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「宇宙“花伝説”」(1)
コーチャー/長谷川洋一さん(有人宇宙システム)
大村正樹&長谷川洋一
大村正樹

キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。 今週のテーマは宇宙。花、“花伝説”ということで、みんな覚えてるかなぁ?去年宇宙飛行士の若田光一さんにサクラの種を持っていってもらって、宇宙に滞在したそのサクラの種を地球で育てようという夢のあるプロジェクトを語ってくれた方がいらっしゃったんだけど、今日はそのサイコーがお知らせの後、登場します。


大村正樹

今週のサイコーは、1年ぶりに来てくださいました。本当に僕が大好きな方で、“ロマンチック・アンクル”というか、宇宙の話をしだすと目をキラキラしてやまないおじさまでいらっしゃいます。有人宇宙システムの長谷川洋一さんです。こんばんは。

こんばんは〜。

大村正樹

お会いしたかったですよ〜。お久しぶりです。

久しぶりです。

大村正樹

去年ですよね。“花伝説”ということで、長谷川さんは、国際宇宙ステーションに日本人で初めて長期滞在した若田光一さんに夢を託した。

そこなんです!

大村正樹

ちょっと今キッズに、どういう夢だったのか語っていただけますか?

はい。宇宙ステーションが飛んで、若田さんも頑張ってますけど、宇宙で何をやっているかというと、どうも難しい科学の実験を科学者がやっているとか、技術者が何か作っているとか、こういう印象があると思うんです。「それだけじゃいかん!」と思いまして、「みんなが参加できる宇宙でのイベントはないかな?」というところから考えたんです。


大村正樹

はい。

それで、例えばキッズのみんなが身近な花の種を集めて、これが本当に宇宙へ行って帰ってくる。そしてそれを自分で植えてみる。こんなことがあったら、一人一人が宇宙計画のメンバーになれるじゃないですか。こういうのは、今までほとんどなかった。これをやってみたかったんです。


大村正樹

宇宙実験として、いろいろな実験を若田さんが送ってくれたりしましたね。あれは若田さん発の情報でもありながら、全国からアンケートをとって採用されたものがあったじゃないですか。

ええ。

大村正樹

じゃあ、今の花の話は、もっと身近な話ということですね。

そうですね。

大村正樹

で、選ばれた花がサクラですが、何でサクラなんですか?

やっぱり日本の花ということで、誰でも知っていて、そして古い日本の文化をうたってくれるもの。僕たち、私たちの分身として代わりに宇宙旅行をするにふさわしい花は何かなと考えたんです。


大村正樹

へぇ〜。じゃあ、選んできたサクラの種を若田さんに託して、宇宙に行ってもらったということですね。

そうです。

大村正樹

日本人が宇宙に行って、もう20年以上ですよね。

20年ですか…。今年でちょうど20年目ですねぇ。

大村正樹

こういうふうに宇宙飛行士に花の種を託すのは、初めての試みだったわけですか?

おそらく、これだけ大々的に全国各地から集めたのは初めてだと思います。

大村正樹

全国各地から集めた!?

そうなんです。

大村正樹

北海道から…。

沖縄までですね。

大村正樹

沖縄まで! 例えば有名なサクラで、首都圏に住んでいるキッズたちになじみの深いサクラはありますか?

三春滝桜 「三春滝桜」
写真提供/takizakura.com

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例えば、福島県にある三春滝桜。

大村正樹

あの有名な一本の…

そうですね、一本桜。それから、山梨県の北杜市にある山高神代桜。


大村正樹

はい。

樹齢二千年のサクラがあるんですが、こういう千年、二千年ぐらいの本当に古いサクラを中心に日本中から14本のサクラを選びました。

大村正樹

えっ、千鳥ヶ淵のサクラは何で選ばれなかったんですか?

千鳥ヶ淵のサクラ 「千鳥ヶ淵のサクラ」

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ソメイヨシノなんですね。私たちが公園でふだん見かけるサクラは、最近植えられたソメイヨシノという種類で、種がつかないんですよ。

大村正樹

えっ、何で!? その三春のサクラとかは種がつくんですか?

つくんですね。

大村正樹

何という種類ですか?

エドヒガンザクラというんですが、野生のサクラ。

大村正樹

えっ、何それ!? ソメイヨシノは人工サクラということですか?

実はそうなんですよ。

大村正樹

知らなかったぁ!!

ソメイヨシノは、江戸時代にハイテクで作られた人工の園芸品種です。

大村正樹

江戸時代からもハイテクという言葉があったということですか?

あったかどうかは…(笑)。

大村正樹

人工的に交配して作られたサクラは、種がつかない?

そうなんですよ。

大村正樹

じゃあ、エドヒガンザクラとか、ほかに種がつくサクラはどんな種類ですか?

例えば、ヤマザクラですね。これは野生の種類なので種がつきます。

大村正樹

はい。

ヒカンザクラ 「ヒカンザクラの実」

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それから、ヒカンザクラというのが、すごく南の沖縄にあります。


大村正樹

ヒカンザクラ? それはヒガンザクラと違うんですか?

ええ。ヒガンザクラではなくてヒカンザクラ。

大村正樹

“にごらない”サクラ、それは種がつく。

つきます。

大村正樹

すみません、サクラの種ってサクランボの種ですか?

そうなんです。


大村正樹

えっ、やっぱり! うっそ〜!?

その通りです。

大村正樹

ちょっと待って。そうなんですか。じゃあ、種がつくサクラは、サクランボの実がなるんですか?

そうですね。ただスーパーで売ってるサクランボみたいに、大きくて甘くはないです。

大村正樹

おいしくないの?

おいしいんですよ、これが。

大村正樹

おいしい!?

はい。

大村正樹

知らなかった〜。

ハハハハ。

大村正樹

衝撃! まぁいいや、ちょっと脱線しちゃった。

なかなか宇宙へ行きませんねぇ(笑)。


大村正樹

ごめんなさい(笑)。じゃあ、種がついたサクラを全国14ヶ所から集めて、それを長谷川さんが取りまとめて若田さんに渡したんですか?

もちろんNASAのスペースシャトルに渡したんですけれども、渡す時のパックの仕方をちょっと話していいですか?


大村正樹

種をピッと渡しちゃダメなんですか?

そのままパッと渡してもよかったんですが、袋に入れました。NASAのスペースシャトル、宇宙ステーションに乗ってもいいよ、というNASA公認の袋です。何とみなさん、買うことができるんです。


大村正樹

持ってきてくれたんですか?

これなんですけど。

大村正樹

見せて、見せて!

はい。

大村正樹

何これ? ちょっと待って。カタカナ書いてあるよ。「ジップロック」、「フリーザーバッグ」、「内容物」…。これ家の冷蔵庫にありますよ。ジップロックじゃないですか!

そうですよね。スーパーでよく積んであるジップロックバッグ。あれなんですよ。


大村正樹

えっ、ちょっと待って。今ここにある現物が、宇宙に行ったジップロック!?

そうですよ。若田さんがさわったものです。


大村正樹

この中にある種が、サクラの種!?

そう。


大村正樹

宇宙に行って帰ってきた! 国際宇宙ステーションを体験してるんですか!?

そうです。


大村正樹

うわぁ〜、すげぇ〜!!

返してくださいね(笑)。


大村正樹

イヤだ(笑)。

ハハハハハ。

大村正樹

ちょっと待って。すごい! これ、ちゃんとホームページにアップするから見て! ちゃんとバーコードが付いてて、有人宇宙システムのロゴのステッカーがついて、その横に英語で“COSMO FLOWER 2008PACKAGE”(コスモフラワー2008パッケージ)、――宇宙の花のパッケージと英語で書いてある。ちゃんとバーコードで管理されてるということですか?

そうですね。宇宙ステーションは広いですから、なくならないように(笑)。ちゃんとスーパーと同じように、バーコードでどこにしまったか管理してるんです。


大村正樹

ちょっとすごい! “花伝説・宙(そら)へ”と書いてある、日本語で。

ハハハハ。

大村正樹

これは、若田さんと一緒に国際宇宙ステーションで滞在したほかの乗組員の方は、「What is it?」、「これ何?」なんて聞きますよね。

そうですね。ですから、宇宙飛行士たちには事前に「これは日本の誇りであるサクラとかユリとかスミレとか、日本の花の種が入ってるんだよ」とちゃんと説明してあります。


大村正樹

「オ〜、クレイジー!」なんていわれなかったですかねぇ。

「いやぁ、いいねぇ!」と。

大村正樹

「オ〜、グレイト!」とかいって。

「チェリー、チェリー、チェリー」と。

大村正樹

そうか、チェリーで知られてるからOKなんですね。

はい。

大村正樹

チェリーの花、そうか、チェリーブロッサムといいますね。

チェリーブロッサムですねぇ。

大村正樹

じゃあ、世界的にサクラは知られているわけですね。

もちろん、そうです。

大村正樹

へぇ〜。あと、この“花伝説”のパッケージには、サクラのほかにササユリ、コスミレと書いてありますね。

はい、そうです。

大村正樹

何ですか、これは?

サクラだけではと思い、ユリやスミレも加えて、本当に日本のなじみの深い、古くから、万葉の昔からなじみの深い花を選びました。

大村正樹

3種類の種で、主にサクラだったんですね。

そうですね。

大村正樹

今、目の前に宇宙を旅したサクラの種とユリの種と――ユリは球根かと思ったんですけど、種も…。

種なんですよ、これ。

大村正樹

えぇ〜! 僕、常識ないのかなぁ。

いえ、いえ。

大村正樹

それと、スミレの種。実際に飛ばすところは立ち会ってないんですよね?

いや、行ったんですよ!

大村正樹

えぇ〜、すごい! ちょっと待って。来週、そのあたりの感動的なお話、あるいは種が帰ってきてどうなったのかの話を伺ってよろしいですか?

はい、もちろん!

大村正樹

なごり惜しいなぁ。来週がまた楽しみだ。今週のサイコーは、有人宇宙システムの長谷川洋一さんでした。ありがとうございました。

ありがとうございました。



大村正樹

長谷川洋一さんは、ランダムハウス講談社から『花伝説・宙へ!』という本を出版されてるんですが、裏表紙を見ると、本当に宇宙空間というか国際宇宙ステーションの中、無重力の状態で浮いている“花伝説”のサクラの種が写ってるんだよね。ラボにそんな種が来てくれたなんて感動だなぁ。 それでは、来週も夕方5時半に会いましょう。明日はバレンタインデーだけど、学校休み。ちょっと、ちょっと切ないかな? バイバ〜イ! !