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「知られざる海の世界」(1)
コーチャー/瀧澤美奈子さん(科学ジャーナリスト)
大村正樹&瀧澤美奈子

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。 さぁ、気がつけば6月最後の放送で、もうすぐ夏がやってきて夏休み。夏休みといえば海。今回のテーマは海だけど、みんなが知らない海の世界。ということでお知らせの後、サイコーの登場で〜す。


大村正樹

今週のサイコーは、科学ジャーナリストの瀧澤美奈子さんです。こんにちは。

こんにちは。よろしくお願いいたします。


大村正樹

瀧澤さんは深い海、深海に詳しい。

はい。
大村正樹

どういうこと? 海の底が好きなんですか?

はい(笑)。もともと深海に興味を持ったのは、宇宙の生命に興味があったからなんです。


大村正樹

宇宙と深い海がどういう関係があるんですか?

深海のような特殊な環境で、もしかしたら地球上の生命が誕生したかもしれないといわれていて、宇宙のどこに生命があるかという環境を考えた時に、深海は非常に重要な場所になるんです。


大村正樹

僕、行ったことないですけれど、それほど珍しいというか、僕らの世界からかけ離れたのが深海ということですか?

そうですね。私たちからするとすごくかけ離れてはいるんですが、地球が誕生して、まず生命が誕生した時の環境に近い環境がまだ残っているようなところです。


大村正樹

へぇ〜。確かにエベレスト、チョモランマは人間が行けるから、ある程度の極点とか頂点は極められますけれど、海の底って何か未知の世界ですよね。

       

そうですねぇ。

大村正樹

日本の『しんかい6500』という潜水艦に乗ったことがあるんですって!?

はい、そうなんです。

大村正樹

すご〜い!

そうなんです(笑)。


大村正樹

だって、なかなか乗れないですよね。

そうですね。


大村正樹

日本の潜水艦といっても、最近問題になっている魚雷を発射するような潜水艦ではなくて、研究用の潜水艦ということですよね?

科学調査研究船という船です。日本には、世界で今稼動している研究船の中で一番深く6500メートルまで潜れるという『しんかい6500』という船がありまして。


大村正樹

日本の潜水艦が世界で一番深く潜れるんですか?

そうですね。現在のところは。

大村正樹

へぇ〜、すごい!それに乗ったことがある?

はい。

大村正樹

ちょっと自慢じゃないですか!

そうですね(笑)。

大村正樹

潜水艦の中って、どんなになってるんですか?

よくみなさんがSF映画などで観る宇宙船のコックピットってありますね。あんな感じですごく狭いんですが、球体の中に研究者とパイロットと副パイロットの3人が乗れるような構造になっています。


大村正樹

今ラボに模型を持ってきてもらってるんですが、窓がないんじゃないですか?

窓は前に3つちっちゃいのが、下のほうに。

大村正樹

あっ、あった!目みたい。こんなちっちゃい窓じゃヤダ!

アハハハ。

大村正樹

こんなにちっちゃいんですか!?

直径が12センチの窓です。


大村正樹

わぉ〜!

ちょうどCDの板と同じぐらいの大きさです。

大村正樹

CDの大きさの窓が3つあるだけで、乗ってる人はへばりつくようにして外の景色を見る?

そうです、そうです。

大村正樹

で、あとはカメラみたいなものでモニターに映し出されるんですか?

はい。

大村正樹

でも、何かやっぱり人間の本能からすると、肉眼で360度見たいとか、ならないですか?

そうですね。360度はちょっと難しいですけれど、1人にちっちゃい窓がひとつずつあるので、面白いものが見つかると、みんなでちっちゃい窓をのぞきこんでいる。


大村正樹

ディズニーシーのアトラクションのイメージですかね、潜水艦は?

あぁ〜、あんなに快適ではないです。


大村正樹

快適じゃない。

椅子がなくて…。


大村正樹

えぇ〜!

ただ真っ平の小さな丸いところに寝そべるようにして。


大村正樹

そうなんですか。乗ってみた〜い!

フフフフ。
大村正樹

とにかく日本の『しんかい6500』は、6500メートルまで潜ることができる高性能の潜水艦?

そうです。


大村正樹

世界で一番深い海は何メートルまであるんですか?

1万920メートルです。


大村正樹

えぇ〜!? 1万920メートルということは、『しんかい6500』よりも4400メートルぐらいも海が深い。

はい。


大村正樹

まだ世界一の高性能の潜水艦でも、残り4400メートル行けない深さまであるということですか?

そうですね。


大村正樹

そこは、誰も行ったことがないところですね。

いえいえ、実はあるんです。


大村正樹

誰が行ったんですか?

昔、ちょっと名前が出てこないんですけれど、海外の人が船をつくって行ったんですが、行ったところでガラスにひびが入ってしまって、1回でその船は使えなくなってしまったんです。命に別状はなく帰ってきたんですが。


大村正樹

生きてるけれど、その人は7000メートルぐらいまで?

1万メートルぐらいまで。


大村正樹

世界に海の底まで行った人はいるけれど…。

こうやって定常的に行けるような船はないです。


大村正樹

その潜水艦は1回でダメになっちゃった。

はい。
大村正樹

でも、すご〜い!行きたいなぁ。ロマンチックな話ではないですか。

そうですね。
大村正樹

今日は『しんかい6500』の海の底に着挺した映像や音を持ってきてもらっている。映像と着艇の音って何ですか? 見ていいんですか?

はい。どうぞ、どうぞ。
大村正樹

ラジオだから、みんな耳をすませてね!音も入っているというから。(海底の状況、数字等を告げてる人の声)海の底に白い粉がいっぱい舞ってる。

マリンスノウという粉ですが、正体はプランクトンとか魚のフン、死がいのかたまりですね。
大村正樹

マリンスノウ?

ええ。これがず〜っと降りやまない雪ですね。
大村正樹

だいたい深いところに行くとこういう風景ですか?

そうですね。1000メートル前後だと、それぐらいですね。
大村正樹

1228メートルとあって、今その世界の映像を見てますが、何か粉雪が舞ってるような状態になってます。これは自然光が入ってくるんですか? −ちょっと待って、終わっちゃった!

フフフフ。
大村正樹

音しなかったじゃん、これ。音した? −あぁ音声を楽しめってこと?

フフフフ。


大村正樹

ガツンって、潜水艇がどこかへぶつかったようなのかと思ったら、そうじゃない。なんだ、わかった。

アッハハハ。


大村正樹

すごい、楽しかった(拍手)。初めて見た。1228メートルの映像で、潜水艇の中は乗組員の方が音をやりとりしてて、目の前はマリンスノウの世界。

はい。
大村正樹

自然の光、太陽光は到達するんですか?

海域にもよるんですが、私が潜ったところはマリンスノウがたくさん降り続いてるので、あまり光が海の中に入っていかない。だいたい135メートルぐらいまで海の中はブルーですが、170メートルぐらいまで下がると灰色になってきますね。
300メートルぐらいになると、もう真っ暗です。
大村正樹

じゃあ、沖縄のサンゴ礁の海はきれいだけど、135メートルぐらいまで行くと、もうブルーは失せて灰色っぽくなってくる。

沖縄は、実はマリンスノウが少ないんですよ。もう少し透明度が高いので、もう少し下まで光が入っていると思います。
大村正樹

おおむね300メートルの深さに来ると、太陽光の届かない世界ということですか?

だいたいそういうことですね。


大村正樹

知らなかったぁ。5キロ10キロぐらい透明で太陽の光があると思ったら、そうじゃないんですか?

そうなんです。


大村正樹

ということは、海の底300メートルまで行ったら、もう深海の世界で。

だいたいそうですね。光がなくても生きていかれる。あるいは薄暗い光を利用した生物がいるんです。それが、深海生物です。


大村正樹

日の光を浴びないで生活している深海魚、深海生物の世界がそこにはある。

だんだんだんだん始まっていくという感じですね。


大村正樹

瀧澤さんは、それを体験したことがあるということですね。

はい。


大村正樹

この番組、意外に時間が短いんです。

フフフフ。


大村正樹

もう終わっちゃいます。だから、ご主人と一緒に来週もまた−実はラボになぜかご主人が来てるんです。お二人で来た方、初めてです。

そうですか(笑)。


大村正樹

夫婦で、ちょっと感動しました。来週も来ていただいてよろしいですか?

はい。


大村正樹

ということで、来週また詳しい深海生物の話を聞いてみたいと思います。今週のサイコーは、科学ジャーナリストの瀧澤美奈子さんでした。ありがとうございました。

ありがとうございました。。


大村正樹

瀧澤さんに聞いたら、『しんかい6500』という潜水艇は、お客さん1人しか乗れないんだって。3人乗りで2人は操縦する方で、1人だけ乗れる。ということで、瀧澤さんは1人だけ乗れたということですごい!1人しか乗れないから、家族旅行で潜水艇はあり得ないということだね。すごいよね、これ!でも、どうやったら乗れるのかなぁ。行ってみたいなぁ。ただトイレはないということなので、海の底で「トイレ、行きた〜い」と思ったら大変なことになる。いやぁ、興味深かったなぁ。それでは、また来週も5時半にね、バイバイ!