キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今週も身近にある日用品に隠された科学の原理にせまっていきたいと思います。お母さんがたは、洗剤はどうやって選んでいますか?今日はお母さんのために最後、洗剤の選び方のポイントみたいなものをズバリ聞いてみたいと思います。お知らせの後、サイコーが登場しま〜す。
今週のサイコーも大学出版会を運営するかたわら、サイエンスジャーナリストとして活動されていらっしゃいます花形康正さんです。こんばんは。
こんばんは。
前回、使い捨てカイロの秘密をうかがって、ちょっと衝撃だったのですが…。すごくキッズたちに悪いんだけれど、大人のスポーツの話でひとつ聞いていいですか?
はい。
ゴルフボールですが(笑)。野球のボールなどは表面がツルッとしているじゃないですか。だけれど軟球のボールになるとデコボコしているでしょ。ゴルフボールもデコボコしていますよね。でも、テニスボールはデコボコしていないですよね。
していませんね。
「あのボールのデコボコは何なのか?」という。あれは何ですか?
あのデコボコは、ディンプルという名前がついているんですよ。
ディンプル。
あの凹みがあることによって、例えば石川遼選手が何メートル先のどの位置に置こうと、あれがあるから打てるんです。あれがないと決して打てません。
あれがないとボールはどうなるんですか?
サッカーで無回転シュートが話題になっていますよね。
ええ。
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回転しないボールはフラフラフラフラして、ゴールキーパーも予想がつかない動きをしますのでシュートに結びつく。ですから、回転してああいう凹みがあることが非常に重要です。
いわゆる正確なショットを打つために必要な穴なんですか?
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そうですね。
軟球の軟式ボールのディンプルは何ですか?
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あれも同じような効果があるんです。硬球もツルツルとおっしゃいましたけれど、縫い目がディンプルと同じ役目を果たしています。
へぇ〜、そうなんですか! まっツルツルのボールはピンポン玉ですよね。
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そうですね。
ピンポン玉は軽いですよね。軽いから不思議な回り方をすると思っていたけれど、ディンプルがないのも多少やっぱり影響があるんですか?
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はい。
へぇ〜。
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ボールは、当然空中に投げると空気抵抗を受けますよね。
はい。
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そうするとボールの前は気圧が高くなるんです。空気に押されて進んでいきますので。後ろは進んでいくので空気が薄くなりますよね。空気は気圧の高いところから低いところへ移動するという性質があるんです。
はい。
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ですから後ろに引っぱられる力が働いて、飛ばなくなっちゃうんですね。
あぁ。
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ディンプルがあると、ゴルフはクラブの角度からいってバックスピンがかかって飛んでいきますので、そのディンプルが前の空気を引っかけて後ろに送るんです。そうすると気圧差がなくなりますので、後ろに引っぱられる力が弱まる。ですから遠くに飛ぶという原理になるんです。
となると、サッカーの本田選手の無回転のフリーキックは、実は無回転だからゆえに速度は急速に落ちてるんですね。
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そうですね、そういうことがいえますね。
回転しているほうがグッと伸びていくわけですね。
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伸びます、はい。
そうかぁ。
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野球でも打者の手前でスーッと伸びる球、これは回転を与えないとそうはなりません。
はぁ〜。
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あとディンプルにはもうひとつ、先ほどの気圧差がありましたけれどボールがバックスピンで回ってきますので、上のほうは空気を速く流し、下のほうは空気を遅く流す。そうすると下のほうは気圧が高くなりますので、やっぱり下から上に持ち上げる力が働く。
飛距離が伸びるということですか?
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そういうことです。
ほぉ〜。
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あのディンプルは400から500ぐらいあるんですが…。
えっ、ゴルフボールに400から500もデコボコ、あんなちっちゃいボールに!
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まぁ、おひまな時に数えていただくと(笑)。
いや、そんなひまないですよ(笑)。
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そうですか(笑)。よくご覧になると、メーカーによって大きさも違うものがありますよ。
へぇ〜。
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小さい凹み、大きな凹み−この配列をやっぱりいろいろメーカーさんが工夫してるんです。
ディンプルの多いほうと少ないほう、どっちがいいんですか?
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う〜ん、これはゴルフボールの設計者−私もゴルフをやるんですが、あまり多いとやっぱりイヤだなという。
そうですか、わかりました(笑)。僕はボール一種類しか使わないので、ちょっと数えてみよう。
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ぜひどうぞ(笑)。
は〜い(笑)。ところで今、車ってほとんどETCがついていますよね。
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そうですね。
ETCは最初のうちはなかなか浸透しないと思ったら、今は買った段階で車についていたりしてますよね。
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ええ。
あれは何か科学が含まれているんですか?
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最先端の技術が使われているのはもちろんですけれど。
何か偽造事件みたいなものは、あまり聞かないですよね。不正があまり起きてないんですかねぇ。
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それがあったら、もうシステムはほとんど終わりになりますので。そのために5.4GHz(ギガヘルツ)対応電波−これは広域に広がりにくい電波ですが、いわゆるセキュリティ対策は万全です。ETCの発行・認証センター、ORSEというのがあるんですが、そういったところで情報はすべて暗号化でなされています。
ほぉ〜。
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その暗号を偽造したり読み取ったりは、事実不可能と考えてけっこうです。
そうなんですか。ある程度信用していいツールになっているわけですね。
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それはもう間違いなく安全です。
けっこう疑っているのは、アナログですが洗剤。コマーシャルでいろんなことをうたっているじゃないですか。
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そうですね。
これは「汗、汚れ」とか「油もOK」とか。家庭用の食器洗いでもかまいませんし、洗濯でもいいしと、いろんな効果をうたっていますが、最近は香り系の柔軟剤の効果で、その洗剤の効果がよくわからなくなっていると思うんですよ(笑)。あれはどう思いますか?
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いろんな色をつけたり、洗った後に衣服にいい香りが残る。これらはひとつの重要なアイテムだとは思うんですが、基本的洗剤の働きが、やっぱり洗剤には一番重要なことだと思うんです。
油、泥、汗とかいうけれど、それが果たしてどこまで落ちてるかは、僕ら一般人は測れないですよね。
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そうですね。
泥だけですよね、目で見てわかるのは。
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ええ。皮脂汚れはほっとくと、非常にイヤ〜な匂いを発するんですね。
はい。
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ですから、泥はもちろんですが皮脂汚れを落とす。これは洗剤にある程度大事になってきます。その皮脂汚れは油ですよね。
はい。
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当然、水洗いして油と水は混ざりませんので、洗剤の中には界面活性剤という、いわゆる主役がいます。この界面活性剤は水となじみやすい部分と、油となじみやすい部分の二つを持ったものだと思ってください。
はい。
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それが油と水の界面−物と物が接する部分を界面というのですが、そこに入り込んで水と仲がいい部分と、油と仲がいい部分の橋渡しをする。油を丸めて水の中に分散させる。これが界面活性剤の働きです。
はい。
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ただ界面活性剤はもちろん主役ですがそれだけじゃなくて、ビルダーと呼ばれる水道水の中にはカルシウムとか金属イオンが入っているんです。
ええ。
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金属イオンというのですが、金属がいろいろ溶け込んでいるんですね。これは界面活性剤の働きを阻害しちゃいますので、ビルダーがそいつらを除去するというか、よけながら主役が活躍できるような状況を整える。
それは、取扱説明書に書いてあるんですか?
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ビルダーとして何々が配合されているということは書いてあります。
そうなんですか! ビルダーを?
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はい。
いやぁ、全然知らなかったです。そうですか。じゃあ、皮脂汚れはそのビルダーのところがポイントですね。
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あくまで主役は界面活性剤で、そいつが活躍できるようにビルダーが悪者を追っぱらうというイメージですね。
そうかぁ。ほんと柔軟剤の匂いだけで、何かきれいになったと思っちゃっているんで、いやぁ(笑)。
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やっぱり本質は洗浄力ということになりますよね。
ですよねぇ。そこもこれからチェックして、ということですね。
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はい。
もう時間ですね。ありがとうございました。まだまだ聞きたいこと、「電子レンジは何であったまるのか?」などいろいろ聞きたいことがいっぱいあったんですが、また今度教えてください。
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はい、わかりました。
今週のサイコーは花形康正さんでした。ありがとうございました。
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ありがとうございます。
洗剤は裏側の成分表示がけっこう重要みたいですねぇ。最近は柔軟剤の香りの強化で、洗濯の効果がよく見えなくなっていると思うお母さん方も多いと思います。ちょっとした科学が含まれていましたよ。では、来週も5時半に会いましょう。バイバ〜イ!