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「キッズの質問に答えます」(1)
コーチャー/寺門和夫さん(科学ジャーナリスト)
寺門和夫さんのブログはコチラ>>http://blog.scienceweb.jp/
大村正樹&寺門和夫

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今日は好評のキッズからの質問特集です。この質問特集というと、サイコーは科学ジャーナリストのあの方ですが、ほんとにユニークな質問がたくさん届いていま〜す。


大村正樹

質問コーナーといいますと、おなじみの科学ジャーナリストの寺門和夫さんです。こんにちは。よろしくお願いします。

こんにちは。よろしくお願いします。


大村正樹

さっそく、江東区のショウゴ君、12歳の男の子から来ています。「日本人がイグノーベル賞をもらったというニュースを見ました。人を黙らせる機械だと聞きましたが、どういう仕組みですか?このほかにも日本人がイグノーベル賞を受賞してるそうですけれど、それはなぜでしょうか?」。イグノーベル賞って、もう有名になりましたよね。

そうですね。


大村正樹

本家と同じぐらいの話題になりますけれど。

はい。


大村正樹

また日本人が受賞したんですって。

よく受賞してますよね。


大村正樹

人を黙らせる機械って?

これ、なかなか発想がユニークだと思うんですけれど、元々は脳のきちんとした基礎研究からできてきている話です。人間の脳というのは、いろんな行動を自分がしていながら外からの刺激を常に受けて情報処理をしている。頭の中がいつも働いているわけですね。


大村正樹

はい。

例えば今われわれがしゃべってますが、その時に自分のしゃべった声がわずかに遅れてまた自分に戻ってくると脳が混乱しちゃうことが研究でわかっているんですね。


大村正樹

よくあるというか、実はテレビで中継に出ているおじさんがいるじゃないですか。今テレビって衛星回線を使うので、衛星まで行って戻ってきて自分のしゃべった声がイヤホンで聞こえるまで2秒ぐらい差があるんです。これ、本当にやりにくいんですよ!

そうなんですよねぇ。


大村正樹

はい! それと同じ原理ですか?

基本的には同じですね。ですから、しゃべった自分の声が戻ってきてしまうと混乱するということを使う。始終しゃべっている人にその機械を使えば頭が混乱してしゃべるのが止まるだろう、というユニークなアイデアが今回受賞の原因になったということでしょうね。


大村正樹

でも確かに僕、耳が時々つまったりして自分の声が反響したりする時にしゃべりづらいなぁと思うことがありますけれど、そういう感覚ですよね。

そうですね。人間の脳ってほんとに複雑なことをしているので、わずかな混乱でもやっぱり脳が本当に混乱してしまうことがあるんでしょうね。


大村正樹

そういえば、テレビでこの機械を使った実験を見たんですが効果あるんでしたかねぇ。

よくわからないですねぇ(笑)。


大村正樹

ですよねぇ(笑)。

実はこれも新聞記事で読んだだけですが、そのイグノーベル賞の授賞式にあるノーベル賞学者−本物のノーベル賞学者がゲストで出てきてスピーチをしたらしいんですよ。


大村正樹

はい。

その時にこの機械をそのノーベル賞学者にあてたらしいんですけれども、その学者のおしゃべりは止まらなかったというような記事になっていました。


大村正樹

アハハハハ。そうそう、確かそれをテレビで見ました。だから、あまり効果がない。でも、日本人の方がつくったんですね。

そうです。産業技術総合研究所の栗原さん、それからJST(科学技術振興機構)の塚田さんという方、れっきとした研究者の方たちです。そういった方が開発されたということですね。


大村正樹

イグノーベル賞、ほかに例えば有名どころでは何がありましたか?

一番有名なのは『カラオケ』でしょうね、やっぱり。


大村正樹

カラオケってイグノーベル賞だったんですか!?

そうです、はい。


大村正樹

日本人ですか?

今はそれこそ世界中ではやっていますが、最初日本人が発明した頃は独創的なアイデアだったんですね。


大村正樹

カラオケってそうですよね。語源を知らないキッズ多いかもしれませんね。

でも、世界中カラオケで通じますでしょう。


大村正樹

そうですね。“オケ”−オーケストラがないということですよねぇ、カラオケ。

今では当たり前になっているんですが、実はさかのぼってみると日本人のアイデアだったというのがいっぱいありますよね、そういった意味では。


大村正樹

へぇ〜。『たまごっち』もイグノーベル賞ですって?

そうです。それから、イヌの言葉がわかる『バウリンガル』もそうでしたねぇ。


大村正樹

あぁ〜。そう考えると、バウリンガルとかちょっと短命でしたねぇ。

ええ、そういうものもありました。


大村正樹

でも、カラオケもですね。社会的文化なんだ。じゃあ、みんなもイグノーベル賞を目指して何か発見、発明してもいいかもしれないですねぇ。

そうですね。どんどんいろんなことを考えて欲しいですね。


大村正樹

さぁ、埼玉県のマリナちゃん11歳。「今年のニュースでショックだったのは、上野動物園のパンダの赤ちゃんが死んだことです。パンダの赤ちゃんを育てるのは難しいことなんでしょうか?日本の気候に合わなかったんでしょうか?」。確かに上野動物園の方、泣きながら会見されてましたねぇ。

はい。


大村正樹

難しいんですか?

一般論として、やはりパンダを育てるのは、親のパンダ含めてなかなか難しいですよね。


大村正樹

う〜ん。

それから赤ちゃんを育てるのは、もっと難しいと思います。日本の気候などに合わなかったということよりも、どこの動物園でも苦労しているのは事実ですね。


大村正樹

和歌山にパンダ13頭とか。

そうです。和歌山の動物園ではうまくいってるんですね。でも、親のパンダの条件や周りの環境とか、おそらく育て方の細かいことのいろんな技術、食べ物とかさまざまなことが複雑にからみ合って、うまくいったりいかなかったりということだと思います。


大村正樹

パンダって「大熊猫」と中国で書くんですよね。だから、クマのイメージですか?

はい。


大村正樹

野生のクマって日本にもいるわけじゃないですか。

ええ。


大村正樹

野生のクマは勝手に育つわけですよね。でもパンダとなると、何でそんなに慎重な…。

世界で絶滅の危機にある動物がたくさんいるんですが、パンダ自体は今、その中のひとつに入ってます。それで中国に1,600頭ぐらい、たぶん今それぐらいしかせい息してないんです。


大村正樹

パンダ1,600頭しかいないんですか?

そうです。たぶんそれぐらいだと思います。ですから非常に少ない。


大村正樹

ええ。

ほかの絶滅の危機に瀕している動物もそうですが、全体の動物の数がそれほど減ってきてしまうと、その動物全体の生命力や繁殖力、それから環境に適応する能力がどんどんどんどん弱くなってくるということが言えますね。


大村正樹

はぁ〜。

やっぱりある程度数がたくさんいるといろんな性格を持ったものが出てきて、多少環境が変わっても生き抜くものが出てきたりとかあるんですが、だんだん数が減ってくると、なかなか環境の変化に耐えられなくなって絶滅に向かっていくという動物が、実は世界中にたくさんいるわけです。


大村正樹

今の話、とてもよくわかりました。クマの一種とはいえパンダの数が少なくなっていくと厳しい環境に生き抜く“種”がだんだん減ってきて滅びちゃうかも知れない。

そうですね。環境の変化や色んな外敵に数が多いと適応することができる。だからそういった意味では生存する能力が高いんですが、だんだん弱くなっていく。結局、繁殖力ですね。赤ちゃんを産む能力、それから赤ちゃんを育てる能力にも反映してきて、今度の上野動物園のような結果になるんじゃないかと僕は考えています。


大村正樹

いやぁ、パンダで切なくなってしまいました。もう時間ですか。寺門さん、まだ質問があるので、来週もご協力いただいてよろしいですか?

はい、わかりました。


大村正樹

今週のサイコーは、科学ジャーナリストの寺門和夫さんでした。ありがとうございました。

どうも失礼しました。


大村正樹

しかし今年の夏にパンダが産まれた時、上野の商店会のみなさんって「赤ちゃん誕生!」とかいろんな物をつくってねぇ。それがはかない形で終わっちゃった。パンダも絶滅危惧種ですか。何か日本の技術で、しっかり育てられるようにしてあげたいですねぇ。それでは、来週も夕方5時半に会いましょう。バイバ〜イ!