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「クラゲの生態」(1)
コーチャー/並河洋(ナミカワヒロシ)さん(国立科学博物館)
大村正樹&並河洋

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、夏休みもいよいよ終盤です。今回はちょっと変わった海の生き物を取り上げます。みんな名前を聞いたことあるけど、その生き物の生態系や具体的に手にとって見たりとか、なかなかないと思うのよね。それは、クラゲ。ということで、「お盆を過ぎるとクラゲが出るから海は気をつけてね」と言われたけど、クラゲって一体どんな生き物でしょうか?お知らせの後、サイコーの登場で〜す。


大村正樹

今週のサイコーはクラゲの専門家、国立科学博物館の並河洋(ナミカワヒロシ)さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

並河さんは北海道大学で学位を取得された。私も北海道在住でございます。

そうですか。


大村正樹

出身は北海道ですか?

出身は北陸の福井県です。


大村正樹

そうですか。私は出身、北陸の富山県です。

お近くですね(笑)。


大村正樹

北陸生まれの北海道経由東京ということですか?

北陸生まれの高知経由、鹿児島経由、北海道経由東京という形です。


大村正樹

すごい! 私も鹿児島にいた時期があって…。終わった後で話しましょう(笑)。

はい(笑)。


大村正樹

現在、『クラゲ大図鑑』などの本も監修されてて、とにかくクラゲに関しては日本の第一人者ということですね。そもそもクラゲって何なんですか? 漢字で書くと、「海」の「雲」でしたっけ?

「海」の「月」です。


大村正樹

海月、クラゲって読みますよね。クラゲって何なんですか?

ひと言でいうのは難しい動物で、まず海の動物です。非常にシンプルな生き物で、ほかの動物とも全く違うと言っていいぐらい面白い動物ですね。


大村正樹

僕らがクラゲを見ようと思ったら、東京ではどこへ行ったら?

そうですね。夏の時季ですと、ミズクラゲという白いおわん型のクラゲがいっぱい出てると思うんですが、晴海やお台場とか港の近くで見ることができると思います。


大村正樹

海水浴場は無理だけれど、埠頭、岸壁とかに行くとミズクラゲが見られる。

はい、そうです。


大村正樹

あそこは潜れませんから陸上から見ると見えますよ、ということですね。

そうですね。ただ時間帯を選ばないと難しいかも知れません。


大村正樹

何時ごろがクラゲの出現時間ですか?

ミズクラゲはカンカン照りの時は出てこないようで、朝方とか夕方によく見られると言われています。


大村正樹

もっとも暑い時は見られないということですね。

そうですね。そのほかに波の満ち引きによって潮の流れにのってやってきますので、潮がだんだん満ちてくる時に行くとちょうどミズクラゲを見ることができるんじゃないかと思います。


大村正樹

クラゲは海の生き物の中でもちょっと得体が知れないけれど、水族館では目にすることもありますよね。何か不思議な生き物で、クラゲは元々何で、何を食べて生きてて、外敵は何なのか、基本的なことから教えていただけますか?

最近あちこちの水族館でもクラゲを展示するようになりましたので、みなさんも身近にクラゲを見ることができると思うのですが、ただ水族館で見てもどういった生き物かなかなか分からないと思います。


大村正樹

見てるだけで楽しいから、それ以上別に突っ込みたくなくなっちゃう生き物ですよね。

そうですね。クラゲは、私たちは植物の花のようなものだと言っているんですけれど・・・。


大村正樹

フラワーですか? クラゲは? 何でですか?

実は、クラゲは子孫を残すためにつくり出されたものなんですね。


大村正樹

はぁ。

それで、そういう意味で植物の花のようなものだと言っています。


大村正樹

子孫を残すためにつくられたと言ったら、人間や生き物もみんなそうなんじゃないですか?

クラゲは春ごろ出てきて1年ぐらいしか命がないわけですけれど、もうひとつ別の姿があるんですね。それがポリプというものですけれど、ずーっと長い間生きてまして、季節が来るとクラゲを出す。そういう生活をしているわけで、ポリプというものが植物で言えば葉や茎や根の部分であって、クラゲは花のようなものだというふうに私は説明しています。


大村正樹

分かりやすい。ミズクラゲって20センチぐらいでプカプカ海の中にいますよね。あれは花で、ポリプという元々の種から芽が出てふくらむぐらいの過程があるということですね。

そうですね。


大村正樹

そのポリプはどこにあるんですか?

たぶん、みなさん見たことはないと思います。非常に小さなもので1ミリか2ミリぐらいの大きさしかないんですが、岩場とか埠頭の岸壁のところとかコンクリートの上にくっついて生きてます。


大村正樹

ポリプでいる期間はどれぐらいですか?

それは実は分からないんですね。


大村正樹

えっ、まだ正体が不明!?

正体が不明なんですね。


大村正樹

クラゲは花が咲いて、どれぐらい生きるんですか?

クラゲの時期としては、だいたい1年ぐらい。


大村正樹

へぇ〜。ポリプが1年より長いか短いかは誰もまだ分からないんですか?

少なくとも1年よりは長いと言われているんですけれど、何十年生きてるかはまだナゾと言われてます。


大村正樹

はぁ〜、そうか。花が咲くまで何年もかかって、花が咲いて1年間生きる。それがクラゲの一生?

そこもまだ説明が不足だったんですが、もうひとつ前の段階で卵ができて、それが子どもになりまして岩にくっついてポリプという姿になるんです。


大村正樹

ポリプの前があるんですか?

すみません。ポリプの前に子どもの時期があって、ポリプになった後に季節が来ると毎年毎年クラゲを出すという形なんですね。毎年クラゲを出しても、ポリプは残り続けて何年も生きている。普通の桜の木をイメージしていただければ、桜の花は春に咲いて、木はずっと残っている。毎年毎年桜の花が咲くというイメージで、ポリプとクラゲの関係を考えていただければと思います。


大村正樹

ひとつのポリプからクラゲはいくつ出てくるんですか?

そうですね。ミズクラゲの場合ですと、ひとつのポリプから10個20個のクラゲが出てきます。


大村正樹

ポリプって1ミリぐらいと話されてましたよね。小っちゃいところから10個20個のクラゲが出てきて、成長して20センチのミズクラゲになってくるんですか?

そうですね。


大村正樹

はぁ〜。ポリプはクラゲの巣みたいなものですか?

クラゲの大元の姿と考えてもらったらいいかなと思います。


大村正樹

絶対見たくなってきましたが、なかなか肉眼で見るのは難しい。

そうですね。


大村正樹

いやぁ、よく分かんないなぁ、ポリプ。ポリプをいつか見るよう目標にして生きよう。クラゲは何を食べて生きてるんですか?

クラゲは小さな動物、プランクトンをつかまえて食べてます。


大村正樹

魚じゃなくてプランクトン。

そうです。


大村正樹

海の中にいるプランクトンを食べて生きている。

はい。


大村正樹

クラゲは誰かに食べられちゃうんですか?

クラゲが大好物な魚がいまして、カワハギなどがクラゲを食べると言われてます。


大村正樹

へぇ〜、カワハギかぁ。カワハギは僕らが食べてるんですよね。

そうです。


大村正樹

ミズクラゲもカワハギに食べられるんですか?

私も海岸でカワハギがミズクラゲをつっついている姿を見たことがあります。


大村正樹

へぇ〜。ひと口では食べられないですよねぇ。

そうですねぇ。


大村正樹

クラゲって変な話、キノコの傘みたいなものがあるじゃないですか。あれの一部が食べられちゃったらクラゲそのものが死んじゃうのか、一部食われてもまだ生きているのかどちらですか?

一部の度合いもあると思うんですが、ほんのごく一部ですとまたそこがちゃんと再生して元の形になって生きていけますけれど、半分以上なくなってしまうと死んでしまう。


大村正樹

クラゲは心臓とかあるんですか?

実は、心臓はないですね。


大村正樹

へぇ〜。じゃあ、何でもって生きてるんですか?

水族館でクラゲを観察すると、傘という丸い部分がプカプカとなってるのが見られると思うんですが、その動きが心臓の代わりとなって体の中の液を全体に行き渡せるようにやってると考えています。


大村正樹

動物とはちょっと違うんですかねぇ?

動物は動物なんですね。ただわれわれがイメージする動物とは違うと考えていただければと思います。


大村正樹

へぇ〜。あっという間に時間が来てしまいました。クラゲ、まだまだ得体が知れないので、来週もまた夏休み最後ということで来ていただいてよろしいですか?

はい、分かりました。


大村正樹

今週のサイコーは、国立科学博物館の並河洋さんでした。ありがとうございました。


大村正樹

「夏休み終盤」と言ったけれど、今、北海道で生活していて、北海道のキッズは何とお盆の終わった後から学校がもう始まってるんです。信じられないでしょう。夏休み3週間ちょっとしかなかったよ。ということで、みんなはいいね。それでは、来週も夕方5時半に会いましょう。夏休みもあと10日、大事に過ごそうね。じゃあね!