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「化石の疑問」(2)
コーチャー/北村雄一さん(フリージャーナリスト、イラストレーター)
大村正樹&xxx

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。今日も化石を取り上げます。映像や写真じゃなくて、「僕たちが実際に化石を掘ったり見たりすることは近場でできるのか?」というお話もサイコーに聞いていきたいと思います。みんな、化石に興味を持ってねっ。


大村正樹

今週のサイコーもフリージャーナリストでイラストレーターの北村雄一さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

北村さんは化石について大変詳しくて、先週は多摩川で化石を採取してるという話をうかがったんですが、日本でもあちこちで化石がまだ採れるんですか?

普通に採れますね。


大村正樹

以前、原人が石を採って旧石器時代にいろいろあったじゃないですか。あれでねつ造問題とかありましたけれど、あの石器と化石は“掘る”というプロセスは同じですか?

同じですね、結果的には。


大村正樹

へぇ〜。

もちろん、あれは化石とはいわないですけれど、掘るプロセスはまったく一緒ですね。


大村正樹

例えば、日本ではどういう動物の化石がよく採れるんですか?

それこそナウマンゾウから始まって昆虫、魚、ほかにも植物。あとは恐竜とかいろいろなもの。


大村正樹

日本で恐竜の化石が見つかったことがあるんですか?

ええ、見つかりますね。


大村正樹

だって恐竜の化石って、先週うかがったら新しくても7000万年前とおっしゃってたでしょ。

そうですね。


大村正樹

7000万年前の恐竜が日本にいたということですか?

だから、一番よく出てるテドリソウという…。ソウは地層の名前です。


大村正樹

テドリ? 手で取ると書くんですか?

そうです。手で取ると書いて手取層というところで、1億2000万年前ぐらいの恐竜の化石が出ますね。


大村正樹

地層の中で手取層という深さがあるんですか?

深さというか、名称がつけられているところがあって。


大村正樹

へぇ〜。

もともと日本は大陸の一部でしたから、恐竜が滅びてけっこう最近になってからミシミシミシと日本海側ができることで日本列島が大陸からわかれたので、昔大陸で積もった地層が日本にそのまま来てるんですね。


大村正樹

はぁ〜。

それが手取層とかなので、そこから恐竜の化石が見つかりますね。


大村正樹

日本列島が大陸と分離したのは、だいたい何年前ですか?

ええと、あれは新生代に入ってしばらくしてましたから、3000万年とかいうような感じで。


大村正樹

じゃあ、7000万年前ということは大陸とつながっていた時代。

つながっていた時代ですね。1億2000万年だともっと前ですから、もっとカチンとつながってますから。


大村正樹

恐竜の化石は、日本には有名な恐竜がいたんですか?

そうですね。ティラノサウルスの仲間の歯は出てますね。


大村正樹

肉食じゃないですか!

肉食ですね。


大村正樹

一番怖いといわれている…。ティラノサウルスが日本にいたんですか!

ただ、それよりもっと古い時代のやつなんで、僕らの知ってるティラノサウルスは7000万ぐらいの時代のものなんですよ。日本から見つかったのは1億2000万なので、5000万年前ですよね。


大村正樹

はい。

まだメジャーになる前で、もっと小っちゃな体でトコトコトコトコそのへんを歩き回っていた。だから、大きさも5ミリとかそんなものです。


大村正樹

えっ、5ミリって何ですか?

要するに歯の大きさが5ミリぐらい。


大村正樹

歯が、ね。一番最後の7000万年前のティラノサウルスの歯はどれぐらい?

20センチとか。


大村正樹

えっ、そうなんですか!

圧倒的にデカイですね。同じところを比べたら5センチとかぐらいでしょうけれど、5ミリと5センチじゃえらい違いがあるなという。


大村正樹

すごい! じゃあ、5000万年でティラノサウルスの歯は5ミリから20センチに成長した。

ドーンと巨大化しました。だから、彼らはもっと前からいるんですよ。1億5000万とか、さらにもっと古い古い時代からティラノサウルスの仲間がいるけれど、ずっと目立たないちっちゃな生き物なんですね。


大村正樹

へぇ〜。

むしろアロサウルス、別の肉食恐竜の系統のほうが大型で幅をきかせてたんですけど、ある時からメジャーになり始めて、そこから一気に巨大化していって、とうとう最後は怪獣みたいな姿になっちゃったという。


大村正樹

すごいロマン! だって誰も知らないと思いますよ。ティラノサウルスは一番凶暴な肉食恐竜で地球上で一番強いと思ってて、それが氷河期で滅びたというのが何か伝説みたいに思われてますけれど。

隕石で滅びたんです。


大村正樹

隕石で滅びた。それが今聞いたら、もともとはちっちゃな赤ちゃんみたいな恐竜で、だんだん恐竜を制覇するには成長していって凶暴化していったということでしょう。

長い長い時間をかけて至ったんですね。だから、ちっちゃな肉食恐竜なんて本当に手のひらに頭がのりますから。


大村正樹

いやぁ、すご〜い!

その彼らもよく見ると、鼻筋と頭の上がカチンと固まっていて硬い。何でそうなったのかよくわからないんですが、もしかしたら飾りがついてるから、飾りなどのためだったかもしれない。とにかく、これが後できいてくるんですよ。大型化した時にティラノサウルス−ほかの肉食恐竜はかむ時にスパーンと切るかみ方をする。ところがティラノは相手の頭をブンブンブンと肉ごと骨を砕いて、バキッとねじ曲げるように力任せの狩りをする。


大村正樹

往復ビンタで獲物をやっつけるようなものですか?

ガッとかんで、グイッとやる。バババババッと。


大村正樹

かみついた後に頭を振って。

ブンブンと。ほかの肉食恐竜はやらないんですよね。


大村正樹

へぇ〜。

何でそんなことができるかというと、実は最初の鼻筋と頭の上が硬くなっていることがきいている。そこが硬いと一番力がかかるんだけど、それでも頭がこわれないですむ。


大村正樹

今おっしゃってる話は、映像のように頭に入るわけですよ。でもその話は、化石から推測する動きということですよね。

そうですね。だから、化石で見ると「たぶんこうであろう」と。コンピュータでシミュレーションすると、確かに頭の一番硬いところに負荷がくるんですね、ギギギギギギと。ところがそれを見てみると、ティラノサウルスの鼻筋の骨はほんとに柱のようにぶっとくてガチンガチンの固まりになってるんですよね。「ありゃ、こんなになってるんだ」という。


大村正樹

はぁ〜。

ところが、祖先を見るとやっぱりそうなんですよ。


大村正樹

へぇ〜。

ということは、祖先はそんなことに使おうと思ってなかったんだろう。でも、だんだん巨大化するにつれて、「あれ、なんだ。俺、こんなことできるじゃん!」という。ほかの肉食恐竜はそれができない。


大村正樹

いやぁ、化石を見れば何でもわかるんですね。

いろんなことがわかりますねぇ。


大村正樹

ティラノサウルスの1億2000万年前の化石は、手取層はどこにあったんですか?

それは中国大陸の一部です。中国とか朝鮮半島。


大村正樹

今は分離して、日本でいうとどこですか?

だいたい石川県とか福井とか、あのあたりになります。


大村正樹

多摩川の化石の話が先週ありました。それ以外、東京の身近なところで化石が採れるところはありますか?

荒川とか、いろいろありますよ。


大村正樹

へぇ〜。

だから東京も一時期海だった時とかいろいろな時期がありますから、その時に積もった泥の中に化石が残ってます。


大村正樹

マイナスドライバーを持って、河川敷を下りて行きますよね。最初はどうすればいいですか?

マイナスドライバーとハンマー、あと軍手があったほうがいいですね。


大村正樹

ハンマー、ドライバー、軍手。

なぜかといったら、軍手がなくて素手でハンマーをたたくと痛い。軍手があるだけで意外と痛くないので。ハンマーもそんなにカチカチの岩をたたくのではない限り、ゴム製のハンマーでもいいです。


大村正樹

はい。

化石を直接採ろうと思って、化石のところをピッとやるとバキッと割れちゃいますから、化石の周りごと採るほうがいいんですね。


大村正樹

化石がありそうな目印というか、何をねらえばいいですか?

場所にもよりますけれど、例えば石をパーンとやれば出てくるわけではないので、石も結晶質の石はダメですね。花崗岩とかではなくて泥が固まったような場所で、なおかつ一番いいのは何か白いものとか貝の断面みたいなものが見えている…。


大村正樹

はぁ。

やっぱり、見えてたほうが採れるわけじゃないですか。見えてないのに掘っても見つかるとは思えないし、たぶん見えてないところにはないですよね。


大村正樹

なるほど。あまりキラキラしてなくて地味そうな石で、ちょっと貝がらが見えているような。

それで泥が固まったような石を。要するに川原にゴロゴロころがっている石は、上から流されてきて砕けた岩石ですから、そうじゃなくて昔その場で溜まった地層から化石が出るわけです。ということは、そのあたり一帯が昔は海底だったりしてそのまま固くなっていると思えば、ドローッと泥が固まったようなところがずっと続いているような場所ですよね。


大村正樹

はい。

そういう場所を見ると、「あれっ、何か白いのがあるぞ!」と。


大村正樹

へぇ〜。

よく見たら「鳥のフンですね」ということもあったりするんだけど(笑)。「あれ、これ貝がらを割った時の断面に似てない?」とかだったりすると化石の可能性がありますよね。


大村正樹

多摩川とか荒川だったり。じゃあ、ラジオを聴いているキッズが「これ化石だ!」と思ったらどこへ持っていけばよいですか?

特に持っていく必要はないですね。


大村正樹

自分の中で。

ええ。


大村正樹

わかりました。2週にわたって話をうかがいました。フリージャーナリストでイラストレーターの北村雄一さん、ありがとうございました。

ありがとうございました。


大村正樹

今、北村さんをお見送りしたら衝撃でしたね。長靴でした! 今すぐにでも化石を掘りに行くぞという感じですね。ありがとうございました。北村さんの著書『みんなが知りたい化石の疑問50』、ソフトバンククリエイティブから出てますけれど、身近に見られる化石の話で、霞ヶ関の飯野ビルというビルがあって、その石材は巻貝の化石が見られますよ、ということなんですね。ほんとに身近なところに化石があることがよくわかりました。それでは、また来週も夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を。バイバ〜イ!