過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分 2007 3月24日 放送分
「脳にいい遊び」
コーチャー/米山公啓(医学博士)
大村正樹&米山公啓
大村正樹
医学博士ってどういうお仕事ですか?
  いや、博士って言われると困っちゃうんですけど、お医者さんの中のひとつの博士という肩書きみたいなのがあるんですね。本当は専門によって違うんですね。私の場合は神経内科と言って、脳の病気を専門にしている医者なんですね。
大村正樹
ということは、ラジオを聞いてるキッズとはあまり縁がない先生ですかね。
そうですね。むしろお年寄りが多いですね。脳の病気ですからね。おじいちゃんやおばあちゃんがお世話になる先生で、脳の病気のこととか解剖学とか、本当はそういうのが専門なんです。一方で本を書いてまして、脳を元気にする本だとか、いわゆる大脳生理学というちょっと医学とは違う分野もやってますね。今、流行りの脳のトレーニングみたいなものに関しての専門ということですね。
大村正樹
さあ、今日は子供達がちっちゃい頃遊んだものが非常に脳にいい、というお話をしていただくということなんですけど、なんでしょう?
それはですね、ぬり絵ですね。いろんな脳トレとか脳活性のゲームとかありますけど、最近はぬり絵が脳にいいということがわかってますね。
大村正樹
脳にいいのは100マス計算じゃないんですか?
  (笑)もっとこう楽しくやれることということで、ぬり絵が注目されてるんですね。
大村正樹
そうですか。ラジオ聞いてるキッズ、ぬり絵ある?弟とか妹のぬり絵とか今借りて、もしあったらちょっと開いてみて。で、ぬり絵、難しいものから簡単なものまでいろいろありますけど、これはジャンルは問わないんですかね?
そうですね。今は大人向けのぬり絵が出てるんですね。子供向けだとちょっと塗る所が少ないじゃないですか。大人向けは名画とか花の写真をぬり絵にしたような、複雑なものがいっぱいあるんですね。結構細かいんですよ、犬とかね。毛並みの一本一本書かなくちゃいけないんですよ。だけど今日はキッズ用のぬり絵で大丈夫です。
大村正樹
なんで、ぬり絵が脳にいいんでしょう。
  ぬり絵をするっていうことはですね、簡単に言うと脳全体を広く刺激するっていうことなんですけど、例えば色を選ばないといけないですよね。それから見本になる絵を見なきゃいけない。観察力ですね。どんな色が使われているか、そういうものを、「色を見る」、「物を見る」ということが脳全体を刺激するということですね。
色えんぴつ
ぬり絵
 
このページのトップへ
大村正樹
あっ、あの見本がありますよね。例えばキャラクターとか仮面ライダーのぬり絵とか。あれ一応お手本がありますよね。それを真似て書くだけでも脳にいいんですか?
そうですね。具体的に言うと、色を選ばないといけないですね。それからどういう順番で塗っていくかというのがありますね。番号がふってあったりするものもありますし、見本を見ながらやるのもありますけど、その順番、手順を考えるというのは前頭葉と言って、頭の前の方を非常に刺激するんです。前頭葉は最も人間的な脳といいますか、他の動物に比べて一番発達している部分なんです。
大村正樹
なるほど。じゃあおでこのあたりでものを考えて、どういう順番で塗っていこうかと。例えば顔がある。髪がある、肌がある、目がある、口がある、鼻がある、耳がある。みんなだったらどこを先に書くかな。先生、どこを先に書けば(笑)。
塗り方は手順に沿ってもいいし、自分のオリジナルでもいいと思うんですよ。
それは絵を描くっていうことになっちゃうから、ぬり絵の場合はある程度決まった物に色を入れていくわけですから。だから手順というのが非常に重要なんですね。それから絵を見た時に、昔の記憶と比較しなくてはいけないですね。そうすると側頭葉といって、頭の横側ですね。右と左ありますけど、耳に親指を入れて手を広げてあてた状態ですね。それが側頭葉です。
大村正樹
頭の横側ですね。
  それが記憶を使うと非常に刺激されます。それから色を塗るわけですから、手を細かく動かすわけですね。そうすると運動神経ですね。それも前頭葉ですけど、前頭葉にある運動中枢が刺激されて手を動かす。だからただぬり絵っていうと簡単な物だと思うかもしれないけど、色を選ぶとか比較するとか手を動かす。非常に広く脳を使うということに意味があるんですね。
大村正樹
じゃあ別に顔とか体のパーツの、どこの部分を先に塗るかっていうことは関係ない?
  それはあまり関係ないですね(笑)。
大村正樹
関係なくて、考える順番が大事ということですね。
  それから、やり遂げる、ということ。これも非常に重要なんですね。全部きれいに塗るという達成感といいますか、ひとつのことを全部やるっていうことは非常に脳にとっていいんです。勉強終わったりすると気持ちがいいじゃないですか。それと同じでぬり絵も全部塗ると気持ちがいいんです。気持ちいいっていうことは、脳にとって非常によかったっていうことなんです。
大村正樹
僕の子供はぬり絵に、背景の色をつけなかったんですけど、一応枠の中だけ塗ってたんですよ。背景に色をつけるっていうキッズもいると思うんですよね。これはより完成度が高いっていうことですよね?
そうですね。白いところなく全部塗るっていうことですね。それは自分の発想で塗ってみていいんですよ。最初は見本どおりに塗るっていう塗り方もあるし、なれてくれば自分の好きな色を塗るっていう方法もある。だからぬり絵は意外に奥が深いんですよ。
このページのトップへ
大村正樹
これは国語、算数、理科、社会とかの学習能力を伸ばすのに役立つんでしょうか。
  数学ができるようになるとか、そういうこととはちょっと違うんですが、最も人間が持ってる個性をいかすのに非常に重要ですね。これは大人になってから重要な材料です。
大村正樹
なるほど。
そんな中でぬり絵の全国大会があると聞いたんですけど。
  そうですね。一応、世界大会なんですよ。今年の7月に、第1回世界ぬり絵大会という地球規模の大会があるんです。これアメリカとかでやったら困っちゃうんですけど、東京であるんです。同時にぬり絵に対するシンポジウムというか、専門家の話し合いもやるんですけど、一方でぬり絵大会をやって、一般から募集するんですね。その材料は自分で買ってきたものでもいいし、会場で売ってるぬり絵でもいいし、それをうまく塗って参加するんですね。
大村正樹
じゃあこれ誰でも参加できるんですね。
  誰でも参加自由なんです。何年生じゃなくちゃいけないとか。そういうのは全くないです。もちろん大人もOKです。
大村正樹
その辺で売ってるぬり絵でもいいんですか。
  かまいません。でも、その辺のキャラクターのぬり絵だけじゃ・・・。世界大会ですから、それはまあ難しいものをきれいにやった方が評価は高いと思いますけどね。
大村正樹
そうですか。でも上手な大人のぬり絵に対して、ラジオを聞いてるキッズが頑張って書いたものに対して、差が出ちゃうかもしれませんよね。
もちろん年齢別ということも考慮すると思います。小学校低学年の部門とか、中学年、高学年の部門というのがあるんですね。
大村正樹
あとラジオ聞いてるキッズ達が、他にも脳の活性化につながるような物があったら教えてもらっていいですか?
  細かくいうと本を読む時に黙読と言って、目だけで読むんじゃなくて、声を出して読むとか。音読ですね。それから身振りをそえて読むとか。いろいろ体はいっぱい使ったほうがいいです。できるだけ体を動かして。それからラジオを聞くということですね。
大村正樹
おっ!そうですか!ラジオを聞くといいんですか。
  ラジオを聞くっていうことは映像が見えないわけですから、想像しなきゃいけないですね。今は視覚情報と言って、目からいろんな情報が入ってきてしまいますので、自分で考えるよりも先に情報がきちゃうんですね。ラジオの場合は見えませんから、自分でどういう情景なのか、ということを思い浮かべることが脳を刺激します。
大村正樹
なるほど。みんなもこのシークレットラボというのがどういうラボなのか、どういう研究室なのか、イメージしてみてね!
ラジオ
 
このページのトップへ