぱいないので燃料切れになったら困るじゃないか」と言うドライバーさんがもしドライブ中にいましたら、その時はガソリンスタンドで軽油を入れればいいんです。要するに混ぜても大丈夫なので、軽油でも大丈夫と。
大村正樹
天ぷら屋さんに駆け込めばいいじゃないですか。
  それは精製してないから。
大村正樹
そうか。いきなり「はい、どうぞ」ではダメなんですね。すごい! それで実際、燃費はどうなんですか? 普通の軽油に比べていいんですか?
燃費というのは車が性能を持っているもので、天ぷら油だろうと軽油だろうと性能は変わらない。
大村正樹
そうか、そうか。1リットルの燃料でどれぐらい走るかということなので。そうですか。すごい話ですね。
  環境問題でいま温暖化が叫ばれていますけれど、その原因であるCO2、二酸化炭素が1リットル当りの排出量2.6キロぐらい削減できるというか、カーボンニュートラル――。要するに「CO2二酸化炭素を出さなかったことにするよ」というような考え方ですが、そのカーボンニュートラルによって2.6キロが削減できます。
大村正樹
カーボンニュートラルというのは、二酸化炭素は出しちゃうんだけど、本来出してしまう廃棄物を使っているので、その分がマイナスということですよね。
地球温暖化の主な原因は石油を使うこと。これしかないんですね。ですから、太古の地球に戻っている。温暖化は太古に戻っているということなので、その石油が原因であるところを皆さんで一緒にやめましょうというのが、“脱石油社会”ということです。それに対して、この天ぷら油を使ってCO2を出さないようにしよう。石油を使わないで、身の回りにある天ぷら油とかを使ってエネルギーをおこしていこう。また、太陽も風力もそうですけど。
大村正樹
本来あるもので、あるいは捨てちゃうもので。うーん、ほんと天ぷら油の処理は大変なのよ。お母さんに聞いてごらん。たぶん大体のご家庭では、天ぷら油を捨てるための道具を買って捨ててるはずだもの。お金がかかってるんだよ。これが燃料になることは、ものすごくいい話だよね。みんなもぜひ、身の回りのもの、もういらなくなったもので何か大きなものが動くかなとあれこれ想いをめぐらせてみてはどうでしょうか。
バス
 
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