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2015年06月29日

もうすぐ第153回直木賞予想

毎年、そろそろ梅雨も明けようかという頃合いになるとやってくるのが、
下期の直木賞予想。

今回の選考会は、7月16日(木)に予定されています。


以下に、第153回直木賞の候補作をざっと並べてみましょう。


門井慶喜さん  『東京帝大叡古(えいこ)教授』 (小学館)

澤田瞳子    『若冲』 (文藝春秋)

西川美和    『永い言い訳』 (文藝春秋)

馳星周     『アンタッチャブル』 (毎日新聞出版)

東山彰良   『流(りゅう)』 (講談社)

柚木麻子   『ナイルパーチの女子会』 (文藝春秋)


まず目につくのが、
文藝春秋の作品が3作も並んでいること。 

なにがなんでも直木賞をとりにいくという意気込みのあらわれかどうかはわかりませんが、
いずれにしても今回の予想は、この文春の3作が中心となるでしょう。


近々、直木賞直前予想をアップいたします。
その中で、各候補作を詳しくみてまいります。

お楽しみに!

投稿者 yomehon : 13:07

2015年06月16日

希望のノンフィクション

ノンフィクションは数ある本の中でも大好物のジャンルです。
でも、いつの頃からか、このままではその行く末は厳しいのではないかと思うようになりました。

端的に言って、まず売れないという現実があります。

ノンフィクションの書き手にとって、
多様な作品を発表できる場となっていた総合誌が売れなくなり、
廃刊や休刊が相次ぐようになった頃から、
次第にジャンル自体も細っていったように思います。

ノンフィクションというのはただでさえ取材に手間暇がかかるジャンルなのに、
発表する場もないうえに、単行本が売れることも期待できないとあっては、
書き手はどうやって作品の質を確保していけばいいのでしょうか。

ノンフィクションを取り巻く環境はとても厳しいと言わざるを得ません。


ただ、そういう環境面の問題のほかに、
ノンフィクションというジャンルそのものの行き詰まりもあるように思うのです。

弱者の側に立って権力の欺瞞を撃ったり、
生存者から需要な証言を引き出して歴史に埋もれた真実を発掘したり、
そういう昔ながらの手法に基づいた作品はいまも細々と書かれています。

それはそれとして書かれる意味はあるし、重要は作品も少なくありません。

でも読まれない。
読者に手にとってもらえない。

となると、これはもう、読者が望むものと出版されているものに
齟齬があるのだと判断するしかないのではないでしょうか。

ノンフィクションはいつのまにか読者の関心領域から離れてしまった。


ならばいまの読者はなにを望んでいるのでしょうか。


1999年に出た本なので、いまでは古書でしか手に入りませんが、
藤吉さんには『ノンフィクションを書く!』という著作があります。 

『福井モデル 未来は地方から始まる』(文藝春秋)

投稿者 yomehon : 10:13