過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分 2006 12月2日 放送分
「縦横高さ僅か10センチの小型衛星打ち上げへ」
コーチャー/木下延昭さん(日本大学理工学部大学院生)
大村正樹&木下延昭
大村正樹
今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所、シークレットラボからお送りします。大村正樹のサイエンスキッズ。
さあ、今週もまた3週連続で明石小学校4年生の元気な2人のキッズにきてもらいました。お名前は?
小学4年のヤマダケイコです。
  小学4年のスガワラカエデです。
大村正樹
ケイコちゃんとカエデ君。てことでね、もう慣れたね、3回も来てくれてね。ありがとうね。ねえ、2人はさ、宇宙に興味ある?宇宙に行きたいとか思わない?
興味はちょっとある。普通に。宇宙に行くのは、ちょっと怖いもん。
大村正樹
本当。今日はね、このスタジオであとで宇宙に飛んでく物体を見せちゃう。2人に。すごいぞ。ロケットって知ってるでしょ?じゃあ人工衛星は?
知らない。
大村正樹
知らないか。人工衛星ってさ、空を見上げると星が見えるじゃん。でも星かと思ったら、よく見たら動いてるものもあるの。たまにね。それが人工衛星。東京の空でも見えるんだよ。さあ、今日のゲスト、木下延昭さんに聞いてみましょう。人工衛星とロケットの違いから教えてください。
そうですね。ロケットというのは地上から発射されて宇宙へ飛び立つ道具ですね。人工衛星っていうのはロケットによって打ち上げられて、その後地球のまわりをグルグルグルグル回る、そういうものを人工衛星と呼びます。
大村正樹
2人わかった?
  んー、ちょっとだけ。
大村正樹
ロケットと人工衛星、どっちが寿命長いかな?
  人工衛星。
  大村正樹
おー!わかってるね!そういうこと。
人工衛星打ち上げるためにロケットがあるっていうことだね。
人工衛星
(イメージ)
 
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大村正樹
で、今日はこの木下さん、ラジオであるにもかかわらず、普段研究で着ている服を着てわざわざここまで来てくれたんだけど、あたかも宇宙人ですね。白装束で。これは何?ビニール生地ですか?なんでそんな格好してしてるんですか?
これはナイロン生地だと思います。人工衛星は宇宙に行くんですけれども、宇宙に行くと重力がなくなってしまうので、もし衛星とかにほこりとかが着いてしまうとそれが舞ってしまいますので、衛星の中で舞ってしまって他の機器に障害を与えたりしないようにあからじめすごくキレイな状態で衛星を作るためにやっています。
大村正樹
地球にいる時からゴミとかつけないようにっていうことで、この服を着てるってこと?すごいですね〜!どう?みんなこの服。ゴミつけないために、ほこりひとつつけないためにこの格好で勉強してるんだって。人工衛星作ってるんだって。
すごい。
大村正樹
ていうことで、人工衛星っていうのは、よく空にあがってるのを見ることができるんですよね?例えば今日の夜なんか、どこの空みたら人工衛星がどの辺に見えるよ、っていうのは木下さんわかるんですか?
そうですね。国際宇宙ステーションみたいな大きなものでしたら、あらかじめこの時間かこの時間、どの方向飛んでるっていうのがわかりますので、そういうのをインターネットのサイトなんかで調べてもらって、どっちの方角に宇宙ステーションがいますよっていうと、見られます。
大村正樹
なるほど。そうですか。ケイコちゃん、カエデ君ね、この木下さんはものすごい小さい人工衛星を打ち上げようとしてるの。ね。宇宙まで行くもの今日はここに持ってきてくれてるんだけど、ちょっと見せてください。
お見せしましょう。
大村正樹
ジュラルミンのすごい箱が!あっ!あく!今度はプチプチビニールだ!思わずつぶしたくなるな!で、人工衛星が出てくる?えー今、目の前に黒い箱が出てきまして、よく見るといわゆる基板と言われる、緑色のいろんなコンピューターみたいなものが見えているんですが、10センチの立方体ですね。縦、横、高さが10センチ。で、これで人工衛星って言われても、ピンとこないんだけど、これちょっと説明してもらえますか?
そうですね、まあこれ自体では宇宙には行けなくて、ロケットに積んでもらって、宇宙空間で放出してもらいます。
手のひら衛星
 
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大村正樹
ちょっと待ってください、みんなまずこれ見て人工衛星って言われてどうよ?
  わかんない。ただの四角い箱みたい。
大村正樹
だよな?で?これをロケットに搭載する。
この箱の中に何が入ってるんですか?
  この箱の中にはですね、パソコンみたいな電子回路がいっぱい入ってます。この電子回路の中には僕らの声ですとか、そういうのが入ってます。
大村正樹
木下さんの声が入ってる!何言ってるんですか?
  この衛星の名前、「シーズ」って言うんですけど、「私はシーズです」「みなさん聞こえてますか」と。で、この衛星は世界をまわりますので「世界の平和を願っています」とか、この衛星はずっとしゃべり続けます。日本語じゃなく、英語で。世界をまわるので、英語じゃないと通じないんですね。
大村正樹
世界のどこかにいる人が、木下さんの人工衛星の電波みたいなのを傍受したらそのメッセージが流れて、この10センチの超小型人工衛星のメッセージを地上で受けられるということですか?夢膨らみますね〜!あとは何が入ってるんですか?
あとは温度センサーがついてまして、宇宙の温度が何度かはかることができます。
大村正樹
へぇ〜。ちなみに宇宙の温度って考えたことある?
  ない。でも、太陽の近くだったら1000℃以上あるんじゃないですか。
大村正樹
そっか。場所によって温度違うんですね。
高いとき、低いときはどのくらいですか?
  高いときは100℃以上で、1000℃はいきませんね。低いときは-40℃とかですね。それくらいまで下がります。それをこのセンサーでキャッチしながら。それを地上で全部受信して、今衛星が何℃である、ということがわかります。
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大村正樹
そうですか〜。
これは何日間に1回の割合で地球を一周するんですか?
  これはですね。何日間に一回じゃなくて1日に15回。1日15回地球のまわりをまわっています。新幹線の100倍ぐらいの速さで飛んでます。
大村正樹
これが!壊れるじゃないですか!それ新幹線の100倍って…(笑)!新幹線で時速280キロでしょ?てことは、時速28000キロってこと?ちょっと想像できないんですけど(笑)。
そうです。時速28000キロでこれが地球をグルグルまわっています。地球だと空気がありますので空気が邪魔をして落ちちゃったりとか壊れたりしちゃうんですけど、宇宙には空気がありませんので、邪魔をするものが何もないんですよ。
大村正樹
なるほど!はぁ〜。わかった?そうだ!宇宙で背中を押されたらどうなるんでしたっけ?
  背中を押されると、押した側もはねかえりますし、人も離れて行きます。そして、止まりません。ですから、時速28000キロでクルクルまわりだしたらもう止まらないです。
大村正樹
木下さんのこの人工衛星は、ちなみにいつ打ち上げの予定なんですか?
  来年の6月を予定してます。打ちあがったら、一生宇宙を飛び続けてるってわけではありません。実は宇宙に空気がないといっても、ほんの少しだけあるんです。そのほんの少しの空気をうけながら、だんだんだんだん高度が落ちてきます。で、これは20〜30年ぐらいすると大気圏に戻ってきて、もう燃え尽きてしまってなくなってしまいます。
大村正樹
それは勝手に、コントロールしなくても寿命ってことで?じゃあ僕らは20〜30年後、その人工衛星がどうなったのか、もえつきる瞬間も忘れてるけど、作られた本人の方は、木下さんは「俺の人工衛星だ」っていう風にずっと追い続けるわけですね。
そうですね。ずっと思い続けてると思います。
大村正樹
そうですか、わかりました。まあ木下さんの人工衛星では宇宙旅行はできませんけど、こうやって宇宙におくった自分の研究作品がグルグルまわるっていうのは夢がありますね。
そうですね。はい。
大村正樹
はぁ〜。2人はこれまで宇宙のことあまりわかんなかったかもしんないけど、 今の話で宇宙で何ができる、どんな研究ができるかってわかった?なんとなくわかってくれた?
んー。うん、なんとなく。
大村正樹
これからね、まだ小学校の4年生ですけど、中学校になってくるともっと宇宙のこと勉強してくると思うから、是非ね、今日のこの木下さんの話、心にとどめておいてください。はい、木下さん、最後にじゃあ子供達にメッセージがありましたら一言お願いします。
そうですね。これまで宇宙っていうと、今、人が行くっていうことがあるんですけども、工学の世界、作る世界では、自分の作ったものが宇宙に行くというのもひとつの夢ですので、自分が行く以外にも、自分の作ったものが宇宙に行く、というのはとてもおもしろいことですので、是非みなさん、将来、宇宙にあがるものを作る、楽しい宇宙工学、勉強してみたら面白いんじゃないかと思います。
人工衛星
(イメージ)
 
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