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「サバイバルテクニック」
コーチャー/かざまりんぺいさん(作家)
大村正樹&かざまりんぺい

大村正樹

キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、だんだん寒くなるけれど、みんなサバイバルという言葉を聞いたことあるよねぇ。困難な状況を乗り越えて生き残ることとか、東京で暮らす僕らの生活もけっこうサバイバル? 「人生ってサバイバルかな?」と思う時もあるんだけれど、いろいろ乗り越えていく状況のことをサバイバルといいます。みんな、無人島にある日突然漂着したら、それもサバイバルなんです。どういう科学の知識が必要になるのか?お知らせの後、サイコーの登場だよっ。


大村正樹

今週のサイコーは、作家のかざまりんぺいさんです。こんばんは。

こんばんは。


大村正樹

作家とはいえ、かざまさんはサバイバーですね。誠文堂新光社から『今すぐ身につけたいサバイバルテクニック』という、すっごく面白い本を出されてます。何でかざまさんを夏前にお呼びしなかったのかな。

フフフフ。


大村正樹

これから寒くなるからキャンプシーズンではないのに…。もっと早くお会いしたかったなぁ、かざまさん。ものすごく面白かったですよ、この本。

ありがとうございます。キャンプシーズンはこれからなんですよ、実は。


大村正樹

冬でも“あり”なんですか?

というか、逆に虫が嫌いな人は、これからがベストシーズン。


大村正樹

蚊に食われない。

それからアブにやられない。また、これからちょっと気をつけなければいけないのはハチなんですね。それ以外のものだったら、これからがベストシーズンです。


大村正樹

そうですか。このサバイバルにも科学があるということで、みんなイメージして! 「君たちが無人島に漂着しちゃったら、さぁどうする?」−ここに科学があるんですね。考えたらおそろしいんですが無人島に漂着したら、まず何をすればいいんでしょう?

はじめは科学的なことではないんですけれど、ドカッと座ってゆっくり考える。これがまず第一。


大村正樹

落ち着いて、あわてちゃいけない。

はい。それが終わった段階で、次に何をしなければいけないかというと…。同時にいろいろなことをしなければならないんですよ。でも一番といわれれば、火起こしですねぇ。


結局、水と火起こしのどちらかになるんですけれど。


大村正樹

水か火ですね。

でも火を最初に起こすのはなぜかというと…すべてのもの、例えば水でも本当に飲める水かどうかもわからない。その水を煮沸殺菌、沸騰させればある程度のものは飲めるような状態になったりするんですね。


大村正樹

はい。

それからもう1つは、食べる物で何かがあったとしますよね。でも火を通すことによって、より安全に食べることができる。


大村正樹

ええ。

それからもう1つは、着ている洋服の一部を引き裂いて、それをあぶって黒く墨みたいにしたとします。


大村正樹

はい。

例えば手に傷ができたとします。そのあぶった布をあてておくほうが、実は殺菌能力が高いものになる。


大村正樹

かなり火の万能性みたいなものが出てきましたね。

そうですね。だから無人島に着いたら一番最初に、さっき「ドカンと座れ、いろいろなものを考えろ」といったんですが、その次にやらなければならないのは、火を起こすことが大事ですね。


大村正樹

無人島、火と水ですね。海水から水ってつくれるんですか?

つくれます。


大村正樹

つくれる!?どうやって塩を抜くんですか?

前に新聞記事になったのでおぼえてる人もいると思いますが、漁師さんが長崎県の沖合いで遭難されたんですね。


大村正樹

ええ。

エンジンが止まっちゃった。そうすると黒潮という海流に乗ってどんどんどんどん四国のほうから大阪の沖のほうにずーっと流されていく。ちょうど日本の船が遭難した時に、助かるか助からないかの分岐点が、実は銚子沖にあるんです。


大村正樹

ふ〜ん。

銚子沖で北東北のほうにうまーく流れていけば、また助かる可能性もあるんです。


大村正樹

太平洋のほうですね。

銚子沖から逆にアメリカのほうに向かってしまう海流に乗ってしまうと、もうかなり戻れなくなる。


大村正樹

千葉の銚子沖は人生の分かれ道みたいなものですか?

ええ。そこで、長崎の漁師さんは見つかって助かったんですね。助かったけれど、その間に彼はどうして生き延びていたかというと、実は船の中にカセットコンロがあったんです。やかんとカセットコンロ。


大村正樹

ええ。

飲み水は飲みつくしちゃった。海水をやかんに入れてカセットコンロに火をつけて沸騰させたんですよ。そうすると、ふたの中に蒸留した水がちょっとずつ、ちょっとずつ溜まるんですね。


大村正樹

確かに。

お鍋料理をやったことある人はわかると思うけれど、その時にふたをパッとあけるとふたの側にいっぱい水がついてて、けっこう大量の水がドロッと流れることがありますね。


大村正樹

ええ。

あの水が蒸留した水になるんですね。


大村正樹

塩分は含まれてないんですね。

若干はある。海水はいろんなものが含まれているので蒸発しても少しは残るんですが、かなり真水に近い蒸留水になるんです。その水を少しずつ少しずつ飲みながら、彼は生き延びていた。


大村正樹

何日ぐらいその方は生き延びたんですか?

どのぐらいでしょうね。かなりの長さだと思います。1ヶ月ぐらいだったかなぁ。


大村正樹

へぇ〜、そんなに!

そのぐらいだと思います。


大村正樹

でも、そのカセットコンロだって限界があってガスがなくなっちゃったら…。

ですから、たぶん慎重に慎重にやったんだと思いますね。


大村正樹

カセットコンロがない場合、ここのイメージは無人島ですからカセットコンロはありませんよ。そしたら海水を真水に変える方法は、ろ過器とかできないんですか?

できますね。


大村正樹

できる?

できます。それはさっきもいった蒸留の方法を使えばいいわけです。一番大事な火を使う。火が起きてさえいれば、大きな鍋があれば一番簡単ですね。鍋に代わるものがあればいいけれど、もし鍋がなければ、さぁどうしようか。


大村正樹

はい。

今度そうするとビニール袋とか自分が着ているものをうまく使ってやるしかない。結局、蒸発させたものを例えば衣類にふくませるという方法をとればどうにかなる。


大村正樹

なるほど、そうか。水分を衣類にふくませておいて、沸騰した蒸気を無駄にしないでということですか?

汗臭い水になるかもしれないけれど、それでもないよりは助かる。


大村正樹

人間生きていく上では、水分は絶対必要じゃないですか。あと塩分も必要といわれますよね、塩。

はい。


大村正樹

だけど、海の水は飲めないですよね。

飲めないです。


大村正樹

勝手なもんですねぇ。

勝手なもんですね。


大村正樹

何でなんだろう?

ほんと、そうですねぇ(笑)。そのまま飲んでしまったら、今度は体から水分がとられてしまって命をなくしてしまう。でも塩分がなければ生きていけない。


大村正樹

別々にとるのはいいんだけれど、一緒にはとれないという(笑)。

そうですね。


大村正樹

「神さまが海をつくった時に何でそんな意地悪をしたのかな?」と僕は子どもの頃からずーっと思ってるんですけれど。

そればっかりはちょっと、どうしていいのかわからないですねぇ(笑)。


大村正樹

ちなみに、人間は1日最低どれぐらいの水が必要でしょうか?

これは最低というと、2リットルといわれています。


大村正樹

けっこうなもんですねぇ。

けっこうなもんですよ。ちょっと頭で想像して欲しいんですけれど、ペットボトルで2リットルなんですよ。


大村正樹

よく奇跡の生還では、ペットボトル500ccの水を何日かにわけたとかいうけれど、それじゃ到底生きられないというか十分とはいえない。

健康な体でいるならいいです。例えば病気をかかえたり、いろんなことになれば、2リットルないと、もっとダイレクトなものになってくると思いますね。


大村正樹

わかりました。かざまさんは何でそんなにサバイバルに詳しいんですか?生まれたのはどこの山ですか?

そういうふうによくいわれますが、実は東京なんですよ。


大村正樹

そうなんですか。

ボーイスカウトの経験が長かったので。


大村正樹

なるほど、わかりました。もうこんな時間。みんな、こういうのを頭の片隅に入れておいて、いつ何があっても生き残るという知恵も大事です。ありがとうございました。今週のサイコーは、作家のかざまりんぺいさんでした。


大村正樹

かざまさん、すごいねぇ、これ。「僕の著書で〜す」といって、いっぱい本を置いてったよ。誠文堂新光社から『子供の科学』という月刊誌を出している。それから、『子供の科学別冊 ニッポンの新エネルギー』、風力発電とかソーラーパネルのこと、地熱エネルギーのことをすごく細かく書いてあって興味深い。それから『完全図解不思議発見図鑑 なぜだ!?』。恐竜から天体の話とか、エネルギーとか人間の体の話とか体の内部とか幅広いですねぇ!よかったら書店で手にとってみてください。サバイバル、このラジオの世界もサバイバルよ。この番組もよくサバイバルしているよねぇ。生き残ってると思わない?よーし、永遠のサバイバーになってやる。それでは、みなさんよい週末を。バイバイ!