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「人類が地球にいる奇跡」(1)
コーチャー/眞淳平(シン・ジュンペイ)さん(エコ・パブリッシング)
大村正樹&眞淳平

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。3月も、もう終わりだけれど、あの大地震から2週間経ちました。みんな、どうですか?被災した方にはお見舞い申し上げます。停電をしたご家庭にもお見舞い申し上げます。僕たちは地球に住んでいる。地球に住んでると日本だけではなくて、例えば先月はニュージーランドでも大きな地震があったよね。ということで、あちらこちらでいろんないわゆる天災、自然災害が起きています。そういう自然災害を乗り越えながら人類は歴史を刻んできたわけです。まだまだ被災地では復興とは程遠い状況かもしれないけれど、やがては復興して、また人々の営みが東北地方でも始まるはずなんだよね。そういうわけで、人類が住んでるのは地球だけだよね。だから、僕たちが地球にいることを今日は今一度考えよう、という時間にしたいと思います。お知らせの後、人類が地球にいる奇跡を語るサイコーの登場で〜す。


大村正樹

今回のサイコーは2回目の登場です。前回は海のゴミに関して語っていただきました、エコ・パブリッシングの眞淳平さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

眞さんは岩波ジュニア新書から、『人類が生まれるための12の偶然』という本を出されている。僕たちが生まれたのは、12の偶然が重なって、僕たちがいるということですよね。

そうなんですよ。


大村正樹

これは、ぜひキッズたちに読んでもらいたい。まさにサイエンスという本です。偶然が1から12まであって、人類が生まれるための偶然がいろいろと書いてあるんです。まず3番が偶然3、「太陽からの距離が適切なものだったこと」。

そうですね。あまりにも近いと生命の存在にすごく必要な液体の水が蒸発してなくなってしまうんですね。


大村正樹

水星は近すぎてダメということですね。

金星

おっしゃる通りです。顕著な例は、金星です。金星は地球と双子の星とよくいわれていて、大きさもほとんど同じぐらいです。


大村正樹

はい。

つくっている材料もだいたい同じようなものなんですよ。ところが今は二酸化炭素が表面をおおってしまって、表面の温度がだいたい420度から480度ぐらい。もう強烈な暑さですね。ところが地球も誕生の直後、同じような状況だったんです。


大村正樹

へぇ〜。

その時は二酸化炭素が地球の表面をおおっていて、水蒸気がだいたい100気圧、二酸化炭素が60気圧でものすごく大変な暑さだった。1000度以上だったといわれています。それを何が変えたかというと、海の水なんです。


大村正樹

へぇ〜。

海の水が二酸化炭素を吸収したんです。


大村正樹

金星には海の水がないんですか?

以前はあったのではないかといわれています。ところが、海があまりにも地球と比べて太陽に近かったので蒸発してしまったんですね。


大村正樹

ふ〜ん。

いったん蒸発してしまうと、どんどんどんどん空のほうにのぼっていってしまって、宇宙に拡散してしまったんじゃないかといわれている。ですから、海はないんです。


大村正樹

そうなのか。じゃあ、偶然3の太陽からの距離が適切なものであって水があったから、ちょうど適温で僕らが生活できるということ。

そうですね。しかも、ちょうど水が液体でいられる0度から100度のあいだ…。


大村正樹

そうか、そうか。

温度は何万度も何十万度もあり得るんですけれど、たった100度の中だけが液体の水が存在できる温度なんですよ。


大村正樹

だから火星とかに行くと、水は凍ってしまっているから流れがないんですね。

おっしゃる通りなんです。


大村正樹

水・金・地・火・木。そうか、地球の地だけが適切なんだなぁ。

水っていうのはすごく大事で、その中にいろんな栄養分を溶かし込むことで、生物が生きられる環境を整える。


大村正樹

へぇ〜。次の偶然が「生物の大絶滅が起きたこと」。というのは、恐竜以外に大絶滅した生物はいるんですか?

実は地球の生命の歴史を見ると、ビッグファイブという5回ぐらいの大きな大絶滅があったといわれている。


大村正樹

そうなんですか!

その内のひとつ、一番最後のものが恐竜の大絶滅があった白亜紀の末のもので、それ以外にも4回あって、その理由はまだわからないものもけっこうあるんですが、温暖化が極端に進んだためではないかと、いろいろな説が出てはいるんです。 それぞれの大絶滅の時期に、地球の生命の種類の大半が滅んだといわれてるんですね。その中からまた新しいものが生まれてくる。もしもそれがなかったらどうなったか?一番極端な例が中生代の末、白亜紀末に起こった恐竜の大絶滅です。あれがもし起こらなかったらどうなったのかといと、おそらく恐竜はまだずっと繁栄してたんじゃないか…。


大村正樹

へぇ〜、そうなんですか。じゃあ、僕らは生まれてないですね。

おそらく生まれてないですね。


大村正樹

食べられちゃいますものね。

恐竜は2億年ぐらい繁栄してきたので、巨大隕石が落ちたことによって恐竜が滅んだのではないかという説がほぼ有力になって、確実視されてるんですけれど、もし起こらなかったとしたら、その後の6500万年ぐらいはおそらく繁栄を続けてたと思うんですね。


大村正樹

ふ〜ん。

いろいろ種は変わったと思うのですが。あるアメリカの研究者は、例えばの話として、では今、何がいったい地球を支配しているのか?という想像図を発表しています。白亜紀にトロオドンという大体2メートル弱のちょっと小さい二足歩行の肉食恐竜がいたんですね。


大村正樹

へぇ〜。

化石が見つかっていて、2メートル弱で小さいんですが、脳が大きい。今の哺乳類とも比べられるぐらい脳が大きかったといわれてるんです。しかし、おそらく高度な思考する能力、考える力を持っていたんじゃないかと考えられてるんですね。それがひょっとするとどんどんどんどん進化していって地球を支配してたんじゃないかといわれている。


大村正樹

トロオドンという人類みたいに二足歩行をする恐竜ということですね。

そうです、そうです。その想像図が発表されていて、ダイノサウロイドという名前をつけられてるんですが、絵を見ると結構怖い。


大村正樹

へぇ〜。

カッパというとちょっと語弊がありますけれど、くちばしがとがったような顔で非常に冷酷な、しかも冷静で頭の切れるような…。何だろう“冷たい天才”というようなイメージ。


大村正樹

白亜紀の恐竜が滅びる時代がなければ、まだ生きながらえていて、僕ら人間の代わりにそれが地球を仕切っていた可能性があるということですね。

これは可能性のうちのごくごく一部なので、実際そうなったかどうかは全くわかりません。ただそういうことを考えてもいいんじゃないか、それぐらい恐竜は今の世界を支配していた可能性はあるよということですね。


大村正樹

へぇ〜。ということで、さすがに時間がないので全部聞き切れなかったけれど、すごく勉強になりました。眞さん、こういう偶然で僕らは対話して、あるいはみなさんが生活しているわけなんですね。

そうですね。そこでひとつだけ申し上げておきたいのは、こういう偶然、実は12個以上あるんですけれど、われわれがこうやって生まれて生きていられるのは、多くの偶然が重なってできているから。やっぱりそれはみなさんに考えてほしいというか、それがあったからということを思って、謙虚に、あるいは今の社会をもっとつなげられる、これからも続いていけるようなものにできたらいいし、みなさんにそのための方法を考えてほしいなと思うんです。今、すごくいろいろな問題が起きてますけれど、これが本当に偶然の賜物だということをわかれば、もっと大切にしようと思う気がするんですね。


大村正樹

地球上に生きていることを当たり前と思わないで、そういう偶然があって僕たちがいるんだ、ということですね。

そうです、そうです。


大村正樹

ありがとうございました。みんなもよかったら、岩波ジュニア新書から『人類が生まれるための12の偶然』という本では、もっと詳しく書いてあるから読んでみてください。今週のサイコーは、エコ・パブリッシングの眞淳平さんでした。ありがとうございました。

ありがとうございました。


大村正樹

サイコーの眞淳平さんが、もし恐竜が滅びなかったら二足歩行をする恐竜トロオドンが未だに生きてたかもしれないよという話で写真を置いていってくれたけれど、トロオドンというのがまた気持ち悪い恐竜なんだ!こんなのがいたら、絶対人間食べられちゃう。こうやって、そういう偶然が重なって僕ら人類が誕生して、僕たちが楽しく生活ができてるという話なんだよね。今一度、偶然に感謝しましょう。それでは、来週からはみんな一学年上がっているから。またね!