過去の放送分
過去の放送分 過去の放送分
「化石の疑問」(1)
コーチャー/北村雄一さん(フリージャーナリスト、イラストレーター)
大村正樹&北村雄一

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。今日のテーマは化石です。今まで恐竜は取り上げたことがあったけれど、化石にスポットをあてたことってなかったんだよね。化石ってよく聞くでしょう。だけど、そもそも何で、どういうものが化石になるのか? お知らせの後、サイコーの登場だよっ。


大村正樹

今週のサイコーは、フリージャーナリストでイラストレーターの北村雄一さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

北村さんは、ソフトバンククリエイティブから『みんなが知りたい化石の疑問50』という本をこの春に出版されたばかりです。アンモナイトの化石はすごく有名ですが、カラーで恐竜の化石などを含め、いろんな化石が写真と図解で掲載されてます。とても面白い本だったんですけど、化石に関して非常に詳しいんですか?

一応、自分で掘ったりとかしてますから。


大村正樹

化石を掘りに行くんですか? どのあたりでやるんですか?

東京の多摩川で。


大村正樹

多摩川で化石が掘れるんですか!?

出ますよ。


大村正樹

へぇ〜。

ただ注意しなくちゃいけないのは、例えば夏になると増水したりするじゃないですか、豪雨とかあるとドバーッと上のほうで。ですから、「そういうところで採る時は気をつけてね!」ということはいっておかないといけないですね。


大村正樹

そうですね! で、多摩川の河川敷で化石が採れるんですか?

採れる場所が何ヵ所かあります。


大村正樹

何の化石ですか?

だいたい貝ですね。


大村正樹

貝。何万年前ですか?

130万年ぐらい前です。


大村正樹

すご〜い! 簡単に採れるんですか?

簡単に採れますけれど、化石がもろいですね。だから周りごと採らないとバキッと割れたりとか、木っ端微塵に砕けたりとかボロボロボロッとなっちゃうんで…。


大村正樹

今のキッズたちって、化石を採ろうという文化はありますかねぇ。

う〜ん、確かに化石を掘っている時に「何やってるの?」と聞いてきた子どもたちがいて、「化石を採っているんだ」といったら、「えっ、こんなとこで化石が採れるんだ!」と一生懸命掘ろうとしてるんです。だけど、彼らは道具がないから川原の石で掘ってるんですね。


大村正樹

はい。

川原の石は丸いからどうにもならない。石をカーンと割って原始人みたいに石器をつくってゴリゴリ掘るのかといったら、そこまででもなく…。


大村正樹

ちゃんとした道具がなければ、なかなか化石は採れない。

いえ、100円ショップでマイナスドライバーとかハンマーを買ってくれば、それで掘れます。


大村正樹

川原の石をパキンと割ると、そこから何か出てくるわけですか?

川原の石というか、石の下にある昔の砂とかが固まったいわゆる泥岩ですね。あれはどちらかというと泥を固めた程度なので、手でポロポロ割れるんですよ。


大村正樹

へぇ〜。

だけど、代わりに化石もボロボロなので。


大村正樹

でも、そこに130万年前の昔の貝などが現れるわけですね。

ええ、そうですね。1回だけヒトデの体かウニの体だろうというのがあったんですけれど。


大村正樹

多摩川で!?

ええ。だけど、ポロポロポロポロッとこわれちゃって(笑)。


大村正樹

そもそも化石の定義って何ですか?

特に定義はないんですよね。


大村正樹

“化ける石”と書きますよね。

“化ける石”と書くけれど、考えてみたら氷付けのマンモスも化石といわれるじゃないですか。


大村正樹

はい。

ところが、マンモスは毛もあれば肉もあるし内臓も残ってるんだから。ということは、「なま物でも氷になったら化石なのか?」ということなので。


大村正樹

いわゆるミイラみたいなものも化石の範ちゅう?

化石になっちゃいますね。石油も一応、化石なんですね。


大村正樹

石油! 何でですか?

昔のプランクトンの死がいが積もって分解してできたもので、あれも化石というんですよ。


大村正樹

へぇ〜。

石になっているところが液体じゃないですか。


大村正樹

しかも、燃料で今使われているものも化石?

そうです、そうです。


大村正樹

じゃあ、われわれは化石を消費してるんですね。

そうですね。あれは恐竜時代の最後の白亜紀にできたものなので、だからまさに白亜紀の恐竜時代がなかったら存在してないんですよね。


大村正樹

化石だったらアンモナイトの渦を巻いている化石が有名で、あと映画の『ジュラシック・パーク』では、コハクみたいなものが出てきましたよね。あれも化石なんですか?

コハクも化石ですね。


大村正樹

化石?

化石です。あれは要するにマツヤニみたいなものが地面に落っこちたり川に流されたり土に埋まって、長い時間が経つとマツヤニの化合物がお互いに手を結びつくような感じで固くなって、固くなると宝石になるんですよね。


大村正樹

はぁ〜。

頑丈だし溶けないし、手に持ってもベトベトしない。しかも透明ですけてて、黄色くてきれいな色をしてる。時に鉄の成分とかが入り込んで、青く見えるコハクもあるらしいんですよ。


大村正樹

へぇ〜。

見たことはないですが青く見えるとか、オレンジとか赤とかいろんなものがありますから、昔の人は珍重して削って磨いて…。ピコピコピコピコやって、昔は一生懸命磨いていたみたいですね。


大村正樹

生き物は化石になりますよね。

ええ。


大村正樹

あとは貝でしょ。植物も、葉っぱの化石とかありますよね。

あります。


大村正樹

あとはどういうものが化石になりますか?

足跡とか…。


大村正樹

足跡も化石になるんですか!

フンも化石になりますね。


大村正樹

あっ、恐竜のフン。

ええ。


大村正樹

以前、恐竜のフンを化石として見せてもらったことがあります、この番組で。何でフンが化石なんですか? フンはフンであって、石呼ばわりするのはおかしいじゃないですか。

あれは切れますし、切ってみると結晶になっているので。「そもそもこれは本当にフンなのか?」という感じなんですよ。ところが、確かに見てると普通の石じゃない。なぜかと言ったら形がごちゃごちゃしていて不定形だし、砂とか土が混ざっているかというとどうも違う。「何だろう、これ?」と。「たぶん昔のフンが地層に埋まって、中身が別なもので置き換わっちゃったんだろうなぁ」という。「置き換わって岩石化してるんだろう」と。ある意味、化石ってそういうものなんですね。


大村正樹

はい。

一部のものは確かにマンモスみたいに生のものもあるけれども、化石は“化ける石”と書くごとく鉱物に置き換わっちゃうことがありますから。


大村正樹

だったら何万年も前の恐竜のフンを見つけても…。何百万年前ですよね、きっと。

一番新しいものでも7000万年前とか、それくらいのものに。


大村正樹

7000万年前の石になってるものって、「これはフンだ」、「これは肉の一部だ」とどうやって区別するんですか?

それは形ですね。


大村正樹

へぇ〜。

僕らは身の回りのものを何でも形で認識して、「これはこうだ」「あれはああだ」という。化石はある意味、形の学問なんですよ。


大村正樹

なるほど。

元の成分が残ってることもあるので、元の成分を調べる。成分だけしか残ってない時もあるので調べることは大事ですが、ところがさっき言ったみたいに鉱物に置き換わってしまっている。


大村正樹

はい。

僕らの体は炭素とか水素とか酸素という元素でできているけれど、それが長い時間のあいだに溶けて、代わりに珪素とか岩石をつくる鉱物に置き換わってくると形は残れども成分は残っていない。でも形を見れば分かるじゃないかということなんですね。


大村正樹

ほぉ〜。でも、勝手にイメージで「恐竜のウンチはこんな形をしてるよ」と思ったけれど、実は恐竜の心臓である可能性もあるわけですよね。

そうですね。心臓の化石といわれるのも見つかったことがあるんですね。


大村正樹

へぇ〜。

なぜかといったら、恐竜の化石の胸のあたりにコロンと丸いのがあって、「あれっ、何かこれ位置からして心臓っぽくない?」。


大村正樹

そういうことで決めちゃうんですか!

ある意味、そうですよ。ただ、「それはいいけど、ほかに証拠はあるか?」ということになってくると、「大丈夫か?」という話になってくるわけです。そこは科学者同士の意見の戦わせ合いですよ。


大村正樹

パズルみたいなもんですね。

そうです、そうです。


大村正樹

全体像の中で発見された場所がこのあたりだから、「これは心臓だ」、「これは肝臓だ」、「これは目ん玉」とか。

ええ、そうです。


大村正樹

すごい。これはすごい!

恐竜のお腹の中をよく見たら丸いものが2つポンとあると、「これ、タマゴじゃないの?」。もしも丸いものが2つポンとノドのところにあったら、それは「タマゴを飲み込んだろうけれど、2つ飲み込むことはおかしいよな」となるわけで…。ところが腰のところにあると、「これは産む直前じゃないのか?」と。


大村正樹

なるほど。

2つあると、「確かに一部のは虫類は、一緒に2個タマゴ産むよねぇ」という話になってくる。「じゃあ、恐竜はそうだったんだ」。で、恐竜から進化した鳥が1個しかタマゴを産まないところからすると、「たぶんどこかの過程で2個から1個に変化したんだろう」ということがだんだんいえるようになってくる。


大村正樹

へぇ〜、わかりました。時間になってしまいました。来週また化石採掘に関するお話をうかがってよろしいですか?

はい、問題ないです。


大村正樹

今週のサイコーは、フリージャーナリストでイラストレーターの北村雄一さんでした。


大村正樹

ロマンがあるなぁ。そこから想像して太古の昔に思いを馳せる。化石の話ね。実は北村さんの著書『みんなが知りたい化石の疑問50』の中に衝撃の写真が載ってて、新宿の三越アルコットの4号階段で使われている大理石みたいな石材にアンモナイトの化石が入ってますよ、という写真があるのよ。写真をみると確かに化石っぽく見えて、化石らしいのね。化石を採りに行かなくても、意外な石材の中に明らかに化石があるというお話なんです。興味があったら見に行ってみて。新宿三越アルコットの4号階段です。それでは、また来週も夕方5時半に会いましょう。キッズのみんな、楽しい週末を。バイバイ!