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「キッズの質問に答えます」(2)
コーチャー/寺門和夫さん(科学ジャーナリスト)
寺門和夫さんのブログはコチラ>>http://blog.scienceweb.jp/
大村正樹&寺門和夫

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今日もキッズからの質問に科学ジャーナリストの寺門和夫さんがこたえてくれますよ。今日はゲリラ豪雨、最近多いでしょ。これほんと油断できないよね。何で起きるのかに関してもうかがっていきま〜す。


大村正樹

今週のサイコーも科学ジャーナリストの寺門和夫さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

「Terakado(テラカド)」という小惑星の主でございます。さぁ、千葉県のカズヤ君、12歳の男の子からのちょっと難しい質問です。「よくこの世で一番速いのは光の速さといいますが、その光は家の中にある懐中電灯とか電球の光のことでしょうか?誰かが実験して光が一番速いことを見つけたんですか? それと光よりも速いニュートリノが見つかったというニュースを去年見ましたが、ほんとに光より速いんですか?」。クエッションマークが三つあるんですが、まず何から聞こうかな。懐中電灯、電球の光は、イコール光の速さということでよろしいですか?

基本的には同じものですね。太陽の光も電灯の光も、光ということでいうと全く同じものです。


大村正樹

豆電球の光も?

そうですね、はい。


大村正樹

じゃあ、光は大きさの違いはあれ、スピードには違いがない?

そうです。基本的にはそういうことですね。


大村正樹

時速何キロぐらいと考えれば?

よく教科書に出てますが、秒速で30万キロメートルといわれます。地球を7周半。


大村正樹

1秒間にね。

はい。とてつもなく速いスピードですね。


大村正樹

そう考えると初代新幹線「ひかり」号は今の子どもたちは知らないかもしれませんが、とてつもないスピードというイメージだったんですね。

そうですね。


大村正樹

二つめの「誰かが実験して光が速いことを見つけたのか?」。誰が光の速さを見つけたんですか?

これはなかなか難しいんですが、昔から科学者は光のスピードを測ろうとしていて、記録に残っているもので一番古いのはガリレオですね。


大村正樹

ほぉ〜。

世界で初めて望遠鏡で天体を見た人です。


大村正樹

ガリレオ・ガリレイ。

そうです。ガリレオが測ろうとしたんですが、やはり当時の技術では光のスピードがあまりにも速いので測ることができなかった。それ以来、いろいろな人が挑戦して、だんだんと光の速さがわかってくるようになりました。


大村正樹

はい。

結局、遠くから来る光を観測するしかないんですね、地上で直接光のスピードを測るのは難しいので。


大村正樹

1秒間に地球7周半ですからね。

そうです。天体の動きなどを観測しながら、最終的には天体のスピードがだんだんわかってきたのが歴史的な経過ですね。


大村正樹

それが難しいですよね。「どうやって天体からの光の速さを測ったんだろう?」ってイメージすると眠れなくなりますよ。それをきわめたのはどなたですか?

いろいろな人がやっているので、最終的には光のスピードを誰が発見したかは残ってないんです。


大村正樹

へぇ〜。

物理学の技術が進んできて、だんだんと30万キロに近いところまで測られてきたということです。


大村正樹

ほぉ〜。太陽の光だって地球に到達するまで8分かかるといってましたよねぇ。

はい。


大村正樹

8分前の光を僕らは浴びているわけですよね。

そうですね。


大村正樹

不思議な話ですねぇ。そういえば、光よりも速いニュートリノが見つかったというニュースがありましたね。ニュートリノって、けっこう有名ですよね。光よりも速いという考えでよろしいですか?

ええ。去年、大きなニュースになりましたね。光のスピードに関してですが、みなさんよくご存じのアインシュタインという人が相対性理論を確立しました。この中で、光についてはこれ以上速いものはない。宇宙で一番速いのは光のスピードで、しかも光のスピードはどこで観測してもやっぱり同じスピードとして観測されると、理論として打ち立てた。この相対性理論が今の物理学の基本になっているわけです。


大村正樹

はい。

ところが光よりも速いものが見つかったとすると、相対性理論の正しさがちょっとおかしくなってくる。とても大変だということで、去年大きなニュースになりました。


大村正樹

はい。

ニュートリノはちっちゃい微粒子ですが、そういったものが宇宙から飛んでくる。このスピードを測ろうということで、いろいろ去年から実験が行われていました。そして測ってみたところ、今厳密に求められている光のスピードよりもニュートリノのほうが少し速かったという実験結果が出たというので、世界中に発表したわけです。


大村正樹

ええ。

相対性理論が正しいかどうかにも関わることなので、非常に多くの科学者が興味を持って、何とか自分でもう1回観測してみよう検討してみようとやりましたけれど、結果としていうと、どうもそうではなかった。やっぱりニュートリノのスピードは光よりも速くはなかったという結果になっているようです。


大村正樹

というと、地球上で最も速いのは光ということ?

そうですね。つまりニュートリノのスピードをどうやって測ったということですが、いわゆるGPS衛星を使っている…。カーナビなどでいつも使ってますね。


大村正樹

はい。

これを使って二つの場所での時刻を厳密に想定して発射されたニュートリノをつくって、発射したところと受けたところの時間差を測ったわけです。最終的にはGPSを使って非常に厳密に時間は測れるんですが、精度的にやっぱりちょっと弱いところがあって、結局はニュートリノのスピードの測り方に問題があったという結論が出ている状況です。


大村正樹

わかりました。もう一つ、東京都のアンナちゃん、12歳。「去年、学校から帰る時にゲリラ豪雨にあい、とても怖い思いをしました。私がもっと小さい時はあまりなかったと思います。何であんな大雨が急に降るんですか? 地球の気候がおかしくなっているんですか?」。この間の茨城県の竜巻、あれは衝撃でした。ゲリラ豪雨しかり、雹(ひょう)も降りましたし突然パッときますよねぇ。

そうですね。


大村正樹

これはどうなんですか?

やはり何か異常なことが起こってるんだろうと考えられてます。まず理由が二つあると考えられていて、一つは全地球的に見て、いつも話しているように地球の気温がちょっと上がってるんですね。


大村正樹

ええ。

そのために世界的に異常気象と呼ばれるもの−熱波が来たりすごく暑かったり、あるいは日照りが続いたり、それから強力なハリケーンや台風があらわれたり、今までなかったような気象現象がかなり起こるようになって、これは地球の熱のバランスが少し崩れているのかもしれないという考え方があります。


大村正樹

はい。

それからもう一つ、いわゆるゲリラ豪雨や今度のつくばでの竜巻もそうでしょうけれど、もうちょっと小さい局地的、都市とか関東地方ぐらいのところでやっぱり異常な現象がずい分起こりつつある。これは地球温暖化というよりは、いわゆるヒートアイランド現象という都市、人口が密集しているところでは気温が周りよりもかなり高くなっていることが影響してるんじゃないかといわれてます。


大村正樹

ヒートアイランドというと、まさに東京。この浜松町の周辺も範ちゅうですよね。

だいたい東京の首都圏全部そうですね。


大村正樹

えぇ〜!

これは原因が建物の冷暖房の廃棄で、すごくあったかい空気が出ますね。それから車が走っていると排気ガスも出ます。そうした熱が出るのと、都市には池や森がないので熱を吸収してくれる場所が少なくなっている。そういったこともあって、実は都市は暑くなっていて、ゲリラ豪雨的な現象が発生しやすいといわれてます。


つまりゲリラ豪雨はどういうふうにしてできるかというと、いわゆる入道雲ですね、積乱雲。激しい上昇気流が発生するわけです。その時に湿った空気が入ってきてると、ものすごい雷雲が発達して雷が起こり豪雨が降ってくる。もちろん竜巻なども同じようにして起こるわけですね。


大村正樹

わかりました。もう時間ですね、すみません。また質問がいっぱい来たら、寺門さんよろしくお願いしますね。

はい。


大村正樹

今日のサイコーは、科学ジャーナリストの寺門和夫さんでした。ありがとうございました。

どうも失礼しました。


大村正樹

2週にわたって、キッズからの質問に寺門さんがこたえてくれました。みんなからの質問がある程度まとまったら、また寺門さんにお話をしてもらいたいと思います。それでは、来週も夕方5時半に会いましょうね。キッズのみんなも楽しい週末を。バイバ〜イ!