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「ゴミの問題」(2)
コーチャー/眞淳平(シン ジュンペイ)さん(エコ・パブリッシング)
大村正樹&眞淳平

大村正樹

キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今回も海のゴミの問題を取り上げます。そのゴミによって海の生き物たちが悲鳴を上げている。みんな、ここまで考えたことないでしょ。どういう実態なのか? お知らせの後、サイコーに聞いていくよっ。


大村正樹

今週のサイコーも先週に続きまして、エコ・パブリッシングの眞淳平さんです。こんばんは。

こんばんは。よろしくお願いします。


大村正樹

眞さんは海のゴミを掃除する方について取材活動をして、それを本にされている。『海はゴミ箱じゃない!』という本を岩波ジュニア新書から出されてますが、その海のゴミ、意図的に捨てたものもあれば意図的じゃないものもありますけれど、これが海の生態系に影響を及ぼしている。

はい。


大村正樹

さかなクンがいれば激怒するようなお話だと思うんですが、例えば海の生き物、どういう生き物が人間の出すゴミによっておびやかされているんですか?

非常にたくさん報告されているんですけれど、例えばアザラシの一種でモンクシールというのがいるんですね。


大村正樹

モンクシール?

ハワイの近辺にもいたりするんですが、そのアザラシが丸い輪っかのゴミなどで遊んでしまい、好奇心がけっこう強い動物なので、ゴミで遊んでいるうちに口にはまってしまう。そうなると自分じゃ取れないですから、何も食べられなくなって口を開けられないまま死んでしまったという例がかなり報告されているんです。


大村正樹

ちょっと今、ものすごくビジュアルが頭に入ってきちゃった。よくアザラシのショーがあると調教師が投げた輪っかを口の先にポンポンとやって、みんなに拍手を受けるけれど、それよりもっとちっちゃい輪っかが、遊んでいるうちに口について取れなくなっちゃうってこと?

そういうケースもありますね。


大村正樹

鳥の口ばしにゴムバンドをつけるようなもんですか?

おっしゃる通りです。


大村正樹

かわいそう!

そうですよねぇ。


大村正樹

そのアザラシの一種のモンクシールという生き物が、相当数死んじゃってるということですか?

数はちょっとまだわからないんですが、そういう例はいくつも報告されてます。


大村正樹

かわいそう〜。その輪っかは何ですか? 人間がやっぱり捨てたものですよね。

たぶん何かの梱包に使ったりとか、缶カラであったり…。


大村正樹

缶?

かもしれないですねぇ。


大村正樹

はぁ〜。缶に口ばしを突っ込んで取れなくなったりとか。いわゆる空き缶ですよね。それも猿ぐつわみたいになっちゃうということですか?

ではないかと思いますね。すみません、輪っかの細かいことについては、ちょっとわからないんですけれど。


大村正樹

かわいそう。あとはどんな動物が?

アシカは、漁で使う網にやっぱり興味を示すんですね。やはり好奇心が非常に強いので、鼻とかに引っかけて遊ぶことがよくあるらしいんですよ。


大村正樹

ほぉ〜。

で、やってるうちに首にその網がからみついてしまって、そうなると取れない。


大村正樹

あぁ、かわいそう〜!

どうなるかというと、取れないでそのまんま大きくなってしまう。


大村正樹

アシカが成長するということですか?

そうなんですよ。すぐに死ぬわけではなく何とか生きてることもあるんですが、そうすると首の肉がどんどん網でえぐれてしまうんですよ。


大村正樹

網は大きくならないけれど、アシカは肉体が大きくなるから網に沿って肉がハムみたいになっちゃうということですよね。

そうですね。


大村正樹

かわいそう!

大きな網だとやっぱり魚がとれなくなってしまうので、そのまま餓死してしまう。


大村正樹

好奇心旺盛だから「ちょっとジャレつこう!」と思ったら、からまっちゃうとか。

そうです、そうです。


大村正樹

はぁ、かわいそう…。あとは何かありますか?

やっぱりウミガメも網に引っかかってしまって、動けなくなって死んでしまう。その場合には溺れ死んだりするケースもあるんですね。


大村正樹

はぁ〜。去年、屋久島でウミガメの産卵を観ました。

そうですか。


大村正樹

すごい感動したんです。そのウミガメが網にからまって死んでしまう。

ええ。


大村正樹

かわいそう。これは、眞さんの本に実際に写真が載ってるんですね。

そうですね。


大村正樹

結局、だからこういうのって漁師の方は意図的じゃないにしても、そこにからんでくる動物たちに罪はないわけで。

そうですね。


大村正樹

やっぱり人間がケアしなければいけないし。

おっしゃる通りです。


大村正樹

実際、ボランティアで回収してる方々がいらっしゃるということですね。

そうなんですよ。


大村正樹

僕らは「海がきれいだなぁ。じゃあ、泳ごうか」なんて…。冬の海はあんまり人の手が加えられてないから、「ゴミが漂着してるな」と思うわけですよ。これからのシーズン、冬の海を見ながら、ゴミを見ながら、海で生きている生き物は四季を通じて生きているわけで、そういう生き物のことを考えると、やっぱりゴミについてはもっと関心を持たなくちゃいけませんね。

そうですね。ほんとに海のゴミによって生態系は非常に大きなダメージを受けているんじゃないかと考えられている。ですから海岸にあるゴミを取ることは、単に海岸をきれいにするだけじゃないんです。海岸は、いわゆる海の中を漂っているゴミをこし取っているような存在だと考えられてるんですね。


大村正樹

ええ。

海岸のゴミはしばらくすると波によって持ってかれ、また海の中に入っていっちゃうことがあるんですね。ですから海に流れ出す前に、海岸にあるうちに取らなきゃと考えるべきだと思うんです。


大村正樹

なるほどね。今の場合は網などちょっと大きいゴミの話ですが、例えば海の生き物たちが間違えて口に入れちゃうゴミはありますか?

あります、あります。


大村正樹

ありますよね。エサと間違えて食べちゃったりとか。

たくさんありますね。プラスチックの破片をたくさん食べているケースがあって、例えばハワイでコアホウドリという海鳥がいるんですが、死がいが3羽ぐらい見つかって、日本のNPOに送られてきたことがあったんですね。実際にお腹を裂いて調べてみると、中から歯ブラシやおもちゃ、使い捨てライターとかたくさんいろいろなゴミが見つかったんです。


大村正樹

はい。

海鳥の場合は、消化を助けるために石を飲み込むことがあるんですよ。


ただあまりにも見つかった量が多かったので、ここまで多いと胃がかなりふくらんでしまうので、物をあまり食べられなくなってしまう。そうなってしまうと、これは死んでしまうしかないかなと思います。歯ブラシや使い捨てライターがお腹の中に入っている写真を見るとビックリしますね。


大村正樹

今これ138ページに写真があって、歯ブラシの欠けた部分じゃなくて、もう丸々飲み込んでいる! コアホウドリが。

丸々なんですよ。歯がないため咬んで割ったりできないので、そのまま飲み込んでいるんですねぇ。


大村正樹

形状が細長いから小魚に似ているとか、それで食べる?

もしかすると、それもあるかもしれないですね。


大村正樹

う〜ん。

ハッと思うのがハワイで回収された死がいだったんですが、そのゴミの中には日本製の使い捨てライターなど日本製のものがけっこうあったんですよ。


大村正樹

日本に台湾とか中国のゴミが漂着するけど、日本人が出したゴミがハワイのほうに行ってるというのはけっこうショックだったでしょう?

まさにそういうのを見ると、日本から流れたゴミがハワイに行ってるということがわかりますね。現にハワイのNPOの人が会議の場で、「日本からのゴミが多いんじゃないのか」というようなことを問題提起したことがあったらしいんです。


大村正樹

なるほどねぇ。こういうものってお尻から出すわけにいかないゴミもあるわけじゃないですか。

あります、あります。そうなるとやはり消化もできないですから、食事をとることができなくなって死んでしまうというケースも少なからずあるんじゃないかと思ってます。


大村正樹

僕は大人だから意図的に捨てることはないけれど、うかつにゴミをポロッと落っことしたりしたら、これからは回収するようにします。海のために!

そうですねぇ(笑)。あとは海岸清掃に参加していただくことも非常に大事じゃないかと。


大村正樹

賛成! ボランティアで。

ええ。


大村正樹

絶対に海沿いの子どもたちとか、年に何回かそういうのがあるので積極的に参加して!

そうですね。一人だと参加しづらいと思うので友達を誘ったり、あるいは家族を誘ったりして参加することはいいかなと思います。キッズのみなさんは川とか海にゴミを捨ててないと思うんで、ほかの人が出したゴミを回収するなんて抵抗ある人もいるかもしれないけれど、海岸にあるゴミはいつかは海に流れ出していって、海の魚や鳥が食べてしまったりすることもありますから、それを防ぐためにも海岸にあるうちに回収しようと考えることがすごく大事じゃないかと思います。


大村正樹

なるほど、わかりました。眞さんは非常にやさしい方ですね。

いやぁ、どうでしょうかねぇ(笑)。


大村正樹

もう時間です。2週にわたってありがとうございました。

ありがとうございました。


大村正樹

今週のサイコーは、エコ・パブリッシングの眞淳平さんでした。


大村正樹

あらためて眞淳平さんの著書『海はゴミ箱じゃない!』の写真を見てるんだけれど、助手と泣いてるのよ。だから、こういうのって悪意はないにしても、人間が何気なく処理を怠ったものがほかの生き物たちに思わぬ被害をこうむらしているわけでしょう。こういうふうに僕らも生きる時に考えなくちゃいけないね、自分たちの暮らしだけではなく。それでは夕方、来週また5時半に待ってるけど、その間に海の掃除をしたいと思った人は明日、海岸へ急げ! バイバイ。