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2022年07月20日

第167回直木賞 芥川賞受賞作決定!

直木賞と芥川賞の受賞作が発表されました。
いやはや今回の予想はかすりもしませんでしたねー。

直木賞は窪美澄さんの『夜に星を放つ』
芥川賞は高瀬隼子さんの『おいしいごはんが食べられますように』
それぞれ選ばれました。

窪さんの短編集『夜に星を放つ』は、
すべての作品で大切な人との別れが描かれています。
詳しくは各選考委員の選評を見てみないとわかりませんが、
もしかするとコロナ禍の世相も少なからず選考に影響したのかもしれません。

一方、高瀬隼子さんの『おいしいご飯が食べられますように』は、
ほんわかしたタイトルからはおよそ予想できないダークな小説です。

手間をかけておいしいご飯をつくること。
それはとても正しいことのように感じられます。
でも本当にそうでしょうか。
この小説は、「おいしいご飯を食べること」の背後に潜んだ
抑圧や人間の悪意を巧みに描いています。

ごく普通の職場を舞台に、
そして根っからの悪人が出てくるわけでもないのに、
読み心地はえらく不穏なのです。
そのあたりの上手さが評価されたのかもしれません。

どちらの作品も、誰が読んでも楽しめます。
そういうオーソドックスな作品だからこそ、
むしろ受賞はないと予想したのですが、
今回は見事に裏目に出てしまいました。

ともあれ、窪美澄さん、高瀬隼子さんにはお祝い申し上げます。
おめでとうございます!

投稿者 yomehon : 2022年07月20日 23:26