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2006年05月03日

ニャ夢ウェイに夢中!!

ニャニャニャ、ニャーッ!!

猫ひろしではありません。
我が家の合言葉です。
いま我が家はネコマンガに夢中なのであります。

きっかけは書店でみかけた一匹のネコでした。
表紙いっぱいにアップになったキジトラに
「ニャーッ」と呼びかけられたような気がして
思わず手にとったのが『ニャ夢ウェイ』(ロッキング・オン)。

表紙をめくると、階段の上からわずかに顔をのぞかせながら
こちらをうかがうネコの写真があって、

「カ・・・カワユス!!」(by しょこたん

即、購入しました。


ある日、松尾スズキ宅にかわいらしい雑種ネコがやってきます。
名前は適当な経緯で「オロチ」に決定(最初はオロチョンだった・・・)。
このオロチを主人公にした爆笑ネコマンガが『ニャ夢ウェイ』なのです。

松尾スズキが原作を書き河井克夫がマンガを描いた『ニャ夢ウェイ』は、
2002年から雑誌『BUZZ』で連載され、その後は『ロッキング・オンJAPAN』で、
途中からは「ニャーと言える日本!」とタイトルを替え連載されています。

奇才・松尾スズキと河井克夫のコンビですから
まず面白くないわけがありません。
僕もヨメも爆笑しまくりで、
以来、我が家ではこのネコマンガがすっかりブームになっています。


ネコマンガといえば、まず名作として思い浮かぶのが
小林まことの『What‘s Michael?』です。

週刊モーニングで連載が始まった20数年前、
ちょうど僕もマイケルと同じ柄のネコを飼っていたために
このマンガにどっぷりハマった思い出があります。

『What‘s Michael?』の面白さを支えていたのは
ひとえに作者の観察眼です。

たとえば(飼ったことのある人はわかると思いますが)、
ハエなどをつかまえようとして失敗したとき、
ネコはよくその失敗を取り繕うような行動をとります。

じっくり狙いを定めて獲物に飛びかかったクセに、失敗すると、
まるで何事もなかったかのように毛づくろいをはじめたり
たまたまその場にあったオモチャで遊びはじめたり、
「ホントはぼく、ハエになんて興味なかったんだ」
とさかんにアピールするかのごとくふるまいます。

小林まことさんもマイケルのそんなふるまいに目をとめてネタにしていました。
たしかオチは、失敗したマイケルが踊り出すというものだったと思います。


松尾スズキも同様の観察眼を持っています。
が!松尾スズキの凄いのは、さらにそこに妄想が加わること。

たとえばオロチを観察していた松尾氏は、
餌場にやって来て器に餌がないとわかったときのオロチが
奇妙な行動をとることに気がつきます。

一回、奥に引っ込んでから、もういちど違う出方で餌場にやってくるのです。
リセットする感覚なのでしょうか、
それとも登場の仕方を変えれば餌が現れるとでも思っているんでしょうか。
ともかく、いちど階段の奥に引っ込んで、違う出方をするという行為を繰り返します。

最初はふつうに出てきて「あ・・・エサがない」と気がつく。
次は、「火事!?火事!?」みたいな感じでダーッと走ってくる。
次は、「家政婦はみた」的テイストでそろ~っと現れる。
次は、上京したての人みたいにキョロキョロしながら・・・
次は、「ミッション・インポッシブル」のトム・クルーズみたいに上から・・・
次は、メイン司会者に食らいつく若手芸人みたいな感じで・・・

というように、松尾スズキの妄想はどこまでも暴走するのです。

また、たんなる観察日記に堕していないところもこのマンガの素晴らしいところ。

あるときは、飼い主とオロチが合体した「マツオロチ」が登場し、
あるときは、飼い主とオロチが漫才をし、
あるときは、わざわざつくった紙粘土の人形で人形劇仕立てにし
あるときは、他のマンガをパクって「だにゃんずうぉ~か~」をやり・・・

というように、読者を飽きさせない工夫も満載です。
ちなみに僕のいちばんのお気に入りは、
近所のバアさんに勝手に去勢される野良ネコを薄幸な女に見立てた回です。


ところで、オロチを見つけてきたのは、松尾氏の奥さま「妻子」です。
マンガを読んでいる時はうちのヨメと同類のアホな女かと(失礼!)
思っていたのですが、
巻末のエッセイ「妻子のオロオロオロチ!」を読んで驚愕!
な、なんと、うちのヨメとは似ても似つかぬ知的な美しい女性ではないか!!
この妻子さんも『ニャ夢ウェイ』には欠かせないキャラクターです。

ともかく読めば爆笑間違いなしのネコマンガ。
ネコ好きのいかんを問わず超オススメです。

投稿者 yomehon : 2006年05月03日 12:20