過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分 2008 1月19日 放送分
「環境教育の話」
コーチャー/高野孝子さん(冒険家、環境教育活動家)
大村正樹&高野孝子
大村正樹
先週はすごい衝撃的な話をいろいろ伺いました。高野さんは冒険を楽しみながら、いわゆるスポンサーさんからいろいろなことをお願いされているわけですね。例えば、「北極に行ったら雪を取ってきてください」という役割があって、それで研究者に渡しているということなんですよね。
本当に正確に言ってしまうと、そうでもなくて。私たちがやりたいことがあって、「これ一緒にやりましょうよ。私たち、こういうこともできますよ。役に立つでしょう」ということのほうが多い。
大村正樹
なるほど。そしたら、そこに乗っかってくる人がいて、「だったら、こういうことを」と。ということは、僕が北極の空気の缶詰をつくりたいから高野さんに「お金を払うから空気を取ってきてくれ」と言ったら、行ってくれるわけですね。
行きます。
大村正樹
ああ、なるほど。そんなお金ないけれど、僕がビッグになったらお願いしますね。
  分かりました。お待ちしています(笑)。
大村正樹
じゃあ、国内ではどんな活動をされているんですか?
  国内ではいろいろなことをやってますね。子どもと一緒に冒険や科学をやったりしています。
大村正樹
キッズがらみのこともやってらっしゃるんですか? 例えば、冬はどういうことをやるんですか?
  はい。冬は雪ですよね。雪がある所の外での遊びは最高ですね! 雪がありさえすれば生きていける。雪は水にもなる。テントを張る。張らなくてもビバークといってそのまま寝ちゃうのもいい。雪があれば、そうやってお家もつくれるし、トイレもつくれるし、飲み水もアイスクリームだってつくれちゃう。何でもできるでしょ。だから、そういうことを体験する。“雪って何だろう”というので、遊び道具として雪の玉を握って人にぶつけることもできる。
大村正樹
雪合戦ね。
  灯ろうもつくれるし、あとソリもつくれる。雪の上をカケッコしたら、普段早い子だって遅くなりますから。いろいろな遊びができます。
大村正樹
それはどこでやるんですか?
  私たちがよくやるのは、新潟県の一番東京に近い側の南魚沼です。お米が美味しい所です。田んぼの上に3メートル、4メートル積もった雪の上で。。
大村正樹
それで雪体験をやる仕切りのお姉さんなんですか、高野さんは?
  はい、仕切りのお姉さんやります(笑)。地元のおじさんも一緒ですけど。
雪原
 
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大村正樹
今ラジオを聴いているキッズたちがそれに参加することもできるんですか?
  バッチリ。ぜひ来てください! 東京からも来てますから。「エコプラス」という私たちのやっている団体のところに申し込んでもらえれば。
大村正樹
へぇ〜。「エコプラス」という団体の代表なんですね、高野孝子さんは。
  一応ね(笑)。もう何でもやるんです。北極にも行くし、南魚沼で子どもたちに雪を教えちゃったりもします。北極仕込みですから。――実は私は新潟の出身なんですね。雪国生まれなんですけれど、私が育ってくる間には全然知らなかった面白いことがすごくあるのを北極に行って気づいて、それをフルに活用して、雪を使って遊びます。科学もします。
大村正樹
北極に行ったことによって、ふるさとを改めて知ったということですね。
  そうそう。もう本当に。でもね、あそこに暮らしてたら、雪の中で寝ようなんて思わないですもの。お家があるのに寒いでしょう。。
大村正樹
実際、南魚沼で子どもたちと一緒にいわゆるカマクラみたいなものをつくって、そこで寝泊りするんですか?
  それもできます。ドキドキですけどね。「このカマクラ本当に大丈夫かぁ?」というのがけっこうあるので(笑)。途中でくずれたりとか(笑)。
大村正樹
ほんとに子供たちがつくるんですか?
  はい。一緒にね、難しいから。外で寝てみるための自分用の寝床としてのカマクラは自分ひとりでつくれるけど、みんなが入れるカマクラとなると大きくないといけないので。お餅焼いたりするカマクラはできないわけです。だから、みんなでやります。
大村正樹
でも、外で寝ちゃうぐらいのカマクラを子どもたちにつくらせて、子どもたちを外で寝かすんですか?
  寝たい人は。ドキドキだから、みんな勇気がいるので、やっぱりテントで寝るとかあってもOK。こわいですもの。途中でこわれて朝起きて来なかったからどうしようとか思いますもの。でも大丈夫です、今までのところ(笑)。
大村正樹
僕気づかなかったけれど、このサイコーの高野孝子さんは、新潟の南魚沼市で「TAPPO(たっぽ)」という山と暮らしの学校を開設されている。すみませんね、こういうのをチェックしないで、いきなり。「たっぽ」って何ですか?
「たっぽ」はあの辺の方言で田んぼのことです。
大村正樹
へぇ〜。地元の言葉? そこで子どもたちに山と暮らしの学校を開いてらっしゃるわけですか?
  そうです。大人も来ますけれど。今日は南魚沼から来ました。
大村正樹
えっ、新幹線で来たんですか? すご〜い! サイコーの方って大体、東京とか神奈川で、新幹線で来られたサイコーは初めて。
そうですかぁ(笑)。だって1時間しかかかりませんよ。ありがとうございます。呼んでいただきまして。
雪原
 
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大村正樹
お正月はアラスカにいらっしゃって。いや、すごいなぁ。でも、南魚沼って科学につなげるとしたら、やっぱり米どころじゃないですか。ちょっとお米を科学してくださいよ。だって、もうすぐ田植えの季節じゃないですか。もうすぐと言ってもあと2ヶ月ぐらい先ですけれど。
お米を科学ですか。米は機械を使うのと昔みたいに手でやるのとでは、田んぼの中にいる生き物が全然変わるんですよ。
大村正樹
おばあさんが腰を曲げながら田植えして腰をトントンやってますけれど、手で田植えをするのと、いわゆるトラクターみたいなものでシャシャシャシャッとやるのでは全然違う?
違う。私もやって分かったんですけど、機械でやると早過ぎて虫が逃げられない。だから、ちゃんとした土と水があれば、いっぱい生き物が入ってくるんですね。植物とかカエルとかヒルとかいろいろなものがいるんですけれど、それらにとってみたら機械が入ってくるのって、何て言うんだろうなぁ“天地大移動”ですよ。いきなりガーンといろんなのが来て、ガーッて自分たちを押しつぶしてくるでしょ。人間だったら、クワでやったり手でやったりする分には逃げていけるんです。
大村正樹
ゆっくりだからね。
  それが逃げていけないので、どんどん生き物が減ってしまう。その結果どうなっていくかと言うと、虫がちゃんと安全に生きていけるような環境は、植物にとってもいい。だから、稲も健康に育つ。
大村正樹
おばあちゃんやおじいちゃんが自分で田植えをしているほうが、田んぼにとってもいいということなんですね。
  大胆に言ってしまえば、そうです。なぜかと言うと、普通の米はいっぱい農薬を使ったり肥料を使ったり――最近は減らされていますけれど、そういうことをするとお米が大きくなるのね。だけど倒れやすくなる。無理に成長しちゃうから。けれど、虫とかいっぱいいるような所で手でつくっていると、あまり大きくならない。普通に育つんだけど、太く元気に育つ。だから倒れにくい。
大村正樹
そのほうが美味しいんですか?
  それは人によるんじゃないかな? 私は美味しいと思いますけど。だから、何しろ安全。虫と一緒に育ってきたお米だから安心。
大村正樹
しかし、先週は北極でアザラシの生肉をガンガン食べちゃうお姉さんが、お米に対してそこまでナーバスになるというギャップもちょっと驚きですけれど。
ハハハハ。あざらしも天然で安全じゃないですか。
大村正樹
そうか、そうか。そうですよね。人の手が加わってないところが、農薬とか加わってない天然物という。
  ちょっとひねってしまって申し訳ないんだけど、北極も汚染が進んじゃっているんです。だから、動物も実は危なくなってきている。
大村正樹
じゃあ、これから食べないほうがいいかも知れないですよ。お米のことでそこまでナーバスになって、食べるものがなくなっちゃうかも知れませんから。でも、そういうふうにならないように、活動をどんどん広げていってくださいよ。
その通り。さすが先生。
大村正樹
主任ですから。先生はあなた、高野孝子さんです。
    失礼いたしました(笑)。
田植え
 
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