過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分 2007 10月20日 放送分
「今年の科学で感じたこと」
コーチャー/寺門和夫さん(科学ジャーナリスト)
大村正樹&寺門和夫
大村正樹
「サイエンスキッズ」今年最後のサイコーをご紹介しましょう。もうおなじみです。7回目かな、8回目かな? 科学ジャーナリストの寺門和夫さんです。今日は寺門さんに今年の科学で強く感じたことを話していただきたいと思います。今年の科学、さぁ、どんなことを?
寺門和夫 そうですねぇ、いろいろありましたけれども、やはり一番大きいキーワードは地球温暖化だと思います。地球温暖化対策を待ったなしにやらなければいけない。いろいろな現象が今年は世界中で見られました。ちょっと今日はその話をしたいと思います。
大村正樹
やっぱり科学ジャーナリストとしても、地球温暖化には関心ありますか?
  寺門和夫 そうですね。実はここ100年で地球の平均気温は0.7度上昇したと言われているんです。0.7度ぐらいですから、そんなに地球全体が暑くなったとは考えられないんですが、もうここまで来ると地球温暖化が進んでいると考えないと解釈できない現象が本当にたくさん起こっているんです。
大村正樹
例えば?
  寺門和夫 北極海の氷が少なくなる話をこの番組でもやられていると思うんですが、それ以外にも例えば北極にグリーンランドという大きな島があります。
大村正樹
あれは国じゃないんですか?
  寺門和夫 国ですけど、地形的には島ですね。それで、この島の上にはものすごい巨大な氷が乗っかってまして、とても冷たいんですね。ですから地球の温度が多少上がっても、その氷が解けることはないだろうとずっと科学者は予想していたんですけれど、ここ1〜2年で実は氷が解け始めているんです。
大村正樹
1〜2年ということは、つい最近ですね。
  寺門和夫 そうです。それから南極大陸もものすごい大きな氷が大陸の上を覆っているわけです。これも非常に冷たい氷の固まりなので解けることはないと考えられていたんですけれど、実は南極大陸の西側のほうの氷がやはり2〜3年前から少しずつ解けていることが、実際に人工衛星の観測とかで見つかっているんです。ですから、そういった意味では地球全体がかなり温かくなっているという現象が、ここのところだんだん、いろいろなデータが出てきて確認されつつある。
大村正樹
100年で0.7度気温が上昇したといって、まぁ、ゆるやかな上昇と感じられますけれど、ここ1〜2年で一気に温暖化が加速しているということですか?
寺門和夫 ここ1〜2年ということはないですけれど、平均で見るとそういうことなんです。例えば過去100年間と最近の25年間を見ると、最近の25年間のほうがものすごいスピードで気温が急上昇している。ですから、ここ1〜2年ということではないですが、20世紀の後半最後の頃から21世紀に入って気温の上昇の速度はものすごく速いんですね。それからもうひとつは、地球の温暖化は地球全体がどこも一緒に温かくなるということではないんですね。むしろ極地のほう南極とか北極とか、特に北極ですが、南の地域より余計に温度が上昇することがあるんです。
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大村正樹
何でですか?
  寺門和夫 実は温まりやすいんです。われわれ住んでいる所で1度気温が上昇するとしたら、北極では2度とか3度上昇する現象が起こるんです。特に北極圏は、地球温暖化の影響を受けやすいということになっています。
大村正樹
日本よりも北極のほうが温暖化の影響を受けやすい。
  寺門和夫 そうですね。日本人よりもホッキョクグマのほうが影響を受けやすいということですね。ただ大村さん、日本でもいろいろな状況がありますけれど、温暖化の影響を受け始めている。例えば今年の夏、すごく暑い日があったのを覚えてますか?
大村正樹
なつかしい。そうだ、今年ですよ。
  寺門和夫 8月16日、この日は40.9度という日本で観測至上最高の気温が記録されているわけです。実際に各地で至上最高の温度を記録したところが100ヶ所ぐらいあるんです。ですから今年の8月16日は、日本の観測至上一番暑かった日なんです。
大村正樹
埼玉の熊谷は42.何度とか?
  寺門和夫 40.9度。それから多治見市、この2ヶ所です。結局、こういった高温もその時の気圧の配置とかあるんですけれど、それ以外にヨーロッパでも、毎年のように熱波といって40度以上の日がずーっと続くような現象もあります。
大村正樹
ニュースで観ました。
  寺門和夫 科学者による予測では、地球の気温がどんどん上がっていくと、ものすごい猛暑の日が夏にたくさん続くことが予測されています。それが、実はもう少しずつ現実になりつつあるという現象が、日本でもすでに見られるわけです。
大村正樹
なるほどねぇ。この前クリスマスがありましたよね。今年は白い光とか青い光とか、昔の温かみのある光とはちょっと違うじゃないですか。青色発光ダイオードは、ちょっとは電力が少なくてすむんですか?
寺門和夫 そうですね、それはあると思います。
大村正樹
温暖化にもやさしいイルミネーション。
  寺門和夫 そういうことを、これからすべての面で考えていかなくてはいけませんね。
大村正樹
そうなのかぁ。今までのクリスマスとこの何年かで様変わりした街の雰囲気ですけれど、それも地球にちょっとずつやさしいということを考えているわけですか。
寺門和夫 ですから、そういうことで地球温暖化は遠い北極の話だと私たちも考えられなくなっているわけです。本当に身の回りからエネルギーを節約して、化石燃料の燃やす量を少なくしたり、そういったことをこれからやっていかなくてはいけないですね。
ホッキョクグマ
 
イルミネーション
 
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大村正樹
なるほどね。今年もあと2日ですからいろいろ考えたいですが、来年のことを話すと鬼が笑うと言いますが、来年のサイエンス、科学で何か新しい話題とか?
寺門和夫 それでは、僕が期待していることをちょっとお話しようと思います。日本のいろいろな所で恐竜の骨がいっぱい見つかるといいなと思っているんです。
大村正樹
日本で恐竜まだ見つかってないんですか?
  寺門和夫 見つかっている場所があります。ただ、非常に数が少ないんですね。恐竜というのは非常に学問的にも興味深い生物だし、子供さんたち好きですよね。でも残念ながら恐竜についての情報は、大体海外から入ってくることが多くて、日本人の研究者は非常に少ない。それはやはり、日本で発掘される恐竜の骨がまだ非常に少ないからなんです。ただ恐竜が生きていた今から1億年ぐらい前の地層は、日本の各地にまだ少しずつ残っているんです。一番有名なのは、福井県の勝山市にある手取(てどり)層という地層です。
大村正樹
手取層。
  寺門和夫 ここでは、いろいろな恐竜の骨が発見されています。ですから、いろいろな所で恐竜の骨がたくさん見つかって、それを調べる研究者がもっと増えてくると、日本の恐竜学が非常に盛んになって、日本発の新しい恐竜情報みたいなものがこれから出てくるんじゃないかと思っているんです。
大村正樹
へぇ〜。それは来年、その研究がちょっと活発化しそうな?
  寺門和夫 ということでもないです。発掘はいろいろな所でやってますので、もちろんいつ見つかるかは分からないので僕の期待を込めてということですが・・・。そんなことがきっかけになって、若い人が恐竜研究者になってくれたらいいなぁということも考えています。
大村正樹
日本だけの、これまで図鑑にも載ってないような恐竜の化石が発見されるかも知れない。
  寺門和夫 その可能性もあり、それから当時の、1億年ぐらい前の日本列島はどんな場所だったんだろうとか、そういったこともだんだん分かってきます。
大村正樹
寺門さん、これまで宇宙とか星座の話とか空の話が多かったのが、いきなり恐竜にも造詣が深いというか、キラキラ目が輝いていて・・・。恐竜もお好きですか?
寺門和夫 好きですよ。
大村正樹
幅広いですねぇ! この番組のトリを飾るにふさわしい幅広さといった感じがしました。来年もまたよろしくお願いしますね。よかったら来年の一番最初の放送でご出演はよろしいでしょうか?
寺門和夫 はい、分かりました。
地球
 
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