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「絶滅とは」(2)
コーチャー/上松佐知子(あげまつさちこ)さん(筑波大学大学院准教授)
大村正樹&上松佐知子

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。また絶滅の続きを聞いちゃいます。先週は、地球の長い歴史の中で、大量絶滅が5回起きていたということまで話を聞きました。じゃあ、僕らの将来に絶滅のピンチがないんだろうか? とっても気になるよね。お知らせの後、サイコーに聞くよっ。


大村正樹

今週のサイコーも、筑波大学大学院准教授の上松佐知子さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

前回終わりぎわに6,000万年前の隕石の衝突によって恐竜が絶滅し、その後生き残ったのが僕ら哺乳類と鳥類、トリという話をうかがいました。トリは恐竜の絶滅よりタフに生き残り…。

そうですねぇ。


大村正樹

でも、半ば恐竜の遺子という説もあるということですね。

はい。分類学的には、基本的にわける境界は存在しないといわれておりますので。


大村正樹

恐竜とトリ?

はい。6,000万年前に絶滅したのは「鳥類以外の恐竜」と、今では厳密には呼んでおります。


大村正樹

今、地球上にいるトリで、専門家から見て恐竜のイメージのトリって何ですか?

やっぱり走るのが速いという意味ではダチョウなどを想像していただけると、ティラノサウルスが走っていたようなイメージができるのではないかと思います。


大村正樹

なるほどねぇ。大量絶滅という、地球上で過去5回さまざまな生物が絶滅したことがあるという話でしたが、場合によっては僕らの将来も何らかの形で…。温暖化とかいわれてますけれど、僕ら人類が絶滅する可能性も捨て切れないわけですよねぇ。

可能性としてはありますね。


大村正樹

聞きたくないけれど、例えばどんなことがあり得ますか?

もしかしたら恐竜が絶滅した時の隕石衝突があるかもしれません。あと、地球内部に原因があることもありまして、そのひとつが「スーパープルーム」と呼ばれている現象です。


大村正樹

スーパープルーム?

はい。名前はカッコいいんですが、大陸は地球の表面に浮かんで常にくっついたり離れたりして移動しています。鍋に水を入れて火にかけると対流が起きまして、温まった水が上に上がってきて冷めると下に沈んでいくという循環が起こり始めます。これと同じことが地球内部のマントルでも起こってまして。


大村正樹

地球の芯の部分ですね。

内側のほうです。液体ではなくて岩石ではあるんですが、ゆっくりと流動しています。そのわき上がって来る特に大きいものをスーパープルームといってます。


大村正樹

はい。

わき上がって来ると何が起きるかというと、表面にある大陸が大規模に一気に割れていきます。割れる時はすごく大きな火山活動が起こりますので、一気にマグマが噴出したり火山ガスが大量に噴き出されたりして、そこに含まれている二酸化硫黄という成分がその内チリをつくって、やはりこれも同じように太陽光をさえぎるぐらい地球上に広がってしまいます。これがまためぐりめぐって、大量絶滅の原因になると考えられています。


大村正樹

海と大陸の関係は大陸のすき間に水がたまって、その水たまりが海というイメージだったけど、逆にその大陸は地球の中心のマントルの上に浮かんでいるというイメージですね。

そうですね。


大村正樹

つまりその大陸のマントルが流動的にグツグツ煮えたぎると、スーパープルームが起きるかもしれないということ?

そうですね、はい。


大村正樹

近い将来、そういう予測はあるんですか?

あるとは思うんですが、例えば1億年後とか2億年後とか…。われわれが見られる範囲の未来ではないと思います。


大村正樹

そうですか。その時、人類はどうなっているだろうか?

私は、元気に生き残って活動していると信じております。


大村正樹

そのほかの原因は?

地球の外に原因があると考えた時に、ひとつ出てくるのが「超新星爆発」です。これはよく聞く単語だと思うんですが、超新星爆発が地球のすぐ近くで起こってしまうと地球に向かって大量の放射線が降りそそぐことになります。


大村正樹

う〜ん。

もちろん放射線自体はたくさんあると生物にも悪いものですが、それによって大量の雲が発生してしまうという現象が考えられてます。なかなかイメージしづらいんですが、雲ができてしまうと、やはり地球をおおってしまって、寒くなったり光合成ができなくなったりすることになります。


大村正樹

なるほどねぇ。恐竜の絶滅とちょっと似たイメージですね。

そうですね、はい。


大村正樹

生態系が維持できなくなってしまう。あとは何ですか?

過去の地球で実際にあったことですが、「スノーボールアース」という現象があります。


大村正樹

スノーボールアース、メルヘンチックなネーミングですけど。

名前はきれいですが実際にはとんでもない状況でして、地球がまるまる氷におおわれてしまうという現象です。これが起こったらおそらくイメージは簡単だと思うんですが、生物はほとんど生き残れないと考えられています。


大村正樹

これは、いわゆる氷河期とかの範ちゅうのことですか? 地球上で過去に起きたことは?

2回ほどあったと考えられておりまして、ただこれはカンブリア紀大爆発という今の生物が出てくる前に2回起きたと考えられています。


大村正樹

何億年前ですか?

だいたい20億年ぐらい前と6億年ぐらい前ですかねぇ。


大村正樹

相当な昔…。

はい、相当昔ですね。ただこれで生命活動は極端におさえられますので、仮にもしこれが今の地球で起きてしまうとちょっと大変なことになります。さすがにそうなったら、人類が生きていられるかどうかは分からないですね。


大村正樹

スノーボールアースが起きると?

スノーボールアースが。


大村正樹

イヤだぁ、来ないで〜!

はい(笑)。


大村正樹

僕、サンシャインの水族館に行った時にシーラカンスを見たことがあるんですよ。

はい。


大村正樹

あれ、化石とかいわれてますよね。

そうですね。


大村正樹

あれはそういうピンチを乗り越えてきた生き物ですよね。

そういうことになりますね。


大村正樹

シーラカンスは何億年前の?

シーラカンスは3〜4億年くらい前からいるんですけれど。


大村正樹

すごい!

形がほとんど変わらないので、それでわかったんです。


大村正樹

えっ! ということは、先週お話いただいた2億5,100万年前の最大の地球の危機をシーラカンスは…。

どこかで乗り切っている。


大村正樹

乗り切った。ぺルム紀という時代の終わり頃に起きた大量絶滅を乗り切った。

はい。


大村正樹

その3〜4パーセントの種ということですね。

そうなりますね。


大村正樹

えぇ〜!! シーラカンスは何か昔のコマーシャル、「南太平洋のコモロ沖でシーラカンスはとれる」って釣り道具のコマーシャルですごく印象的だったんですけれど、30年以上前に。

なかなかとれるものではないと思うのですが。やはり深海にいるんですけれど、外からの影響はあまり受けないところにおそらく逃げ込んで生きながらえた生物だと思います。昔はもっと繁栄していたと思うんですがそういう環境変化があって、ほかの生物が絶滅した時に今生き残っているような古い形を持った生物が生き残ってきたことになります。そういう生物をまとめて現在、“生きている化石”と呼んでいるわけです。


大村正樹

例えば、専門の方からご覧になって「近い将来、この種は危ないんじゃないか?」というのはあります?

種ですか、そうですねぇ。私はパンダという動物が…。


大村正樹

パンダ!?

パンダは、なかなか生き残るのが大変じゃないかと思うんですが。子どもを産む数が少なかったりとか。今、人間が保護してますがどうなんでしょうかねぇ、ちょっと自然界で生きていくのは。個体は強いと思うんですけれど、子どもを産んで育てるメカニズムがちょっと頼りないのかなぁという気がしてしまいます。


大村正樹

トキなどは繁殖に成功して、一時は日本で絶滅したものが中国の協力によってレンタルしたりして今増えたじゃないですか。

そうですね。


大村正樹

そういう形でパンダを増やすことはできないんですか?

できるとは思うんですが、生殖システムのところをしっかりやらないと大変なのかなぁという気がします。


大村正樹

あと、北海道のタンチョウとか?

そうですねぇ。やはり野生動物は全般的に数を減らしてると思いますが、トキが成功すればいろんなところに応用できると思います。


大村正樹

おもしろい! もうおしまい。あっという間でしたでしょう。

ほんとですね(笑)。


大村正樹

よかったら、また遊びに来てください。

ぜひよろしくお願いいたします。


大村正樹

ありがとうございました。とてもわかりやすいお話でした。今週のサイコーは、筑波大学大学院准教授の上松佐知子さんでした。


大村正樹

いやぁ絶滅のピンチねぇ。スーパープルームとかスノーボールアースとか。僕たちが生きている間になるべくなら来てもらいたくないけれど、サイコーのお話ではずーっと先の話だということでした。みんな、どうだったでしょうか?それでは、バイバ〜イ!