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「プチ生物とは」(2)
コーチャー/谷本雄治さん(新聞記者、プチ生物研究家)
大村正樹&谷本雄治

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今回もプチ生物。みんなの身近にいる、いわゆる昆虫たちを取り上げてみたいと思います。先週驚いたのが、ゴキブリは汚れてないという…。まだ引きずっているんですが、ゴキブリって名前がいけないんだよね。そういう話をしたんですよねぇ。ということでこの後、サイコーにまた詳しいプチ生物の話を聞いていきま〜す。


大村正樹

今週のサイコーも、プチ生物研究家の谷本雄治さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

先週は「ゴキブリは不潔ではない」という話で終わりました。これは衝撃だったんですが、今日もあらためてプチ生物が大好きな谷本さんに、特に好きなプチ生物ベスト3をあげていただきました。

はい。


大村正樹

その一番がミミズ! ゴキブリに次いで今度はミミズかい、この番組は(笑)。

そうですね(笑)。


大村正樹

これも微妙ですよ(笑)。ミミズの何がいいんですか?

前回、ゴキブリが3億年前から生きている、人間にとっては大先輩だという話をしました。ミミズはちょっと意味が違うかもしれないのですが、たいてい地面、土の中にいて目に触れることはないですよね。


大村正樹

このシーズンは、よく見かけますよね。湿っぽいシーズンは。

湿っぽくなると出てきますね。たまたま出てくると気持ち悪いヌラヌラした感じで、「ニョロニョロと動きもかわいらしくないし」といわれるんですが、ただ実際にミミズの働きを知れば本当は尊敬に値する。


大村正樹

そうですか。

ええ。


大村正樹

ミミズ、働いているんですか?

働いているんです。


大村正樹

詳しく教えてください。

まず土の中にもぐるということは、あの長い体で動き回ればすき間ができますよね。植物を育てるためには、土の中にある程度の空間が必要です。その空間は、肥料とか水をため込んで植物の栄養分になるための条件をつくる。


大村正樹

はい。

ミミズは、そういうふうな地面の下にすき間をつくる。通路をつくって植物の成長を助けるというのが、まず一つあるんです。


大村正樹

ほぉ〜。

ミミズは何を食べてるかというと、主に腐りかけの落ち葉などを食べてるんです。例えば雑木林で秋になると葉が落ち、冬になるといっぱい積もるわけですが、それが知らないうちになくなっていくわけです。


大村正樹

すごい基本的なことですが、あのミミズのホースみたいな体のどこに口があるんですか?

口は、先っぽに小さな口があるんですけれど。


大村正樹

先端部?

先端部。どっちが頭か尻尾かなかなかわからない。


大村正樹

オスとメス一緒についているというのが、ミミズの基礎知識ですよね。

そうなんです。環帯(カンタイ)といってミミズの首巻や腹巻と言ったりする人もいるんですが、ミミズを見ると少しだけ帯になった部分があるんです。そちらのあるほうが頭です。


大村正樹

ほぉ〜。

何ていうんですか、えり巻きをしているような感じの帯を巻いて…。


大村正樹

白いね。

白っぽい。


大村正樹

あっちが頭のほう?

はい。


大村正樹

こっち側に口がある。

その口で落ち葉を分解する。毎年どんなに落ち葉が落ちてきても雑木林が落ち葉であふれてしまう、埋まってしまうということがないのは、ひとつにはミミズのような生き物がいるという…。


大村正樹

そうか。街の落ち葉はボランティアや職員の方がはいてくれるけれど、元々の原生林の落ち葉はミミズが処理してくれてるんですか、太古の昔から?

そうですね。ミミズだけじゃなく土壌生物といわれてるんですが、ダンゴムシやトビムシ。あとダニというと嫌われますが、ササラダニというダニが土の中で分解してます。その代表者として、ミミズの活躍が大きいということです。


大村正樹

はい。でも、ちょっと見直したな。次に好きなのは、ナナフシ。

はい。


大村正樹

ナナフシって、図鑑でしか見たことがないです。

そうですね。私も子どもの頃、あこがれだったんです。


大村正樹

木の枝に化けるやつですよね。

そうです、そうです。どう見ても木の枝にしか見えないような、“歩くステッキ”と英語でもいったりするんです。「ナナフシを面白いな」と思ったのが子どもの頃で、身近なところを探してもなかなか見つからない。


大村正樹

ええ。

そうしたら、何てことないんです。ある時、わが家の目の前の雑木林のところに俗にいう野バラがありまして、そこにいっぱいくっついているんです。春先には生まれたばかりの幼虫が野バラにいっぱいくっついているものですから、そこで初めて見た。


大村正樹

へぇ〜。

ナナフシの存在を知ってから見つけるまでに30年ぐらいかかった(笑)。もう“いいおじさん”になって初めて見ました。


大村正樹

ナナフシだと確認するには、どうやって確認したんですか?

それはもう間違いようが…。体があって長い脚がくっついているという生き物がほかにはなかなかいないものですから、図鑑を見れば、たぶん初めてご覧になった人でも見分けはつくと思います。


大村正樹

「あっ、これだ!」って。

「これだ!」というふうにわかると思います。


大村正樹

30年追い続けたナナフシに会った瞬間はたまんないですねぇ。

たまんないです(笑)。


大村正樹

ハハハハハ。

ナナフシは存在自体がおもしろい。先ほどおっしゃった木の枝に化けるという。でもそれ以上に私がひかれたのは、卵なんですよね。


大村正樹

ナナフシの卵?

はい。ナナフシは、種類によっていろんな形の卵を産むんです。例えば、ツルツルピカピカのニワトリの卵みたいなものの頭にポッチというか小さな粒がくっついているものとか、古代のギリシャ彫刻のような模様がある卵とかいろいろあるんです。


大村正樹

ふ〜ん。

ナナフシは大人になると木の枝に化けてとまっているわけですが、ポトンポトンと木にとまったまま落とす。フンも同じように落とす。卵も落とす。


大村正樹

はい。

落ちた卵を地面で見つけるには難しいと思うのですが、手にとって見ると植物の種と変わらないんですよね。


大村正樹

ナナフシの卵が?

はい。ですので、冗談に「これを蒔けばナナフシがはえてくるよ」みたいにいうと、意外に「へぇ〜」なんていわれたりする。


大村正樹

へぇ〜。

現実はありませんからね、卵であって種ではないので、


大村正樹

いやぁ、夢がありますね。フンも卵も同じように落としちゃうんですね、ナナフシさんは。

そうです。


大村正樹

次にお好きなのが、カブトエビって!?

はい。


大村正樹

カブトガニは有名ですよね。

そうですね。


大村正樹

カブトエビってあるんですか?

カブトエビは、外国では砂漠に一時的にできた水たまりのようなところに発生する生き物です。形はカブトガニに似たようなもので、それをうんと小さくして10円玉ぐらいの甲羅の大きさを想像していただくと。


大村正樹

カブトガニのミニチュア版がカブトエビ?

そうです。


大村正樹

10円玉ぐらい?

はい。


大村正樹

イメージできました。

カブトガニは立派な剣のような尻尾があるんですが、カブトエビのほうは二股にわかれている尻尾があることで形が区別できる。大きさも違いますよね。


大村正樹

はい。

いるところは、カブトガニは海で瀬戸内海の一部とか九州のほうの限られたところですが、カブトエビは田んぼにあらわれる。田植えをして10日ぐらいした後に、田んぼに突然あらわれる。


大村正樹

ええ。

田んぼにあらわれてカブトエビは何をしているかというと、簡単にいえば草取りをしてくれるんです。お腹に多くの足があり鎌のように動かして草を刈り取ったり、あるいは動くことで泥が舞い上がりますね。


大村正樹

はい。

泥が舞い上がると水が濁る。水が濁ると、光合成といって植物を育てる作用がありますよね。それができなくなるので草が枯れてしまう。ということで、農家の人たちは“生きた化石”なんていわずに、“田んぼの草取り虫”という言い方をしてるんです。


大村正樹

なるほどねぇ。わかりました。もうこんな時間、あっという間でした。ありがとうございました。

ありがとうございます。


大村正樹

また来てくださいね。今週のサイコーは、プチ生物研究家の谷本雄治さんでした。ありがとうございました。

ありがとうございました。


大村正樹

谷本さんのささやかな楽しみは、プチ生物の古着ウォッチングということです。ぬけがら、見たことあるよねぇ。サナギから脱皮した後のチョウチョのぬけがらとか。こういうのを手にしたら、もう興奮するらしい。なかでもセミのぬけがらはけっこう調べがいがあって、何年も記録を取っていくと、どんな種類がいるか地域ごとにわかってくるということなんですねぇ。いやぁ、プチ生物とはいえ、かなり奥行きが深いこともわかりました。みんな、どうだったでしょうか?それでは、また来週も夕方5時半に会いましょうね。バイバ〜イ!