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「空を飛ぶ乗物」(1)
コーチャー/柿谷哲也さん(フォトジャーナリスト)
大村正樹&柿谷哲也

大村正樹

キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今年もあと3週間だねぇ。何といっても今年一番ショッキングだったニュースは東日本大震災、地震と津波だと思うんですよね。ニュースなどでみなさんもきっと注目したと思います。実はあの被災地、さまざまなハイテクな乗物が活躍していたということで、その乗物にはいろいろな科学も搭載されていたそうです。どんな乗物なのか? お知らせの後、サイコーに聞いてみよう!


大村正樹

今週のサイコーは、フォトジャーナリストの柿谷哲也さんです。こんばんは。

こんばんは。よろしくお願いします。


大村正樹

柿谷さんはカメラマンということですか?

はい。軍事や警察や自衛隊、海上保安庁など安全保障、それからアメリカ軍などを撮る専門のフォトジャーナリストです。


大村正樹

いわゆる最前線に行く人ですね。

はい。自衛隊の海外派遣なども積極的に行くようにしています。


大村正樹

目の前に帽子をかぶって首にタオルのようなものを巻いた、とてもラボには似合わない無骨な男性が座ってて…。最新の軍事とか、いわゆる3.11のあの災害では相当ハイテクな車両が活躍したということなんですよね。

そうですね。近代の災害派遣では、やはりハイテク装備をどれだけ投入できるかが被災者の支援になります。


大村正樹

被災地も戦争の前線もいろんなハイテク装備があるということですね。

特に自衛隊、それからアメリカ軍、消防、警察はハイテクの装備が年々進化してます。


大村正樹

はい。

ですので新しいタイプの災害、例えば今回の原子力災害にもこれを有効に使うことができたようです。


大村正樹

なるほど。柿谷さんはソフトバンククリエイティブから『災害で活躍する乗物たち』という本を出されています。ちびっ子たちも「消防車だぁ」とか興味を持つかもしれませんが、それがすべて災害時、被災地で活動している空を飛ぶものとか陸上を走る戦車みたいなものとか、いろんな乗物があるんだなぁとよくわかりましたよね。その中で今週は空を飛ぶ乗物に関してうかがっていきます。まず今回の東北地方の被災地に“空飛ぶ病院”というのがあらわれた?

はい、そうですね。


大村正樹

これはどういうことですか?

航空自衛隊が持っている機動衛生ユニットという装備があります。


大村正樹

航空自衛隊。

C-130 写真提供:航空自衛隊

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航空自衛隊は、自衛隊員を運ぶために輸送機を持っています。C-130というんですが、愛知県の小牧基地に配備されてます。


大村正樹

はい。

これに本来は隊員がたくさん乗って日本各地を移動したり海外派遣に行くんですが、その大きな胴体の中にコンテナのようなものを積み込むことができます。


大村正樹

C-130輸送機はとても大きい飛行機なんですね。ジャンボジェットみたいなものですか?

いえ、ジャンボジェットの3分の2程度しかないですが…。


大村正樹

その中にコンテナを入れている。

そのコンテナが病院の機能、専門的にICUと呼ばれる…。


大村正樹

集中治療室ですね。

はい。集中治療室のような機能を持ったものをコンテナに詰めて被災地に飛んでいったということがありました。


大村正樹

へぇ〜。大きさはどれぐらいのコンテナですか?

長さ5メートル×高さ2.5メートル×幅2.5メートル、ほんとにコンテナのような形です。そのままトラックに積まれて基地の外から飛行機のそばまで持ってきて、ローダーと呼ばれる積み込む装置でゴロゴロゴロッと機内に入れるだけですね。すぐ簡単に“空飛ぶ病院”が完成してしまう。


大村正樹

イメージ的には、宅配便のお兄さんが乗るトラックみたいなコンテナが飛行機に乗っけられて被災地に飛んでいった。

はい、そうです。


大村正樹

今度、被災地ではそれがおろされて病院に早変わりする?

被災地ではおろすことはなかったんですが救急車がそこの近くまで来まして、そのコンテナ、機動衛生ユニットに乗せ、そこから病院のあるほかの飛行場に行くというような使い方をしました。


大村正樹

へぇ〜、なるほど。何かイメージできましたねぇ。飛行機の中にね。

ですのでコンテナ、機動衛生ユニットに乗っている方も自衛官ですが医師、看護師、救急救命士が乗っております。


大村正樹

じゃあ、そこのコンテナに患者さんが乗って、また別の地方に運ばれるということですか?

そうですね。つまり患者さんは短時間で移動したいんですが、飛行機は揺れたりするのでそのまま旅客機やヘリコプターに乗せると症状が悪化してしまうかもしれない、死に至ることもある。ですので、医師が使える装置を収納した機動衛生ユニットに患者さんを乗せることで救命率を上げるというような装備です。


大村正樹

東北地方でけがや病気になった方がコンテナに乗って、北海道や東京に運ばれて収容されるということですね。

そういう目的です。


大村正樹

なるほど。まさに“空飛ぶ病院”だなぁ。空飛ぶというと、報道機関がヘリコプターからの映像で被災地のすさまじさみたいなものを伝えていたじゃないですか。

はい。


大村正樹

現場でも相当ヘリコプターが役立っていたらしいですね。

そうですね。被災地は空港がマヒすることが多いので。


大村正樹

滑走路が津波でやられて。

また、滑走路を使わなければいけない輸送機、旅客機のような大きな飛行機などがたくさん来てしまうとエプロン、要するに駐機場が混雑してしまって交通量が増えヘリコプターもおろす場所がなくなってしまう。


大村正樹

ほぉ〜。

でもヘリコプターは、ご存じの通り飛行場ではなくてもおろすことができますから、災害の時には有効に活用できる。例えば学校のグラウンドとか、ちょっとした広場でもできます。今回の場合、石巻総合運動場が陸上自衛隊の航空基地の拠点になったりするんですが、そういったところでヘリコプターを有効に使うことができました。


大村正樹

確かに六本木ヒルズの屋上にもヘリコプターがとまれるぐらいですからねぇ。

そうですね。


大村正樹

ちょっとしたスペースがあればヘリコプターは離発着ができるという。大きいものはロシアから世界最大のものが来た!

全長40メートルといいますから。


大村正樹

えぇ〜、すごいじゃないですか!

これは、日本の国産のYS-11と同じぐらいの大きさです。


大村正樹

へぇ〜、プロペラ機の?

はい。世界最大で、このヘリコプターが発災後3日目に福島空港にやって来ました。


大村正樹

ロシアから?

はい。


大村正樹

へぇ〜。何人ぐらい乗れるんですか?

旅客機と同じで150人ぐらい。


大村正樹

すごい!

ヘリコプターで150人は旅客機と同じぐらいで、相当すごいことですね。


大村正樹

40メートルかぁ。

ロシア製のミル26という名前のヘリコプターですが、これはロシアが軍人を輸送するために開発したものです。


大村正樹

はい。

ロシアは国土が広いので飛行機で国内を移動するんですが、それでも飛行場がまだ足りないというような状況です。ですから大型の100人以上乗せるヘリコプターがどうしても必要なことがあったみたいですね。


大村正樹

わかりました。いやぁ、ちょっと無骨な柿谷さんのトークだけど、実は私はこのジャンルが大好きでもっと話をうかがいたいんですが、もう時間。柿谷さん、来週また別の展開でお話をうかがってよろしいですか?

はい、よろしくお願いします。


大村正樹

ありがとうございました。今週のサイコーは、フォトジャーナリストの柿谷哲也さんでした。


大村正樹

柿谷さんの著書『災害で活躍する乗物たち』という本を見ると、海といい陸上といい、それから航空−空といい色んな乗物が被災地で活躍していたことがよく分かりました。ほんとに日本って色んなハイテクな物が多くて、救助に関してはかなりレベルが高いんじゃないかと思うんですけれどねぇ。それでは、来週も夕方5時半に会いましょう。キッズのみんな、楽しい週末を。バイバイ!