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「植物の常識ウソ・ホント?」(1)
コーチャー/萩原信介さん(国立科学博物館附属自然教育園・特任研究員)
大村正樹&xxx

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今回は植物を取り上げるんだけれど、植物って身の回りに絶対あるでしょ。どんな都会にでも絶対あるよね。植物が生きていくうえでは、いろんな秘密があって、意外に知らない常識がそこに隠されているということです。お知らせの後、日本で一番植物に詳しいサイコーが来てくれます。


大村正樹

今週のサイエンスコーチャー略してサイコーは、萩原信介さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

よろしくお願いします。萩原さんは東大の大学院農学研究科を修了後、国立科学博物館附属自然教育園に入られ、植物のプロで、特任研究員として研究されています。萩原さんは、植物との関係は非常に長いわけですよね。

まぁ、そうですね。


大村正樹

何か植物っぽい穏やかなお顔をされてますね。

外見だけかもしれません(笑)。


大村正樹

今日、このラボにツルのような植物をお持ちですけれど、それは何ですか?

ちょっと思いついて、電車の脇の身近な雑草を拾ってきたんですけどね。


大村正樹

浜松町の駅を下りられて来るまでの間に拾ってきたんですね。アサガオのツルみたいな長いものに、葉っぱがついています。これは雑草ですか?

もう有名な雑草です。


大村正樹

何ですか、それは?

ヤブカラシという、ヤブを枯らすほどすごいツル植物なんです。


大村正樹

ほぉ〜。今年の夏は節電で“ベランダの窓に吊る植物を”という提案があるじゃないですか。“よしずを掛けたらどうか”とか。

ええ。


大村正樹

今お持ちのヤブカラシは、そういう日の光をさえぎる効果はあるんですか?

大きくなれば抜群ですね。


大村正樹

そうですか。

私も一度、遊びで一階のベランダから屋根までずっと伸ばしたことがあります。普通は採っちゃう雑草ですけれど、今年はちょっとエコヒイキしてあげて伸ばしてあげて…。


大村正樹

やっぱり今年の夏はこういうヤブカラシなどの雑草をあえて排除せずに…。

できる場所なら、それもいいかもしれませんね。


大村正樹

なるほど、ヤブカラシね。ぜひみなさん、調べてみてください。萩原さんは植物生態学のご専門ですが、植物生態学は何をやるんでしょうか?

そうですねぇ。生き物はだいたい1人だけじゃ生きてないでしょ。


大村正樹

はい。

植物ももちろんで、ひとつだけ植えても育つことは育ちますけれど、実際では自分の兄弟がいて親がいて、ほかの植物がいて、それと一緒にいろんなことをやりながら生きてるわけですよね。その生態を調べるというようなことが主な仕事ですね。


大村正樹

植物ってゆっくり成長するから、やっぱりゆっくり付き合っていかないとなかなか研究結果は導き出せないものですよね、きっと。

まぁ、そうですね。例えば木など100年とか200年生きてるでしょ。


大村正樹

はい。

雑草といっても、種からいきなり大きくなるわけではありません。毎日わずかしか成長しませんので、われわれ動物から見るとまどろっこしい点もありますけどもねぇ。


大村正樹

ふ〜ん。

植物は動けないでしょ。動けないということは、例えば「今日は暑いからクーラーのある部屋に入ろう」とか「もっとエサのあるほうへ行きたい」とかできないですよね(笑)。できないなりにその場所にずっとい続けて、何とか生活できるようにいろんな戦略を、われわれとは違う戦略を備えているともいえますけどねぇ。


大村正樹

なるほど。植物が自分で生きていくために、動かないけれど作戦を練っているわけですね。

そうですね。


大村正樹

僕らはのどが乾いたら何か飲み物を飲むし、暑いと思ったらアイスを食べるけれど、植物はそれができないから。

例えば、さっきのヤブカラシもそうですね。ツルですから風が吹くと倒れちゃうんですよ。その代わり、巻きひげを持ってうまくよそのものにたかって、風が吹いても自分の体が倒れないようにする戦略を持っているとか。


大村正樹

自分ではまっすぐはえていけないから、強いところに巻きながら伸びていく…。なるほど、わかりました。さぁ今日は「植物の常識ウソ・ホント?」ということで、ラジオの前のキッズに先生からクイズをもらいました。まず、「アサガオは朝に咲くといわれていますけれど、これウソ・ホント? どっちでしょうか?」

朝に咲くこともあるし、別の時間に咲くこともある。だから、不正解かな。


大村正樹

不正解。だってアサガオとユウガオがあって、ユウガオは夕方咲くからと子どもの時からず〜っと思ってますけれど…。

ええ。みなさん、アサガオは夏休みに入るとすぐ花が咲くと思うでしょ。


大村正樹

はい。

ほんとうは自然に置いておくと9月が盛りなんですよ。


大村正樹

そうなんですかぁ。だって…。

小学校でやるでしょ。あれはうんと早く種をまいちゃうからなんです。


大村正樹

でも、夏休みには、みんな植木鉢を持って家に帰るでしょ。8月の上旬にはツルが出てきて花が咲いてますよ。じゃあ、1ヵ月も早く咲いてくれてるわけですか?

そうですね。


大村正樹

それは子どもたちのために、ですか?

子どもたちのためです(笑)。


大村正樹

ハハハハハ。

夏休みに花を咲かせないと困るもんでね。


大村正樹

へぇ〜。

だから、時々「家のアサガオはいつまでたっても花が咲かない」と。それは当たり前の話で、ほんとうは9月が盛りだからなんです。


大村正樹

ふ〜ん!

学校から持って帰ってきたアサガオは、7月の中頃になると、だいたい朝の5時ぐらいに咲きます。


大村正樹

朝5時、じゃあ朝に咲くんじゃないですか。

その時は咲くんですけれど…。でも、地面に生えているものだと、9月になると4時頃咲きます。


大村正樹

朝4時に。じゃあ9月のほうが早朝に咲くということですか?

早く咲きますね。ところが最近、東京があたたかいものですから10月、時には11月まで咲いてることがあるんです。


大村正樹

はぁ。

そういう時には、もっと早くなります。


大村正樹

3時とかに咲くんですか?

2時か3時頃に咲いてます。


大村正樹

アサガオが咲くのは、日の光を見るから咲くということではないんですね。

そうなんですよねぇ。われわれ人間は「太陽が照っているから咲く」と思うかもしれませんが、植物はだいたい夜の時間を体の中に覚えておいて、日が暮れてから「何時間後に咲きましょう」と決めていることが多いんです。


大村正樹

日没がアサガオの咲くタイマーのスイッチが入るということですか?

そうなんですよねぇ。


大村正樹

日の出じゃないんですか?

日の出じゃないんですよね。


大村正樹

へぇ〜。

植物によっていろいろあります。アサガオはとっぷり日が暮れてから何時間という…。


大村正樹

この時季は、夜の7時過ぎまで明るくて、その頃アサガオは次の日に咲くための準備を始めるということですね。

そうですね。


大村正樹

じゃあ、日が暮れてから何時間後という?

だいたい10時間。


大村正樹

10時間後。ということは、夜7時に暮れたら朝の5時。

そうですね。


大村正樹

10月に早く咲くのは、そういうことなんですね。10月になると5時過ぎ、5時半とか。

特に曇っている日には早く暗くなるでしょ。気温がちょっと寒いと、やっぱり時間が早くなるんですよ。


大村正樹

ほぉ〜。

気温が寒いと1時間ぐらい早くなる。夏はあたたかいですけれど、秋になると涼しいでしょ。そういう時はもうちょっと早く咲く。


大村正樹

10時間後じゃなくて。

9時間とかね。


大村正樹

ほぉ〜。じゃあ「アサガオは朝に咲く」というみんなが常識だと思っていたことは、「アサガオは夜にスイッチを入れる」ということですね。咲くためのスイッチを。

とっぷり日が暮れてからスイッチが入るということですね。


大村正樹

なるほど、わかりました。まだまだ植物に関して興味深い話がありますので、また来週、続きを聞かせてください。今週のサイコーは萩原信介さんでした。ありがとうございました。

どうも。


大村正樹

しまった。アサガオは夜にスイッチが入ることはわかったけれど、ユウガオは朝スイッチが入って日が出てから10時間後に咲くのかなぁ? 聞くの忘れてしまいました。誰か、もしよかったら調べてみて。さぁ、みんなどうだったかな?番組ではなぜと思う世の中の科学の疑問や番組で行なう科学実験に参加してみたい人、取り上げてほしい科学のテーマなどを募集しています。来週もまた夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を。じゃあね!