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過去の放送分 過去の放送分 2007 5月5日 放送分
「科学を勉強することの面白さ」(1)
コーチャー/結城明姫さん(晃華学園高等学校2年)
大村正樹&結城明姫
大村正樹
今日はね、史上最年少のサイコーです。晃華学園高等学校2年生の結城明姫さんです。結城さんは去年行われた、第4回ジャパンサイエンスエンジニアリングチャレンジ、「日本の科学技術の挑戦」って訳せばいいのかな?その大会で、文部科学大臣賞という一番いい賞を受賞したんです。何をやってこの賞をとったんですか?
私は空気柱の研究というのをやったんですけど。空気の柱です。それはお風呂場とか手を洗う場所の蛇口から流れてる水の中に、柱の形で出てくるものなんですね。
大村正樹
ちょっとみんな!トイレに走って!洗面所に走って!で、水を流す。
  はい、水を流します。そこの水が流れる蛇口の先にメッシュ、網がついてます。その網から、柱がスーっと時間がたつにつれ伸びていくんです。
大村正樹
おお!わかる?あとででもいいよ。蛇口の出口の所に1センチぐらいの空気の柱できるね。
  細い1センチぐらいの、できますね。そうすると、スーっときれいに流れていた水が、ちょっとグチャグチャって感じで乱れちゃうんですね。
大村正樹
柱ができるっていうことは乱れるんですか?水の流れが。
  中に柱ができることで中に異物があるわけですから、きちんとした水の流れがグググって押される感じで、きれいな流れじゃなくなっちゃうんです。
大村正樹
へぇ〜。でもこんなたかだか小さい空気の泡の柱みたいなものって、1〜2センチで、水の流れが乱れるんですか?
  その柱っていうのも、温度が高いともっと1〜2センチじゃなくて伸びてきちゃうんですね。お湯にしたら5センチとか7センチとか伸びてしまうので、そうするともちろん大きくなりますから、乱れちゃうんですね。
大村正樹
乱れると何か迷惑なの?
  例えばお風呂場の場合、床とか水面とかに落ちますよね?そこと、水の水流との接触する部分で大きな音が出てしまうんです。バシャバシャバシャって。
大村正樹
それがじゃあ、乱れてなくてきれいな水が流れて落ちていくと、あまり…。
  少しはしますけど、そんなにしないです。
洗面所
 
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大村正樹
へぇ〜。何?お風呂場とかでお湯流す時に、音がバシバシするかどうかっていうのは、その空気柱っていうものの大きさによっても変わってくるってこと?
はい。空気柱のこの柱が長いと音は大きくなって、短いと小さくなります。
大村正樹
これは僕らの暮らしで何か、これが小さくなったらいいことあるんですか?
  そうですね、一番身近な所では普通の蛇口から出す時にバシャバシャする音がなくなると音も少なくなるので大丈夫っていうのもありますし、またこれは研究がちょっと進んでないんですけど、空気柱っていうのが出てしまうと、例えば実験装置みたいな精密機械の場合に出てしまうと困りますよね。そういう所でも空気柱がでないことによって便利になるということがあるんじゃないかなって考えています。
大村正樹
でも確かに、お客さんがきててリビングかなんかでお茶を出してて、お母さんが台所でお湯をジャーって出して、それでバシバシバシって音がしたら、お客さんが「えっ?」って思う。ね、そういうことか。じゃあそれが小さくなればなるほど台所を作ってるメーカーからするといい研究だと思われるってこと?
はい。例えば、あとは逆の方法で、小さな空気の泡をたくさん入れちゃって、空気の柱にならないようにして、ほら、よく台所とかで白っぽい感じでジャーって流れる水があるんですけど、そういうのでも音はしないんですね。ただそれだといっぱい空気の泡が入ってることになるので、その泡をなくす形の方法ですね。私が考えたのは。
大村正樹
結構水の流れって、メッシュを通過すると全体的に白い泡だらけの水が出るときもあるでしょ?でも結城さんはその泡もなくして、空気柱もなくすっていう研究をしてるってことですか?
はい。
大村正樹
なんでそれやろうとしたんですか?そもそも。
  そもそもの始まりは、小学校4年生の時なんです。
大村正樹
えっ!じゃあ、足かけ7年間の研究?
  そうです。まず4年生の時に、お風呂場でジャバジャバって音で「なんだろう?」と思ったら空気の柱があって。まず最初、空気の柱ってわかってなかったんですね。それで調べていくうちに空気の柱だとわかって。これがなくなるとうるさい音が消えたということで、「これをなくす方法はあるのかな?」というのと同時に、「どうしてこんなものがこんな所にできちゃうんだろう」ということを調べようと思ったんです。
大村正樹
それで研究しだしたのが小学校4年生の時?その4年生から7年間どんな研究してたんですか?
  まず水の温度を変えてみて、空気の柱の伸び方が違うかやってみたんですね。そしたら案の定、温度が高くなればなるほど長く伸びたり、あとは変動が激しくなった。伸び縮みが激しくなってしまって、音がもっとうるさくなったんです。そういうことをまず小学校の頃にやっていて、あとはそれ以外のアプローチの方法っていうか、どうしてそういうものができるのかって考えるために、問題になってる網目の部分をかえてみたり。
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大村正樹
へぇ〜。
  例えばもっと大きなザルみたいな網とか、そうじゃなければ繊維質(せんいしつ)、洋服とかくっつけてみて出るか出ないかやってみたんですね。ただ繊維質の方ではその空気の柱はできませんでした。あと網目が大きくてもできませんでした。普通の網目を1枚とか2枚重ねた時にだけ柱ができるので、なんでできるんだろうと思ったんですね。それで2枚重ねるって言ってもいろんな重ね方がありますよね。その重ね方である時できなかったんです。そういう特殊な重ね方があって、ますます「なんでできるんだろう」ってわかんなくなっちゃったんですね。その「なんでだろう」っていうのを考えていたのが、研究の7年間の中で多くを占めていました。
大村正樹
結論からしてみると、究極の水の流れはどういう状態でうまれるんですか?あなたの求める、その空気柱ができなくて、まとまった水が静かに流れるっていう状況は。
それは、まず結論から申し上げると、水の流れをゆっくりにするとできないんです。
大村正樹
じゃあ、水の量を少なめにするってこと?
  はい。それはなんでかっていうと、空気柱っていうのは、メッシュに水がぶつかったときに、その水の中に溶け込んでいた気体、空気みたいなのが溶けこんでるんですね。その空気みたいなのがぶつかった拍子に戻ってしまう。溶け込んでたのがもとに戻っちゃう。そのせいでできるんです。水の流れをゆるくすると、ぶつかった衝撃が少ないから戻れない。そのまま流れてしまう。だから空気柱ができなかった。
大村正樹
へぇ〜。でも小学校4年生からずっと研究してたってことは、どこでも身をかがめながら水の流れを見てきたっていうことですよね?
  そうです。例えば旅行先のホテルでも、家でも、あと田舎に行った時でも、「お、これはできる」「これはできない」っていう風に見てきました。
大村正樹
だよね。変な子って見られなかった?
  大丈夫です(笑)。家の中でやりましたから。
大村正樹
(笑)でもそれが実って文部科学大臣賞につながったわけですよね。
  ええ。
大村正樹
今日この番組というのは、大体あなたが研究を始めた小学生ぐらいのキッズ達に科学に興味を持ってもらいたいな、ってことではじめた番組なんですけど、そういう子供達に結城さん、お姉さんからメッセージはある?
じゃあやっぱり、身近なもので「あれ?不思議だな?」と思った時によく、「ま、いっか」ってやっちゃうんですね。不思議に思った時にそのままにしちゃう。そういうことをしないで、不思議だと思った時におうちの人に聞くとか、先生に聞くとか。また自分で調べてみるとか。その身近な不思議を捨てないで自分で何かやることに結びつけるのがいいと思いますね。
大村正樹
いい話だね〜。結城さんって、ちなみにその空気柱の研究以外にもいろんなことやってきたんですか?
  はい。小学校の時にいろんなことやってきました。
大村正樹
ちょっと是非その話、来週きかせてもらっていいかな?
  はい。もちろんです。
水流
 
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