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「カエルの話」(2)
コーチャー/松橋利光さん(動物写真家)
大村正樹&松橋利光

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今回も先週ちょっと好きになったカエルのお話を取り上げます。カエルって絵に描くのも簡単だし、とっても身近で子どもの頃から誰もが接する動物だと思うんだけれど、意外に知らないことっていっぱいあると思うんだよね。お知らせの後、サイコーの登場で〜す。


大村正樹

今週のサイコーも前回に続きまして、大変カエルに詳しい動物写真家の松橋利光さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

写真集を1週間お借りして、ちょっとカエルが好きになってきました。

ありがとうございます。


大村正樹

カエルの生き方や特徴とか、変な顔の写真もあって、「これ撮るのも大変なご苦労があったんだろうな」という感じがしたんです。これまで何枚ぐらいカエルの写真を撮ってこられたんですか?

種類でいうと何百種類になるんでしょうし、枚数はちょっと考えが及ばないぐらい撮っていますね。


大村正樹

4000種類以上いるというカエルですが、そもそもカエルはジャンプするという特徴があって、でも好きでジャンプしているわけではないという話を先週聞きましたよね。

はい。


大村正樹

カエルのことを言うときには「ピョコピョコ」で、プラス鳴き声には「ゲロゲロ」といいますよね。すべてのカエルが「ゲロゲロ」と鳴くんですか?

種類でもちろん鳴き声は全然違います。


カジカガエルという川にいるカエルは、口笛のように「ヒョロヒョロヒョロヒョロ」という声だったり。


大村正樹

いくらお好きでも、カジカガエルの鳴き声を再現することはできないんですか?

再現は、できるかなぁ…。


大村正樹

やってみてください。カジカガエル、やりま〜す!

ピューピュピュピュピュピュピュピュー(口笛で)。鳥みたいですよ。


大村正樹

鳥でしたねぇ。それがカジカガエル。

川でよく聞く、鳥だと思っている人も世の中に多いですけれど、実はカエル。


大村正樹

へぇ〜。今の音を聴いたら、みんな上を見ないで地面のほうを見たら…。

川の石の上を見ると、カジカガエルがいたりします。


大村正樹

あと、ほかに特徴があるのは?

アマガエルはたぶん「ケロケロ」だと思ってるんですが、あれはもっと「ギャギャギャギャッギャギャギャギャッ」と鳴くんです。


大村正樹

へぇ〜、そうですか。

いわゆる「ケロケロケロッ」と鳴くのは、実はあんまりいなくて、


大村正樹

やさしい鳴き方をするわけではないんですね、アマガエルは。

はい。


大村正樹

「グヮグヮグヮグヮ♪ ゲゲゲゲゲゲゲゲ♪ グヮグヮグヮ♪」は何のカエルですか?

何でしょうねぇ(笑)。「グヮグヮ」というのは、もしかしたらトウキョウダルマガエルとかトノサマガエルのたぐいなのかもしれないですね。繁殖期で鳴き声はだいぶ変わるんですよ。メスを呼ぶための“メイキングコール”というのがきれいな鳴き声で、オス同士のケンカはもっと「グーッ、グーッ」とうなり合うような声だったりして、鳴くのは全部オスです。メスは鳴き声は出さないんです。


大村正樹

ふ〜ん。

鳴く時は鳴嚢(メイノウ)という袋をふくらませて、それに音を反響させるように響かせて鳴くんですが、それがオスしか持っていない。


大村正樹

へぇ〜。何かカエルのケンカってイメージがつかないですね。体が柔らかくヘニャヘニャしてるし、手だって爪があるわけでもなく口も歯があるわけでもないので、カエル同士がケンカしても何かスポンジ対スポンジみたいなイメージですけれど、ケンカして激しくやるんですか?

ほんとに取っ組み合いです。


大村正樹

えっ! カエルが?

噛みついたりはしないですけど取っ組み合いで、例えばカジカガエルですと石の上に縄張りをつくるんですね。近くで鳴いているカエルがいると飛んでいって、そいつを石から落として鳴いてるという感じです。


大村正樹

へぇ〜。

もうちょっと冬の時期に卵を産むアカガエルの仲間やヒキガエルなどは、大勢オスが集まって、メスが来るとそれに寄ってたかって抱接(ホウセツ)といってくっつこうとする。その奪い合いは、お互いをはがし合うような、まるで取っ組み合いの大相撲みたいなケンカをしますよ。


大村正樹

見たことあるんですか?

毎年、撮影のために、そういうのを探しに行ってますから。


大村正樹

すご〜い! カエルのケンカなんて絶対見られないですもん。

なかなか面白いですよ。人間味あふれるというか(笑)、プロレスのようです。


大村正樹

“カエルで人間”というと、水泳の平泳ぎはひと昔前の人は“カエル泳ぎ”といったじゃないですか。平泳ぎ=カエルなんですかねぇ?

足の動きは、カエルもああいうふうに動きます。


大村正樹

いいんですね。手は?

手は体にほとんど密着させちゃう、水の抵抗にならないように。


大村正樹

へぇ〜。

水辺に住んでよく泳ぐ機会の多いカエルは、前の足には水かきがない。


大村正樹

あっ、そうなんですか!

前の足はとにかく抵抗にならないようにくっつけて動きます。


大村正樹

勝手にカッパのイメージで前足にも水かきがあるかと思ったけれど…。カッパは水かきがあるけれどカエルはない?

ないんです。後ろ足だけです。


大村正樹

ほんとだ、この写真集もみんな、そうだ〜。知らなかったぁ。

かえって水辺に住んでない、木の上に住んでいるようなカエルは前の足にもいっぱい水かきがついていて、ジャンプの時に飛ぶような、何というかグライダーの役目をするようなカエルもマレーシアのほうにいるんです。なので、木の上にいるカエルのほうが水かきが発達していて、水辺のは後ろ足だけだったりするんです。


大村正樹

ほぉ〜。すごい基本的なことですけれど、この写真集にカエルの食べるシーンがあって、カエルがバッタを食べてる写真があるんですね。カエルはふだん何を食べるんですか?

基本的に動くものには何にでも飛びつきます。


大村正樹

ハエを食べるっていいますよね。

ハエはめったに食べないです。


大村正樹

えっ、じゃあ何を食べるんですか?

基本的には地べたを歩いているようなもの、コオロギとかバッタとか地をはうようなものをよく食べます。


大村正樹

基本的には肉食という解釈ですか?

オタマジャクシのうちは草やコケを食べるんですが、大人になってからは肉食です。


大村正樹

そうなんですか。両生類という語源は、そういうところにもあるんですか?

水の中で産まれて陸に上がる、という2つの性質を持っているので両生類です。


大村正樹

オタマジャクシからカエルに変態することによっての両生類。食べ物の嗜好も変わるというのは違う?

名前とはちょっと違うと思うんですが、オタマジャクシはおちょぼ口ですけれど、カエルになるとバカッとガマ口になる。


大村正樹

これまでご覧になった中で、カエルがすごくびっくりするような行動をした瞬間に出くわしたことは?

やっぱり威嚇(いかく)行動が一番面白いと思うんですけれど。


大村正樹

威嚇! 威嚇の写真もあって、もう最高に気持ち悪い写真があって…。

ハハハ。


大村正樹

「これはどうなの?」という感じなんですけれど(笑)。正面を向いてカエルが口を開けて、カエルは緑ですが口の中はピンク色なんですね。ベルツノガエルが威嚇している写真が1枚入ってました。これはベストショットですか?

カエルっておとなしい、怒る感じがしなくないですか?


大村正樹

怒る感じは…。でも、この写真を見たら怒ることがわかったんですけれど。

逃げるほうばかりで、怒ったり立ち向かうイメージはあまりないと思うんですけれど。


大村正樹

でも何か体をふくらまして怒ってるといいませんか? ですよね。

普通、日本にいるカエルは体をふくらませて大きく見せる程度ですけれど、南米にいるようなカエルだともう本当に「ギャーッ!」という叫び声で飛びついてきたりするぐらい威嚇する。怒らせてしまうと、ですけれど、実は歯もあるんですよ。


大村正樹

ふ〜ん。

前歯がちょこっとあって、噛まれるとものすごいニッパーではさまれたように痛い。


大村正樹

カエルに? カエルに噛まれたら痛いんですか?

全部じゃないですよ。そのベルツノガエルとか歯を持っているカエルに噛まれると大変です。


大村正樹

へぇ〜。この威嚇を見るのが、写真家としての醍醐味のひとつでもあるんですか?

「それを撮りたいなぁ!」とは常に思いますね。


大村正樹

今の話を聞いて写真もいっぱい見てみると「何か悪くないなぁ」という気がしました。僕はなかなか飼えないけれど、興味があるキッズはカエルを飼うのもいいかもしれない。いろいろな表情があって面白いですよねぇ。

はい。ぜひ! ぜひ飼ってみてください。


大村正樹

カエルって自分で取れるわけだし、水槽とミズゴケさえ買えば、スタートキットは安いということですよね。

そうですね。


大村正樹

わかりました。今後のご予定でカエルを撮るためにどこか遠征は行かないんですか?

たぶん今年は2、3度沖縄のほうに探しに行こうかなと思ってます。


大村正樹

そうですか。とにかく2週にわたって僕がじっくり見た誠文堂新光社の『カエルの知られざる生態』、よかったらみんなも見てみてねっ! ということで、また時間ですよ。短いですよねぇ。

本当に。


大村正樹

またいつかお会いしたいと思います。

よろしくお願いします。


大村正樹

今日のサイコーは、動物写真家の松橋利光さんでした。ありがとうございました。

ありがとうございました。


大村正樹

松橋さんは写真集をたくさん出してらっしゃるんですけれど、相模原市立博物館のガイドブックの写真もすべて松橋さんが撮った写真です。このガイドブックは博物館へ行ったら無料でもらえるものだと思うんだけれど、それだけでも相当のカエルの写真があるんです。よかったら週末に相模原のほうへ行って、松橋さんの写真を見るのもいいんじゃないかなと思います。それでは、来週また夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を。今日は虫歯予防デーだねっ。バイバ〜イ!