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「火星の話」(1)
コーチャー/竹内薫さん(サイエンス作家)
大村正樹&竹内薫

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ今回は太陽系の惑星、地球のお隣の火星を取り上げます。火星は前々から地球に似ているというけれど、具体的にどんな星なのか知ってた?火星人って前からいるいるといわれているけれど、本当にいるかどうか興味ない? ということで、お知らせの後、サイコーに聞いちゃいますよっ。


大村正樹

今週のサイコーは、サイエンス作家の竹内薫さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

よろしくお願いいたします。竹内さんはサイエンス作家という肩書きでいらっしゃいますけれど、東大の理学部を卒業されて科学作家としてたくさんの本を書かれている。作家でもあり、科学者でもあるということでよろしいですか?

いえ、作家ですね。


大村正樹

作家ですか。

はい(笑)。


大村正樹

“文才のある科学者”という表現はダメなんですか?

文才があったのか、そうじゃなくて科学の才能がなくて文章を書いているのか、そこらへんが微妙です(笑)。


大村正樹

手元に『2035年火星地球化計画』という本があるんです。2035年ということは、あと24年後。

そうですね。


大村正樹

次の次の兎年には火星が地球化されてるよ、という著書ととらえてよろしいですか?

いえ、2035年ぐらいに火星にまず行くことができるだろうと。


で、その後、数百年かけて火星を地球みたいに改造していくということですね。


大村正樹

24年後に火星に行くことはできますが、開発まで数百年かかるということは、僕らはもういないわけですね。

だいたい宇宙の話はそういうことが多くて、例えば千年とか数万年とかそういった規模で考えるんですね。なので、われわれの祖先がそういうところで生活するということですね。


大村正樹

でも、今年のはじめか去年にアメリカのオバマ大統領が有人火星探査を目指すという、「アメリカはこれから火星だ!」というふうに話してましたよね。

あれは元々オバマさんの前のブッシュ大統領の時にコンステレーション計画というのがあって、それはまずアメリカが月に行く。それからその後に火星まで人を送るという計画だったんですよ。


大村正樹

ええ。

ところがオバマさんに政権が変わって、一応、月は飛ばしていきなり火星に行ってしまうという計画なので、確か2025年ぐらいまでに月よりは遠くに行くことができるロケットをつくろうじゃないかと。現状では、そういうロケットはないんですね。


大村正樹

はい。

ロケットと宇宙船をつくって、35年ぐらいまでにできれば人間を火星に送り込みたいという計画です。


大村正樹

ふ〜ん。日本ではイトカワに行って戻ってきた「はやぶさ」が有名ですけれど、月と火星とイトカワは、距離はどういう順番ですか?

一番近いのは、もちろん月です。それから火星かな。そしてイトカワ。


大村正樹

ということは、「はやぶさ」もイトカワまで行って戻ってきたぐらいですから、火星まで行って戻ってくることは、不可能じゃないかもしれないということですね。

いろいろな問題があって、「はやぶさ」は無人探査機ですね。それからイトカワはすごく小さいので重力がほとんどない。そういう状況であれば、行ってタッチダウンをして帰ってくることも可能ですが、火星の場合は非常に重力があります。重力は地球と比べるとそれこそ40パーセントぐらいしかないんですけれど、それでもそういう重力が強いところへ行って降りてまた飛び立つのはけっこう大変なんですよ。


大村正樹

はい。

月ではできてはいるんですけれど、火星は遠い。地球から行くとたぶん宇宙船で半年ぐらいかかる。


大村正樹

へぇ〜、6ヵ月かぁ。

なので、非常に遠い。場合によっては行って帰ってくるのに1年強から3年弱ぐらいかかることもあるんですよ。


大村正樹

はぁ。

その間、人間が無事に行って火星で生活して帰ってくるとなると、たぶんいろんな物資も運んで行かなくちゃいけない。あるいは現地で燃料を掘るとか、そんな話もあるかもしれませんが、とにかくけっこう大変なことなんです。


大村正樹

“水・金・地・火・木”だと、地球のひとつ外側の星ですよね。地球よりもちょっと寒いことが想像つきますけど、重力が地球の40パーセントということは5分の2ぐらいしかないことですね。

そうですね。大きさはだいたい地球の半分ぐらい。


大村正樹

ちっちゃいんですね、火星のほうが。

小さいですね。大きさとしては、ちょうど地球と月の中間ぐらいの大きさです。1年はだいたい地球の倍ぐらい、687日が1年。


大村正樹

ふ〜ん。

ただし、1日は24時間ちょっとなんですよ。それから地球と似てる点でいうと、地球は地軸が傾いてますね。地軸が傾いているので季節があるわけですが、火星も実は地軸が25. 2度傾いているんですよ。ということは、ここも季節があるんですね。


大村正樹

地球は何度傾いているんですか?

地球は23.5度傾いてます。


大村正樹

ほぼ同じ角度傾いている。

はい。


大村正樹

じゃあ、火星には四季がある。

なので、火星を改造することによって地球と同じような環境がつくれるんじゃないかと。ただ現在のところ、火星の大気、ほとんど95パーセントぐらいが二酸化炭素なんです。


大村正樹

ダメじゃないですか。植物しか生きられない。

えぇ(笑)、そうです。また困るのは、火星は平均温度がマイナス53度ぐらいで、すごく寒いんですよ。


大村正樹

マイナス53度かぁ。

一番寒いところでマイナス128度。


大村正樹

それは無理ですねぇ。

そうですね。なので、暖かくしなくちゃいけない。今の地球上では地球温暖化を防ごうとやっているわけですね。


大村正樹

ええ。

いわゆる温暖化ガスを減らしているわけですけれど、火星の場合は温暖化ガスを増やすんですよ。


大村正樹

はぁ〜。

ただ現状でも二酸化炭素がたくさんあるわけですが、それでは間に合わないので超温暖化ガスというのがあるんですよ。例えば六フッ化硫黄とかあまり聞き慣れない名前の化学物質があって、そういったものを火星でつくっちゃう。つくって大気中に放出すると温暖化が始まって、それによって気温が上がっていくだろうと。


大村正樹

人間が手を加えないとガスはできないわけですよね。

はい。


大村正樹

誰かが火星へ行って、そういうガスを排出する工場をつくらなくちゃいけないわけですね。

そういうことですね。


大村正樹

そりゃ気が遠くなる話ですよね。

ハハハハ。なので、数百年かかるんじゃないかといわれてるんです。


大村正樹

へぇ〜。何か1年の公転サイクルは地球の2倍ですけど、あと自転サイクルはほぼ同じ、軸の傾きも同じ。気温が思いっきり寒い。

はい。


大村正樹

そうかぁ、住みたくないですね。

そうですね。大航海時代といって、ヨーロッパの人がいろんなところに出かけていきましたよね。あぁいった感じで、最初は探検みたいに本当に行きたい人が行くという形になるんじゃないでしょうかね。


大村正樹

コロンブス精神みたいなものかもしれないわけですね。そこを発見して、住んで、でもネイティブはいないわけですよね。

えぇと…。


大村正樹

火星人は、ズバリいるんですか?

これは論争中です。


大村正樹

ふ〜ん。

ただし火星から飛んできた隕石があって、ALH84001かな。この隕石にどうも生命のこん跡があるという仮説があるんですよ。


大村正樹

火星から飛んできた隕石が地球上で発見されているんですか?

そうです。


大村正樹

どこで見つかったんですか?

実際にいろんなところで見つかっているんですよ。今のところ数種類、火星から飛んできたと言われる隕石は発見されてます。


大村正樹

へぇ〜。

これがどうして火星から来たことがわかるかというと、「バイキング」という着陸船が火星の大気の成分を分析したことがあるんですね。


大村正樹

けっこう昔ですよね、「バイキング」。

非常に古いです。その大気の成分と隕石の中にあった成分が一致したんですよ。なので、おそらく火星から飛んで来ただろうということになってるんですね。


大村正樹

ほぉ〜。

その隕石の中にどうも原始的なバクテリアみたいな構造があるということで、これは一時、世界的な大論争になったんですが、あのねぇ、決着はついてないんです。違うかもしれないので。


大村正樹

ほぉ〜。

だから、隕石の有機物というので、どうも生命体があるのではないかという話なんですね。


大村正樹

生命体がいるかどうかはまだわからないという、夢のある話で。

そうですね。


大村正樹

今日、番組で決着がつかなかったんで、来週また竹内さんに来ていただいてよろしいですか?

わかりました。


大村正樹

いったんここでお話を切り上げて、来週また来ていただきます。今週のサイコーは、サイエンス作家の竹内薫さんでした。ありがとうございました。



大村正樹

僕が子どもの頃から火星人の絵というと、ほんとイカみたいなやつで足がニョロニョロニョロと出てて目がついてるというのを描いたんだけれど、今のキッズたちは火星人の絵とか描かないのかなぁ?でも何でそうなったんだろうか。そのあたり、また聞いていきたいなぁ。今日は途中で終わっちゃたんだけど、また来週もぜひみんな聞いてください。火星のこと、もっともっと知りたくなったでしょ。それでは、また来週も夕方5時半に会いましょうね。バイバイ!