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2016年07月19日

第155回直木賞受賞予想作はこれ!


今回の候補作のラインアップは、
初エントリーの方がひとりもいないという極めて珍しいケースでした。
(調べたらどうやら戦後では過去に1例だけあるようですが)

ということはつまり、誰がとってもおかしくないわけで、予想はとても迷いました。

あれこれ検討した結果、最終的に残ったのは、
伊東潤さんの『天下人の茶』(文藝春秋)と、
原田マハさんの『暗幕のゲルニカ』 (新潮社)の2作品。


その中から、『暗幕のゲルニカ』を当欄の受賞予想作として推すことにします。


他の候補作がすべて短編集なのに対して、
『暗幕のゲルニカ』だけが長編で、
それだけ強い印象を残したということももちろんありますが、
それ以上に、このところ世界中でテロが続いていることから、
やはりこういう作品こそがいま読まれるべき小説ではないかと考えました。


同じようなことは芥川賞にも言えて、
こちらは政治に翻弄される在日朝鮮人の女の子の青春の日々を描いた
崔実さんの『ジニのパズル』(講談社)が受賞するのではないかと思います。

直木賞や芥川賞はしばしば時代を反映します。

世界が急速に不安定化しつつあるいま、
ぼくたちを正気に踏みとどまらせるような作品こそが
選ばれるのではないか(いや、選ばれて欲しい)と考えるのですがいかがでしょうか。

選考会は本日午後5時から、築地の新喜楽でひらかれます。

投稿者 yomehon : 2016年07月19日 09:00