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2019年12月16日

近鉄バファローズ最後の選手会長・礒部公一さん

 12月16日放送
 『岩本勉のまいどスポーツ』のゲストは
 近鉄バファローズ最後の選手会長
 近鉄、楽天OBの 礒部公一さん。

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 礒部公一さんは所属選手として
 ガンちゃんは対戦相手として
 球団消滅から15年
 近鉄バファローズの魅力を振り返るとともに
 プロ野球史上唯一のストライキが行われた
 2004年の球界再編騒動について
 語り合っていただきました。

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◆◆ 礒部公一さん プロフィール ◆◆

 1974年3月、広島市出身、45歳(放送日時点)
 右投げ左打ち。

 西条農業高校3年時、夏の甲子園大会出場。
 三菱重工広島を経て
 1996年のドラフト3位で
 近鉄バファローズ入団。

 4年目までは捕手と外野手とで併用され
 5年目の2001年からは外野手に専念。
 この年は打率.320(キャリアハイ)
 得点圏打率.417(リーグ1位)
 ベストナイン受賞。

 2003年オフ、近鉄の選手会長に就任。
 2004年は、オリックスと近鉄との球団合併に端を発した
 球界再編騒動の渦中で
 プロ野球選手会の一員として球団の存続や
 2リーグ制/12球団維持のために奔走。

 2005年からは新規参入球団・楽天に移籍し
 初代選手会長に就任。
 2009年、現役引退。
 プロ13年、通算1225 安打。

 2010年から8年間、楽天でコーチ。
 現在はプロ野球解説者として活躍。

 ※「磯部」「バッファローズ」は間違いの多い誤表記

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  松坂大輔、岩本勉 対策

 礒部さんは近鉄時代にガンちゃんと対戦しています。

 1990年代後半~2000年代は各チームに
 岩本 勉松坂大輔投手、黒木知宏さんといった
 先発完投型のピッチャーがエースとして君臨。

 試合前/キャンプのミーティングでは
 対戦チーム/他球団の先発投手の対策に
 多くの時間が割かれたそうです。

岩本 「そのピッチャー崩せば
     その試合取れるくらいやから」


礒部 「近鉄って『いてまえ打線』って
     言われるような打線なんで
     あまりそういうの
     ないように見えるじゃないですか。
     僕が入った時に
     伊勢さんがおられたんで
     すごくミーティングの時間
     長かったですね」


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 伊勢孝夫コーチは
 ヤクルト打撃コーチ時代に野村克也監督の下で
 3度のリーグ優勝を経験。
 近鉄では1996年~2001年に打撃/ヘッドコーチを担当。

 カウントごとの投手の球種の割合や
 場面ごとの狙い球などについて
 ミーティングでジックリと対策を練ったそうです。

岩本 「バッターたちのミーティング、
     面白いよ。
     あとから聞いたんだけど
     西武・土井正博さんが
     『予告先発・岩本』の時に
     『あいつな、気が短いから
      イライラさせろ。以上』

     言うてたらしいで。
     僕はそんなイメージなかったんやけど
     起伏が激しいピッチャーだっていうことを
     土井コーチなりに伝えたんだと思う」


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 近鉄のバッターのミーティングでは
 松坂大輔投手との対戦前、
 追い込まれたら手も足も出ないことから
 たとえ初球攻撃を続けて
 『27球』で終わったとしてもかまわない――と
 積極的に打ちにいく方針が伝えられました。

礒部 「『とりあえず(ボールが)見えたら
      
(打って)いこう』

     というミーティングもありました」


岩本 「僕らがイチローに
     『困ったらど真ん中でええ』
    
(どこに投げても打たれたら)
     『打率は一緒やから』いうのと同じや」


礒部 「四隅いっても打たれるから。
     ワンバンも打つんやからね」


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  球界再編とストライキ

 2004年6月、近鉄は
 オリックスとの球団統合――合併を発表。
 その後、パ・リーグでもう1組の合併を進め
 10球団/1リーグ制とする
 経営者側の意向が明らかになりました。

 プロ野球選手会は
 近鉄球団の存続の道を探るため
 合併の1年間凍結と
 12球団・2リーグ維持を要求。

 選手会役員たちは意見のとりまとめや
 プロ野球機構との交渉など
 試合をこなしながら 話し合いを続ける日々を送ります。

岩本 「どんな心境で野球をやってたん?」

礒部 「野球をやってる感覚じゃ
     なかったですよね。
     野球をやってる間、
     その3時間が一番楽な時間。
     そこからユニフォーム脱いで、
     なんとか12球団存続、
     近鉄を残したい――という活動を
     しなきゃいけない立場にありましたんで。
     『なんとか12球団残して・・・』
     そういう気持ちが一番強かったですね」


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岩本 「せっかく認知度の高いスポーツを
     『縮小ですか?!』――というので
     相当、僕らイヤやってんね?」


礒部 「ホントにイヤやったですよ」

長 「たくさんの署名が集まったんですよね」

岩本 「選手会が集まって
     この話し合いの時、
     涙を流しながら話をするんやで」


礒部 「歴史のある球団でしたから
     本当に残ってほしいし、
     裏方さんとかが・・・、
     二つの球団が一つになるわけですから
     はみ出ちゃうわけじゃないですか。
     それが一番気になったので」


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 9月18日、19日の二日間は
 プロ野球史上唯一のストライキが行われました。

 スト決行が決まったのは前日(17日)の試合中。
 (日本ハム対近鉄/札幌ドーム)

岩本 「選手会は『給料止まってでも』
     という姿勢を示してんね。
     頑張ってセ・リーグ、パ・リーグで
     『この
(2リーグの)文化
      崩しちゃいかん!』
思ってた。
     他人事じゃなかったな」


礒部 「本当にありがたかったですよ。
     他球団の方も応援してくれたんで」


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 ストライキは9月25日、26日にも予定されていましたが
 23日に行われた労使交渉の末、中止。

 NPBが来季(2005年)に
 12球団に戻すことを視野に入れ、
 新規参入を表明していた企業の
 参加資格の取得について
 適切に対応することで
 プロ野球選手会は合意。
 「近鉄とオリックスの球団統合の1年凍結」の
 要望を取り下げました。

 労使交渉後の記者会見礒部さんは
 「球界の発展のために、
  今回はこの戦いに幕を下ろす決断をしました。 
  バファローズファンの皆さん、
  本当に申し訳ありません」
とコメント。

礒部 「言葉が見つからないというか
     出なくて、
     顔、上げれなかったです。
     最終的にはゴネてもしょうがない、と。
     12球団残してくれて
     今の状況で行けるならば、
     ということで近鉄の選手会は折れた
     ――ということですよね」


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  本『近鉄魂とはなんだったのか?』

 礒部公一さんが全面協力した本が
 先月発売されました。

 近鉄魂とはなんだったのか?
  最後の選手会長・礒部公一と探る
(集英社)

 著者はスポーツライター・元永知宏さん。
 近鉄OBをはじめ、多くの関係者に取材を行い
 近鉄球団の歴史をたどるとともに
 消滅してしまったチームに対して今も抱いている
 想いに迫る一冊です。
 礒部さんは取材に同行し、
 本書にてナビゲーター役を務めています。

礒部 「ひと言で言うと
     近鉄の歴史が詰まった本。
     今読み返してみると
     『いいチームやったな』と思えるような本です」


岩本 「ロマンがあったんだって!
     これはたまらんな。
     パ・リーグファンの人には。
     どのチームを支持している方も
     涙浮かべながら読んでいただけると思うよ」


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  礒部公一さんの最新情報

 『近鉄魂とはなんだったのか?
    最後の選手会長・礒部公一と探る
  (著者・元永知宏)
  (集英社/1,700円+税/2019年11月発売)

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  詳しくは 集英社「よみタイ」
  または  集英社のウェブサイト をご覧ください。

礒部 「こういう本が出て
     皆さんに読んでいただいて
     また近鉄を思い出して
     いただきたいと思いますし
     語り継いでほしいなと思います」


 礒部公一さんの最新情報は
 プロ野球解説者 礒部公一 公式ウェブサイト
 ご覧ください。

投稿者 文化放送スポーツ部 : 2019年12月16日 18:30