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過去の放送分 過去の放送分 2006 10月21日 放送分
「冥王星が惑星から外れた理由」
コーチャー/長谷川洋一さん(有人宇宙システム・航空宇宙エンジニア)
大村正樹&長谷川洋一
大村正樹
長谷川さん、今日はこの星の話なんですけどね。今年の夏に冥王星が太陽系の惑星から消えてしまった。この冥王星を偲びたいんですけど(笑)。冥王星ってちっちゃいんですよね?
あの、大村さん、消えたんじゃなくて(笑)。惑星とは言われなくなっただけですからね。まず、その「小さい」話なんですけど、どのくらい小さいか。二千何百kmといっても、キッズのみなさんわからないでしょうから、わかりやすく例えます。わかりやすく言いますと、今ラジオをきいてるみんなの顔が、そのまま太陽になっちゃったと考えてください。みんなの顔が太陽だと、そしたら冥王星がどこにあるのか。なんとですね、1kmぐらい先にあるんですよ。それもですね、1km先にあるボールペンの先にあるボールぐらいの大きさなんですよ。。
大村正樹
ボールペンの先っぽの0.2mmとか0.3mmぐらいのあの先っぽですか!?それが1km先にある…。
  はい。みんな、お父さんの車が渋滞してたら、お父さんの顔を太陽に見たてて、 1km先にあるボールペンの先っぽが冥王星だと。それぐらいちっちゃいんです。でも、地球だってあんまり人のこと言えないんですよ。じゃあみんなの顔が太陽だったら、地球は25mプールの反対側にあるゴマ粒ぐらいなんですよ。
大村正樹
まあそれぐらい小さいってことですね、冥王星は。これは外されて当然といえば当然なんですか?
  いやいやいや、これは色々ありましてね。学者が大変議論してものすごくもめちゃったんですけどね。まあこのあとにだんだんお話していきたいと思います。でも、ちっちゃすぎるから外されたわけなんですけどね。例えばですね、ちっちゃすぎても、他に同じようなものがなければ外すことはないですよね?ところが、冥王星と同じぐらいの大きさのものがですね、ここ何年かでどんどん見つかっちゃったんです。もしもみんなお誕生会で、どうしますかね、あの子を呼んだらこの子も呼ばなきゃおかしいよ、とか、そういう風なところってありますよね?冥王星が惑星なんだったら、「僕も、私も惑星」っていうような、そういう同じぐらいの星がどんどん見つかっちゃってるんです。
大村正樹
じゃあ、冥王星君にはちょっと今回はずれてもらって、おさまりがよい、ということなんですか?最初は、太陽系の惑星は9個から12個に増えるっていわれたと思ったら、一週間もたたないうちに1個減って8個になっちゃったじゃないですか。12個に増やそうって思った人もいたわけですよね?
そうですね。でも、学者の先生達の会議はもめにもめてですね、結局最後は学級会と一緒で、多数決で決まったということなんですよね。でもそれはやっぱり、お誕生会の友達を12人に増やしたら、もっともっと増えてしまうかもしれない、ということなんですね。明日は13かもしれないし、あさっては14かもしれない。そしたらみんなテストで覚えるのが大変じゃないですか。
冥王星
冥王星
 
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大村正樹
じゃあ冥王星レベルのものは、実は太陽系に相当あるっていうことなんですね?なんでこの冥王星が長いこと太陽系の中に入っていたんですか?
冥王星レベルのものは、そうですね、これからもどんどん見つかると思います。実はですね、海王星までは見つかっていたんですけど、冥王星は1930年、76年前に見つかりました。もう喜寿ですね。数えの77。77歳ね、わかる、喜寿?おじいちゃん喜寿の人いるかな?それでですね、その1930年に計算間違いがあってですね、偉い先生が「このあたりにきっと、見えてない惑星があるに違いない」って計算しちゃったんです。
大村正樹
76年前に?
  そうです。そしてそこをその弟子がですね、必死になって探したんです。写真を見比べて、見比べて。そしたらあったんですよ。星が。それが冥王星です。それで太陽系の惑星に入ったんですね。他がもうないと思われてましたから。それに冥王星はもっと大きいと思われてたんですよ。地球の半分ぐらいはあるだろうと思われてたんですよ。今では地球の5分の1ぐらいという風になってます。
大村正樹
76年前って天体望遠鏡はあったんですか?
  ありましたね、これはありました。写真もやっとこさっとこありまして、その写真の技術を使ってですね、見つけたんです。それを見つけたのはアメリカ人なんですね。
大村正樹
ちなみに、水金地火木土天海までは何人が見つけたんですか?
  えーと、いろんな国の人なんですが…。だって地球なんてみんな見つけてますしね。大昔のエジプトの頃からほとんど見つかってますけれども、冥王星だけはアメリカの人なんです。だからアメリカ人にとっては、冥王星が誇りなんです。プライドなんです。もうそれが惑星から外されちゃうっていうのは、アメリカの人みんな反対ですね。
大村正樹
あ、ブッシュ大統領も怒ってるんですか?
  ああ、きっとそうですね。わかりませんけど(笑)。だってインターネットで署名運動が起こっちゃったんですよ。冥王星を外さないで、元に戻せって。惑星、惑星、って。でももしかしたら他にも困ってる人たちがいるかもしれませんね。
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大村正樹
冥王星って、日本だから冥王星っていうじゃないですか?外国ではなんていうんですか?
  英語ではですね、プルートです。プルートっていうとミッキーの飼い犬のプルート?そうです。ミッキーのプルートですね。同じなんですね。アメリカですから。ディズニーもアメリカですよね。ですから冥王星が見つかったとき、アメリカは嬉しくて嬉しくて、それであのプルートっていうのが生まれたんじゃないかと思いますね。冥王星のプルートが先に生まれて、ディズニーのわんちゃんのプルートが後に生まれたと。
大村正樹
プルートって、もともとどんな意味があるんですか?
  プルートはですね、日本語でいうとまあ、閻魔大王みたいなもので(笑)、あの世の神様です。ミッキーのわんちゃんは日本では、閻魔大王みたいな意味になりますね。アメリカの人がプルートって名付けて、ミッキーの飼い犬もプルートで、それじゃあプルートの立場なくなっちゃいますね。
ところがですね、ディズニーも大したもんなんですよ。冥王星は惑星じゃないけれども、ドワーフ惑星という風な新しい名前になったんです。ドワーフっていうのはですね、例えば、みんなロールプレイングゲームなんかで必ず出てきます、ファンタジーの物語の、ちょっと背が小さくて力の強い人たちなんですね。ロード・オブ・ザ・リングにも出てきましたね。例えば、白雪姫と7人のドワーフっていうのありますね。これがドワーフです。で、「じゃあプルートもドワーフ惑星になったんだったら僕らの仲間においでよ」、という風にですね、白雪姫のドワーフ達が今誘ってるんですって。まあ、どうかわかりませんけども(笑)。
大村正樹
ディズニーの方から、ディズニーの会社の人が「じゃあそのプルートの立場がなくなっちゃったから、白雪姫の物語の中にプルートがお引越しするかもしれない」ということなんですか?
そうかもしれませんが、白雪姫のドワーフ達が本当に言ったのかもしれません。でも、はっきりとしたことは私にはちょっとわかりません。私は宇宙の専門家ですら。これからディズニーの映画がどうなっていくか、楽しみではありますね。
大村正樹
長谷川さん個人的には、冥王星は太陽系に入れといた方がよかったと思いますか?
  そうですね。もう既得権といいますか、もともとそうだったんですから、覚えなおすのもあれだし、せっかく子供たちが教科書で水金〜って覚えたじゃないですか。そのままでいいんじゃないかと思いますけどね。本当はみんなそう思ってるはずです。
地球
 
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