キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、ゴールデンウィークです。待ちに待っていたことでしょう。ご家族と一緒に過ごす人もとても多いと思うのだけれど、今日は思わずお母さんのお手伝いがしたくなるようなサイコーの登場です。お知らせの後。
今週のサイコーは、サイエンスライターの内田麻理香さんです。こんにちは。
こんにちは。
僕の目の前に美しいお姉さまがおかけになっていらっしゃいますが、内田麻理香さんは“カソウケンの女”という。
ウフフ。
自ら “カソウケン”というホームページを開設してらっしゃいますが、この“カソウケン”とは何ですか?
家庭科学総合研究所といいまして、家庭生活を科学するということをテーマにしてつくったホームページになります。
ということは、ラジオを聴いてくれてるキッズのお母さんの暮らしに密着したことを研究されているということですか?
はい、そうですね。
台所とか洗濯とかお掃除とか?
そうです。お母さん方が毎日されているようなことについて、「実はそこには科学があるんだよ」ということを解説したホームページです。
すばらしい! この番組にぴったりのサイコーじゃないですか。
ありがとうございます(笑)。
今日はゴールデンウィークなので、ぜひ母と娘でラジオを聴いてもらいたいなと思います。内田さんは『まりか先生のおいしい実験キッチン』(主婦と生活社)などなど、たくさんの本を出されていますが、最新刊は何という本ですか?
最新刊は、『科学との正しい付き合い方』という本です。
へぇ〜。それはどういう本ですか?
文系の方や科学にアレルギーを持たれているような方に対して、「そんな難しいことはないんだよ」、「科学は身の回りにたくさんあふれてますよ」ということを書いている本になります。
この番組の原点じゃないですか!
フフフフ。
今日はキッチンの科学をクイズ風にご紹介していきたいと思うんですが、ラジオの前のキッズのみんなも考えながら聴いてください。まず第1問、「魚を焼く時、焼き網に○○を塗っておくと魚がくっつかない」。バーベキューのシーズンですよね。これはバーベキューでも“あり”ですか?
はい、使えます。
バーベキューのネットに○○を塗ると魚がくっつかない。油?
油もそうですけれど、もっと使えるものがあります。
えっ、身近に手に入るものですか? 塩?
いい線、いってますね。調味料です。
調味料? しょうゆ? ソース? マヨネーズ?
う〜ん。
すみません、答を教えてください。
はい、お酢になります。
酢! でも、バーベキューに酢を持っていきますかねぇ…。
持ってかないですけれど、家にはあります。
お酢を塗ると、魚が焼き網からぺロッとはがれやすくなる。これも科学ですか?
そうなんです。魚はたん白質でできてまして、お酢はたん白質を固める働きがあります。ですからお酢を塗っておくと先に魚が固まってしまうので、網にくっつかないで魚がはがれやすくなります。
酢はたん白質を固める?
はい。固める役目があります。
あらかじめ網に酢を塗っておくと、魚のたん白質が固まるということですか?
はい、そうなります。
焼いた後、はがれやすいということ?
はい。
何か“おばあちゃんの知恵”にちょっと科学をプラスしたウンチクが入るわけですね。
はい(笑)。
すばらしい! じゃあ次の問題。「うどんのコシをつくるのは生地をしっかり踏むことと、生地に混ぜた○○の力」。よくガラスの向こうでおじさんがうどんをコネコネしてますよね。場合によっては足で踏む人もいて、うどんにコシを与えるためには、力だけではなくて生地に何かを混ぜるということですね。
そうです。
わかる人いますかねぇ。お母さん方だったらわかりますか?
多分うどんをつくられている方はわかると思います。
これはピザのパイ生地にも大丈夫?
そうですね。あとはパンをつくられている方は、ピンと来るんじゃないかなぁと思うんですけれど。
うどんだけじゃなくてパン、ピザ生地。あと、ソバとかは?
ソバはちょっと違うんですけれど。
じゃあ、小麦粉系のものだったら、それを入れるといいんですね。正解は?
正解は塩になります。
塩! これは分量が決まっているんですか?
分量はそれほど多くないという程度でいいんですけれど、グルテンというものがたん白質の中に入ってまして、グルテンが繊維を重ねてはらませてコシを強くするのに塩が必要なんですね。
へぇ〜。じゃあ、コシのあるシコシコした麺は、たいがい塩が入ってるということですか?
はい、そうです。味をつけるだけじゃなくて、しっかりグルテンでコシをつけるために入れているものなので。
グルテンは、ほかにどんなものに含まれている成分ですか?
含まれてるのは、やはり小麦粉ですね。
ほぉ〜。
あと、パンをつくる時に塩を入れ忘れてしまうと、きちんと固まらなくなってしまいます。
えっ、じゃあパンを焼く時に絶対に塩が入ってるんですか?
はい、そうです。
食パンね。食パンの袋を見ると塩分と書いてあるんですけれど、そういうことなんですか。
はい。
知らなかったぁ!
あれは味付けのためだけではないんですね。
昔、ポテトチップスのコマーシャルで「ポテトチップスの塩分は食パン1斤の塩分よりも少ないよ」といっていたのを観て、何でパンに塩が入ってるのかなと思ったんですが、それはパンをモチモチさせるためということ?
はい。
すばらしい! グルテンですね。
はい、グルテンです。
次は、「○○の皮を絞って取った液で風船を割ることができる」。今ゴールデンウィークで、あちこちのショッピングモールで風船を配ってますよ。何かの皮を絞って取った液をくっつけると風船が割れちゃう?
はい。
嫌じゃないですか、そんなの。割る必要ないのに、何で割るんですか?
でも、割った時にちょっと楽しいんですよね。パーンとなって。
針じゃなくて、そこに科学が?
そうですね。
正解は、何の皮を絞って取った液ですか?
これはオレンジです。
オレンジ?
はい。
ハッサクや夏みかんの皮だったらどうなるんですか?
それでも大丈夫です。みかんでも。
かんきつ類の皮を絞って取った液をつけると風船が割れるということ!?
そうです。
何でですか?
あれにはリモネンという成分が入ってまして。
リモネン。ちょっと待って、さっきはグルテン、4文字ばっかりだ。リモネン。
フフフ。リモネンは油性、油の成分ですが、ゴムがこわれてしまうんですね。ですから油性の成分をくっつけてしまうと、パーンと割れてしまいます。
ちょっと待って。風船によく油性マジックで顔を描きますよね。でも割れないですよね。
はい。
だけど、油性のオレンジの皮の液をつけると割れちゃうのは何でですか?
油性のマジックよりも、油性の成分が強いんですね。
そうなんですか!
ですから、発泡スチロールのトレイも油性で溶けてしまうので、オレンジの皮を絞った液で同じように溶けます。
やってみたい!
フフフ。
ちょっとラボにないね、発泡スチロール。今度、実験してみたいと思います。ちょっとお台所にオレンジがあったらやってみてください。発泡スチロールが溶けるんですね。
はい。
刺し身がのっているトレイなどは加工されているから大丈夫ですか?
あれもオレンジのリモネンですと溶けてしまいます。
溶けちゃう。
はい。
でも、刺し身のつまの横にたまにレモンとか置いてありません?
あの程度だと大丈夫ですけれど、皮の油を集めて絞ったものであれば溶けてしまいますね。
へぇ〜。リモネンね。わかりました。ちょっと待って、まだクイズがあったんですけれど、もう1問。「甘いあんこをつくる時、○○を少し入れると甘くなる」。答は?
これはよく“おばあちゃんの知恵”でいわれてますけれど、塩ですね。
やっぱり。スイカにも塩をかけると甘くなるというし。
そうですね。
あんこにも塩をかけると甘くなる?これは簡単にいうとどういうことですか?
実は、科学的な根拠がわかってないんです。
わからない!? おあとがよろしいです。ちょうど時間もなくなっちゃったんで。
フフフフ。
このあたり含めまして、また来週うかがってよろしいですか?
はい。
今週のサイコーは、サイエンスライターの内田麻理香さんでした。ありがとうございました。
ありがとうございました。
グルテンとリモネン。いろんな文字が出てくると忘れちゃうんですけれど、やっぱり台所とか食材にも科学はあるんだねぇ。これでますますお手伝いが楽しくなるかもしれないね。ゴールデンウィーク、親孝行してね。ということで、みんな、どうだったかな?さぁ、何で甘いものに塩をちょっと加えるとより甘く感じるのか?来週までゆっくり考えよう。ということで、キッズのみんなも楽しいゴールデンウィークを。バイバイ!