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「東日本大震災について」(特別編)
コーチャー/大村正樹
大村正樹

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、3月19日ということで、みんな知っている通り先週の金曜日、この東京も揺れたよね。とても大きな地震が起きました。東日本大震災、これから先必ず記憶に残しておいてください。ものすごく大変な出来事が僕たちの周りで起きたんです。そして、東北地方のお友だち、多くのお友だちが今とても困っています。そのあたりを含めて、今日は特別編でお送りします。


大村正樹

ということで、ほんとに全国各地から東北地方を中心にさまざまな形の支援の輪が広がっています。
みんなも地図を見てもらうとわかる通り、先週この文化放送が聴こえているエリアは、もちろん揺れたよね。ちょうど授業中だったか、あるいはホームルームの時間とか学校が終わって運動場で遊んでいたとか、下校途中だったとか、いろいろな状況だったと思います。
先週はこのサイエンスキッズはお休みさせてもらいまして、みんなとは地震以来始めて会うんだけれど、みんなが住んでいる関東からずっと太平洋沿いに北に向かっていくと、まず茨城県。茨城の上に福島県があります。この福島県は今、原子力発電所で大変なことになってます。
そのうえ、もっとも多くの方が亡くなったり行方不明になっている宮城県があります。宮城県の仙台というところは、東北で一番大きい町です。その仙台のずーっと東側のエリアである海岸沿いが大きな津波に襲われました。そしてさらに北へ行くと、岩手県があります。ここにも非常に多くの被害が出ています。岩手県は日本で一番大きい県です。
そしてその北側に青森県があって、ほんとに東北地方一帯、日本海側ではない太平洋側、今年の冬は日本海側がものすごい雪だったんだけれど、太平洋側がこの春の声を聞く直前にこんなことになってしまいました。
ということで、みんなイメージできましたか?
この太平洋側には多くの人々が住んでます。お魚もいっぱいとれるんだよ。魚の養殖なども盛んです。そしてリアス式海岸、これは社会で習ったかなぁ。複雑に海岸の地形が入り組んでいるリアス式海岸でも知られているところが、非常に大きな津波の被害を受けた場所になります。 リアス式海岸は断崖絶壁になっているところもあれば、港が広がっていて、そこに漁師の方が集まって村をつくって、そして漁に出て魚をとって生活をする。そういう暮らしが何百年も前から行われていました。
そういうエリアが、津波によってあっという間にのまれてしまったんです。みんな、想像できるかな。じゃあ、「津波って何?」と思うでしょう。大村さんは何年もこのシークレットラボでいろいろなサイコーの話を聞いてきました。
みんなお風呂へ入りますよね。お風呂には洗面器があるよね。洗面器にお湯をはって、底をコーンとたたいてごらん。今すぐやらなくてもいいよ。イメージしてみてください。洗面器にお湯や水をはって、その中心をコーンとはたいてみると、この水面に波ができるのがわかるかな? 波がワワワワ〜ンと。この波がイメージでいうと津波。地震が海の底で起きると、海水が刺激されます。この刺激が震動となって、この洗面器のふちに当たるよね。これが波のイメージ。通常だったら波は海の風で起きるものだけど、津波に関しては震動で起きてくるわけ。これが津波のイメージです。
津波、なぜ逃げられなかったのか…。これはあっという間に来たという場所もあれば、2回目3回目で来たといういろいろな話があります。だから洗面器で波をつくってみると、確かに同心円状の渦みたいな波がいくつかできるでしょ。これがそのイメージね。
日本列島の内陸部で起きる地震は、基本的には津波はともなわないんです。だけれど海を震源とする場所は、やっぱり津波の恐れがあります。でも、海の底から震源となる地震はよく起きてるんだけれど、津波はその時の条件によるということなんです。
海から陸地への距離、震源から陸地への距離、それが近ければ津波が絶対起きるというわけでもなくて、距離というものが非常に影響してくるということです。しかし、このあたりがまだわかっていないそうです。だから、海の底で地震が起きたから津波が起きた。これをおぼえてください。
それからもうひとつ、福島県の原子力発電所のこと。これも科学の知識があれば興味を持ってもらえるキッズも多いと思うのですが、これは本当に大変なことになるかもしれません。でも、うわさだけで動いてはいけないよ。日本も責任を持って、電力会社の方も寝ないで頑張ってくれています。そして日本政府も一生懸命その情報を流してくれています。
そして今、計画停電ってありますよね。計画停電というのは、戦争が終わってもう65年経つけれど初めて実施されました。計画的に停電させることによって電気をうまく使っていきましょう、ということです。それほど今、関東地方を中心に電力がピンチなんです。
電車で通学してるキッズたちもいると思いますが、ダイヤが乱れたりして今週は大変だったと思うけれど、一斉に停電してしまうとパニックになっちゃうでしょ。だから計画的に情報を出して停電させて、停電しない人たちは節電をする。協力し合うのも今、とても大事です。
そして発電についてです。発電って、何で電気が起きるかわかるかな?
みんな自転車に乗りますよね。夜になると、ダイナモというのをタイヤにコトンとつけてライトをつけますよね。あれが身近な発電機です。モーターを逆回転に回すと電気が起きるといわれているんだけれど、自転車についてるダイナモは、みんながこぐエネルギーでタイヤが動いている。そのタイヤのゴムとダイナモの先端部分をくっつけることによって発電装置を動かしている。それで電気がつくというわけです。
それと同じで、発電機にはタービンという羽根みたいなものがついています。このタービンを回すのは水力発電だったらダムから水を放水して、その発電所の中にあるタービンを一気に回して電気を起こします。
火力発電所もそうです。火力発電所も火力の力で水蒸気を発生させて、水蒸気の力でタービンを回して発電します。原子力発電所も同じなんです。では、火力発電所と原子力発電所の違いは何かというと、火力は燃料、石油エネルギーで発電します。だけれど石油エネルギーに比べて原子力のエネルギーは、はるかにちっちゃいエネルギーで長く強いパワーを発揮することができます。これが原子力ね。その代わり、実は人体に害を及ぼす放射能を出してしまうんです。これが原子力のマイナスのところです。
実は少ないエネルギーで、ものすごく大きなパワーを出すことができて、この関東に住むみんなに電気を供給してくれてるエネルギーの主たるものが原子力なんです。その後に火力とか水力があるんだけれど、やっぱり今の日本は、原子力に頼らなければ、特に首都圏の電気はまかなうことができません。日本中の電気の40パーセントが原子力エネルギーだというぐらいに、日本はどうしても原子力のエネルギーに頼らざるを得ない状況なんだよね。
だから「必要必要」といわれながら、今回初めてといっていいぐらい、ものすごく大きな事故が起きてしまったわけです。この後、どうなるかまだわかりません。だけれど電力会社の人が一生懸命頑張ってくれてます。それを僕たちは見守りましょう。自衛隊や消防庁や警察も一生懸命放水をやってくれてました。しかし、なかなかうまくいかないけれど、うまくいったという話も出てきています。
ということで、今日はサイコーなしにして僕が一人で話しましたけれど、何となく地震報道を観ながらみんなが疑問に思ったこと、それから原子力エネルギーの話、そして被災地の話、そういったことをみんながわかってくれたらいいなと思いました。
この後は、日立ハイテクからのお知らせです。


大村正樹

計画停電という経験をしたキッズも非常に多いと思うんですけれど、ほんとに電気が使えないというのは、ものすごく大変なことだったと思うし、怖いと思ったキッズも多いと思うのね。本当にお見舞い申し上げます。そしてもちろん被災者のみなさんにもお見舞い申し上げます。被災した方が知り合いにいるキッズや親御さん、お見舞い申し上げます。
停電するとラジオがすごく大事で、ラジオをあらためて見直す機会になればと思います。復興にはまだまだ時間がかかりそうですけれど、番組はまた来週から科学の疑問を取り上げていきますよ。
それでは、来週も普段通りいきます。夕方5時半に会いましょう。