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「ガラパゴス諸島」(2)
コーチャー/小野幹雄さん(NPO法人日本ガラパゴスの会、東京都立大学名誉教授)
大村正樹&小野幹雄

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今回もミステリアスな島、手つかずの自然の島、ガラパゴス諸島を特集します。ガラパゴスには独自の進化を遂げた生き物たちがたくさんいるということですが、みんながイメージしてるのはカメやイグアナ系。その辺の話をお知らせの後、たっぷりうかがっていきます。


大村正樹

今週のサイコーも東京都立大学名誉教授でNPO法人日本ガラパゴスの会のメンバー、小野幹雄先生です。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

先週ガラパゴスのほんのさわりだけうかがったんですけれど、僕、本当に行きたいんです、この諸島に。

ぜひ行ってください。


大村正樹

本当に時間があれば行きたいんですが、とりあえず今日行った気分にさせてください(笑)。

はい。


大村正樹

今日は、日本ガラパゴスの会が出されている『ガラパゴスのふしぎ』という本があります。この本を見ながらお話を聞いていきます。僕、は虫類が大嫌いなんですが、ガラパゴス諸島は、は虫類の宝庫なんですね。

そうですね。ヘビはそんなに、やたらにいるわけではありません。


大村正樹

それはちょっと安心です。でもカメがいますよね。

ええ。


大村正樹

ガラパゴスというとカメ。表紙に出てくるのは、何てカメですか?

ガラパゴスゾウガメ ※写真提供:NPO日本ガラパゴスの会

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ガラパゴスゾウガメです。


大村正樹

ガラパゴスゾウガメ。象徴ですよね。

そうですね。スペイン語でこれをガラパゴといって、そこから名前が出たわけですから。


大村正樹

なるほど。このカメが、スペイン語でガラパゴというカメ。で、ガラパゴスという言葉が世界中の言葉になっているわけですね。

はい。


大村正樹

このカメがすっごく大きいことは写真を見てわかるんですけれど、具体的にどれぐらいの規模ですか?

長さは1メーター半ぐらいありますかね。目方が200キロ以上といわれてます。


大村正樹

重さが200キロ以上! めちゃくちゃ大きいじゃないですか。

大きいですねぇ。日本でも小笠原や四国の南などには大きなウミガメが来ますけれども、ウミガメはだいたい背中が平らなんですよ。ところがこのゾウガメは背中が丸く盛り上がってます。


大村正樹

ポコッと山みたいに。

わりに背が高い。1メーターはないですけれど、50センチぐらいまで上がりますね。


大村正樹

ウミガメの産卵も見たことがあるんですけれど、あのウミガメに比べると背中がこんもりしてて、何かヘルメットをかぶってるような“こんもり”の仕方ですね。

そうですね。


大村正樹

大きさやかわいらしさが全然違って、むしろこのガラパゴスのカメは怖いイメージですけれど、先生じかに会った時は怖くなかったですか?

それほど怖くは…。だいたいカメがそこら中に歩いてることはあまりなくて、飼われていることが多い。


大村正樹

飼われてる!?

ダーウィン研が飼って子どもを増やして現地に戻そうということもやってますけれども。


大村正樹

へぇ〜。

戻されたカメに出会うことはわりに少ないですから。


大村正樹

そうなんですか。研究のために人間が飼育していることが最近多くなってるんですか?

はい。研究のためだけではなくて人間が増殖のお手伝いをして、行く行くは現地に戻そうと。現にガラパゴスでは戻しているカメもいます。


大村正樹

新潟の佐渡のトキと同じですね。

そんな感じですね。


大村正樹

カメか。あとは、ガラパゴスというとイグアナですよ。

大きなトカゲね。


大村正樹

もうあれも気持ち悪いですけれど。あれはゾウガメを見るぐらいに同じような頻度でけっこういるんですか?

これはたくさんいます。


大村正樹

たくさんいる。頻度がはるかに高い?

はるかに高いです。


大村正樹

イグアナは、毒はあるんですか?

いやいや、毒はない。おとなしいですよ。


大村正樹

これはどういう生態系ですか?

ウミイグアナ ※写真提供:NPO日本ガラパゴスの会

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海に入ってエサをとるイグアナがいて、ウミイグアナというんですが…。


大村正樹

へぇ〜。

世界でも大変珍しい。トカゲが海に入るのは、おそらくこの種類しか見つかってないと思います。


大村正樹

このカメやイグアナは、相当昔のものなんですね。

はい。南米から移ったものでしょうね。


大村正樹

彼らは進化してるんですか?

それなりにしてるんだと思います。


大村正樹

例えば?

島ごとにカメの甲羅の模様が違いまして、島の人たちから見ると背中の甲羅を見ただけでどこの島のカメか分かるというふうな話があります。ダーウィンが行った時にその話を聞いて、たぶんこれは同じ先祖から分かれたものではないかと。それが生物進化の思想の始まりのひとつなんですね。


大村正樹

ふ〜ん。50ぐらいの島からなると先週うかがいましたよね。その島ごとにウミガメの甲羅の模様が違う?

模様が少しずつ違う。50全部にいるわけではなくカメのいる島はせいぜい20ぐらいでしょうけれど、それぞれの島で甲羅の模様が違う。その違いが、多分同じ先祖からのその後の進化の違いだろうとダーウィンは考えたんですね。


大村正樹

500万年ぐらい前からの島ですよね。

はい。古いところは500万年ぐらい。


大村正樹

その頃から進化の歴史で、甲羅の模様も変わってるということですね。

そういうことでしょうね。


大村正樹

人間もやっぱり島によって変わってくるわけですよね。

婚姻圏が別々であれば。


大村正樹

そういうことか。子孫ってことですね!

ええ、そういうことです。


大村正樹

そうか、そうか。そこで変わるわけですね。

人間は非常にいろんなところで婚姻しますから、そういうことはたぶんないと思いますが、カメはその島の中のもの同士しかおそらく子どもを産まないでしょうから。


大村正樹

へぇ〜。そのほか、先週チラッとお話をうかがったんですけれど、飛べない鳥。もともとは飛べた鳥ですが、ガラパゴスの進化の中で飛べなくなっちゃった鳥がいるんですよね。

コバネウ ※写真提供:NPO日本ガラパゴスの会

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そうですね。羽根があまり発達しなくて、コバネウという名前がついてます。


大村正樹

鵜ですか?

羽根が小さい。鵜の仲間です。


大村正樹

長良川の鵜?

鵜です。


大村正樹

食べても全部吐き出さなくちゃいけない鵜ですか?

はい、そうです。


大村正樹

かわいそうな鵜…。ガラパゴスにも鵜はいるんですね。

はい、います。


大村正樹

ガラパゴスの鵜は、自分で食べたいものは食べることができる?

長良川の鵜と種は違いますけれどね。


大村正樹

種が違うんですね。

あの仲間でコルモラントといってるんですが、羽根があまり発達してなくて飛べないものがあります。


大村正樹

へぇ〜。

小さな羽根の鵜という意味で、コバネウという名がついてます。


大村正樹

コバネウ。これは日本人だけですよね、コバネウと呼ぶのは。

ええ、日本語での和名です。


大村正樹

外国では何というんですか?

ウィングレスコルモラント。


大村正樹

ウィングレス、へぇ〜、羽根なし。これは羽根が退化したということですよね?

そうですね、あまり発達しなかった。羽根を使わないですから。羽根そのものはありますけれど、3キロ以上あるような体を空中に持ち上げるだけの飛翔力はないでしょう。


大村正樹

飛べない鳥は、鳥の範ちゅうに入れてもいいんですか?

それはニュージーランドのキーウィとかモアとかいますから。


大村正樹

ニュージーランドの国鳥ですね。

ですから、飛ぶ必要がなければ飛ばないですむ。そういうことはあったでしょうね。天敵がいなければ鳥だってそういう苦労はしたくないでしょうから。


大村正樹

じゃあ、コバネウは、いまだに天敵がいない状態でガラパゴス諸島で生活できてるということですね。

できてるはずです。


大村正樹

ガラパゴスに天敵がもたらされるという可能性はゼロじゃないと思うんですけれど。

いや、あります。イヌやネコとか人間が連れてきて、そのまま逃げ出すとか。はなはだしい場合は置いていくという話がありまして、これはガラパゴスでなくても小笠原でもそうですが、人間が持ち込んできて害獣になった。もともとの自然の生物にとっては害獣になった。そういうものはたくさんいます。


大村正樹

だから、そういうのを監視するためにも先生方の活動は必要なわけですよね。

エクアドル政府とかダーウィン研の指導もありますけれど、かなり本気になって外来の生物を排除しようという運動をずっとしています。


大村正樹

なるほど。ちょっと行きたくなったんですけれど、なかなか時間がなくて。でも行く時間がないのは言い訳に過ぎなくて、本当に行きたくなったら行くべきなんだよね。先生、ちょっと行く気になってきました(笑)。

ぜひ行ってみてください。


大村正樹

どこで乗り換えればいいんですか?

エクアドルの本土まで飛行機で行って、本土のグアヤキルとかキトの街からガラパゴスに行く飛行機が毎日2便、場合によっては3便出てる時があります。


大村正樹

わかりました。ほんとの自然を見にぜひ行きたいと思います。今週のサイコーは、NPO法人日本ガラパゴスの会のメンバーで、東京都立大学名誉教授の小野幹雄先生でした。ありがとうございました。

どうも失礼しました。


大村正樹

今日はこのラボに小野先生以外にもガラパゴスの会の方々がお二方お見えになってました。やっぱりみなさん、ガラパゴスのことを語る時はキラキラしてるんです。うらやましいなぁ。僕も去年行きたかったんですよ。話を聞いたら、やっぱりガラパゴスは外からの種に関しては非常にナーバスになっていて、観光客の持ち込むもの、なま物とか汚れているものとかに関しては過敏だということなんですよね。確かに生態系が乱れちゃうのは、ちょっとしたきっかけでガラガラガラッと乱れちゃいますからねぇ。ほんとにますます行きたくなりました。それでは、来週はもうゴールデンウイークだぁ。みんな、楽しい週末を。バイバ〜イ!