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「車のハイテク事情」(1)
コーチャー/高根英幸(タカネヒデユキ)さん(自動車ライター)
大村正樹&高根英幸

大村正樹

キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、みんなはこの番組をどういう状況で聴いてくれてるかなぁ。自分の部屋? リビング? それからお父さんが運転する車の中、というキッズもいっぱいいるんじゃないかな。僕もよく車を運転しながらラジオを聴くんですが、今日は車をテーマにしたいと思います。だからお父さんの運転を見ながら、「お父さんの運転する車はこういう車なんだな」とわかるような時間になるといいかなと思ってます。サイコーはお知らせの後、登場しま〜す。


大村正樹

今週のサイコーは、自動車ライターの高根英幸さんです。こんばんは。

こんばんは。


大村正樹

高根さんは、ソフトバンククリエイティブから『カラー図解でわかるクルマのハイテク』という本を出されてます。「車ってこんなハイテク装置がついてんの!」というような、車のパンフレットのあまり僕が読まない部分(笑)のことが写真や絵で描いてありますね。たとえば「インテリジェントペダル」「リアビークルモニタリングシステム」「ナイトビジョン」「空気圧警報システム」って何?「プリクラッシュ・セーフティシステム」って、何だよこれ? というぐらいの横文字が並んでいるんだけれど、高根さんは全部これをわかってらっしゃるわけですよね。

そうですね。やっぱり最近のユーザーは車を買う時にカタログやウェブサイトを見てると思うのですが、どうしてもそういう装備に関しては説明が不十分だと思ったんです。


大村正樹

はい。

それで、本ではお子さんからお年寄りまでわかりやすく解説したつもりです。


大村正樹

カタログやウェブよりも、もっと詳しくわかりやすくこの本には書かれてある。

なぜその装備が搭載されているのか、どういった仕組みで動いているかを中心に語っております。


大村正樹

なるほど。僕も車は好きですが、最近の車ってついていけないんですよ、正直いって。すごい機能がついてるんだろうけど、試すチャンスがないというか…。実際、安全装置などもエアバッグがいっぱいついてて、でもそれは事故にあわなければ開かないわけだし(笑)。事故は嫌だからやっぱり安全運転をするわけで、車のハイテクにあまり直面することはないんですけど…。興味があるのは電気自動車なんです。今年の初めにもサイコーの方が「これから日本は電気自動車が来るよ!」という話をされてたので、どうですか電気自動車は?

まず電気自動車は新しいけれど、古くもあるんです。


大村正樹

何でですか?

ガソリンエンジンが誕生してまだそれほど技術的に発達してない頃に、同時期に電気自動車が生まれてるんですよ。


大村正樹

へぇ。

しかも電気自動車というよりもハイブリッドカーですね。エンジンで発電して、それをバッテリーに蓄えて走るというものが、車が誕生したほぼ同時期に誕生している。


大村正樹

日本でも、ですか?

いえ、それはヨーロッパですけれど。


大村正樹

やっぱり自動車発祥の地で?

そうですね。けれど日本でも自動車がつくられた当初は、電気自動車もつくられてたんですよ。


大村正樹

そうですか。デパートの屋上の電気自動車じゃなくて?

ハッハハ。それはおもちゃですよ。


大村正樹

ちゃんと公道を走れる電気自動車があったのですか?

はい。まだ現存しているものもあります。


大村正樹

へぇ〜。でも、今のやっぱりハイブリッドカーはよりすごいし、いろいろな電気自動車が出たじゃないですか。あれは相当ハイテクになっているわけですよね?

そうですね。バッテリーとモーターの性能が上がったことが電気自動車を最近また登場させた理由のひとつですけれど、やはりネックになっているのは、まだ充電設備が不足していることです。


大村正樹

ですよね。

近距離であればガソリンエンジンよりも非常に効率いいですし、モーターは止まっている状態から走り出す瞬間に一番力が出るんですよ。


大村正樹

はい。

ですので、電気自動車イコール"エコだけど遅い"と思ってる方がいらっしゃいますが、実は間違いでとっても加速がいいんです。


大村正樹

そうなんですか!

はい。


大村正樹

何でですか?

ガソリンエンジンは最近どんどんどんどん研究されて、ガソリンが持っているエネルギーの3割から4割近くまで動力として取り出すことができるようになったのですが、バッテリーから電気を持ってきてモーターをまわしている場合は、直接的には7割から8割は駆動エネルギーに変換できるんです。


大村正樹

ちょっと待ってください。ガソリン1リットル入れても300ccか400ccぐらいしか車を走らせるエネルギーにしてないということですか?

そうです。


大村正樹

じゃあ、あとの6割から7割はどこに使われているんですか?

エンジンが熱くなってしまって、エネルギーとして放出してます。


大村正樹

知らなかったぁ。

あとは排気ガスとして出されたりとか…。


大村正樹

では、100パーセントガソリンの揮発性の高いエネルギーが走らせるためだけに使われているわけではなくて、3割から4割しか使われてないってこと?

はい。


大村正樹

電気だったらより効率よく7割から8割は走らせるエネルギーになるということですか?

もっとも充電設備に来るまでの充電ロスとかもありますので、そこを差し引いて考えるとそれほど効率は高くならないんですけれど、単純に自動車レベルで見ればガソリンエンジンよりも電気自動車のほうがはるかに効率が高いです。


大村正樹

そうですか。電気自動車みたいに地球になるべく負担をかけないという技術を自動車メーカーはいろいろと工夫しているようですが、例えばどんなものがありますか?

ガソリンエンジンの効率を上げるためには、今まではガソリンと空気を混ぜてエンジンに吸い込んでいたものを、空気だけをまず吸い込んで燃焼する時に直接ガソリンを中に噴射して燃やす−直接噴射というシステムですが、そういうものを採用したり、あまり力が必要ない時には一度エンジンの中に吸い込んだガソリンや空気を少しまた戻してあげて、少ししか吸い込まないで走ることで実際の排気量よりも少ない燃焼ガスで走っている車もあります。


大村正樹

国産車でもそういう技術が出てきてるんですか?

はい。先ほどおっしゃったように車のハイテクはエアバッグのように使わなければそれに越したことはないものもありますし、見るからにオートエアコンであったり、インテリジェントペダルは震動が来たりいろいろなことでわかったりはするんですが…。


大村正樹

ちょっと待ってください。高根さんの著書『カラー図解でわかるクルマのハイテク』から興味深い言葉で、例えば「エコアシスト」。今はエコの時代ですからエコアシストって何ですか?

エコアシストというのは、ハイブリッドカーは車自体が燃費をよくするためにいろいろな技術を導入してるのですが、最終的に運転するのは人間なので、雑に運転してしまえば燃費も悪くなったりする。やはりドライバーの意識を高く持ってもらうように、なるべく燃費のいい運転を心がけてもらうためのアシストをする機能ですね。


大村正樹

例えば、どういうことですか?

アクセルを踏み込む量を目安として表示したり、どれだけ環境にいい運転をしているかをレベルで表示してくれるんですよ。


大村正樹

へぇ〜。

もちろんそれを見て「頑張ろう!」という気になりますよね。


大村正樹

僕の車はついてない。今、ついてる車があるんですか?

ハイブリッドカー中心についています。


大村正樹

なるほど。僕の車に燃費計がついてます。あれ、けっこういいですよ。

そうですね。


大村正樹

限りなく10に近づけようと努力しますもの。

同じことです。


大村正樹

あっ、なるほど。

もっと詳しくなっているのが、エコアシストです。


大村正樹

あと、アシストがらみで「ブレーキアシスト」という項目があるんですが、これは何ですか?

ブレーキアシストは、一般のドライバーは危険な目にあった時に急ブレーキを踏もうと思っても、なかなか一度に強い力でブレーキを踏む習慣がないのでできない。


大村正樹

へぇ〜。

それによって追突事故が起こってしまうために自動車メーカーの方がいろいろ研究して、ブレーキペダルを踏む勢い、強くは踏まなくても速く踏んだ時などに「これは急ブレーキだな」と車のほうで搭載されたコンピュータが判断して自動的にブレーキを強めてくれ、ブレーキ能力を最大限に引き出してくれる。これによって衝突を防いだり、仮に衝突したとしてもぶつかった時の衝撃を少なくするように工夫しているんです。


大村正樹

ブレーキひとつにしてもコンピュータが制御しているということですか?

そうですねぇ。


大村正樹

ひと昔前、僕らが子どもの頃の車は踏んだ分だけブレーキの力が違うわけですよね。今の車は踏んだ分ではなくて、踏んだスピードとか緊急性のようなものをコンピュータが察知してブレーキのきかせ具合が変わってくるということですか?

そうですね。


大村正樹

知らなかったぁ。

最近の車では、前の車との車間距離とか障害物を感知して意図的にブレーキをかけてくれて、最終的には止まってくれる車もありますから。


大村正樹

僕、それが信じられないんですよ。たぶん今ラジオを聴いてらっしゃる人の中でも「俺の車ついてるよ」と思ってる人もいるかもしれないけれど、じゃあ実験でそんなことやって、もし万が一、事故を起こしてしまったら嫌じゃないですか。絶対それは大丈夫なんですか?

僕らは試乗などでは体験しますけど、一般の方が自分の車では実験してほしくないですよね。


大村正樹

ですよね(笑)。もうこんな時間。高根さん、この番組あっという間ですよね。

そうですね、早いですね。


大村正樹

来週またうかがってよろしいですか?

はい、ぜひ!


大村正樹

今週のサイコーは、自動車ライターの高根英幸さんでした。ありがとうございました。

ありがとうございました。


大村正樹

僕は子どもの時、家に車がなかったんですよ。ずーっと車に憧れてて、自分が免許を取って初めてわが家に車がやってきた時の感動は忘れられなくて。あれから25年、もう26年か…。ずっと車が大好きなんですが、高根さんもおっしゃってたけど、最近の人の中には車を買ってから処分するまでボンネットを開けない人もいるぐらいで(笑)。車ってほんとにハイテクだし、エンジンを見るだけでもすごく楽しいと思うんだよね。キッズのみんなも18歳になったら車の免許を取れるから、車に対する憧れを抱いてください。どうだったでしょうか?それでは、また来週も夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を。バイバ〜イ。