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「新幹線のスピード(2)」
コーチャー/井上孝司(いのうえこうじ)さん(乗り物ライター)
大村正樹&井上孝司
大村正樹
キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。
今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」先週、番組の終わりに寝台車の話をして、1週間ブルートレインのことを考えていました。僕が子どもの頃はブルートレインが全盛期で、東京駅に朝早く行って、昼頃までずーっとブルートレインの写真を撮って過ごしていたんだ。キッズのお父さん世代にもそういう人が多いんじゃないかな。いまは東京から出発するブルートレインが少なくなって、寂しいですね。今日も電車の話をいろいろ聞いていきます。
大村正樹
今週のサイコーも前回に続きまして、ライターの井上孝司さんです。こんにちは。
  こんにちは。
大村正樹
最近、寝台車が少なくなっちゃって切ないですね。何で新幹線は寝台車がないんですか?
  寝台車は夜出発して朝着くものだから、夜通し走ります。ところが新幹線は、夜は線路を手入れする時間なんです。
大村正樹
へぇ〜、手入れですか。だけど、寝台車なんて1本走らせればいいんだから、通過した後に手入れしたらいいじゃないですか?
そういうわけにはいきません。手入れをする時は電気を止めなきゃいけないし、人が現場まで行かなきゃいけない。
大村正樹
はい。
  線路を手入れする特別な車両を、必要なところまで持っていかなければいけません。そうなると、その間は線路をふさいでしまいますよね。
大村正樹
確かに。点検で思い出したんですが、10年ぐらい前に関が原あたりのカーブがきつい所で、新幹線のレールのボルトが抜かれるという事件が起きたのはご存じですか?
ああ、ありましたね。
大村正樹
危ない事件ですよねぇ。
すごく危ないですよ!
大村正樹
犯人は捕まっていないんです。保線係の方は、新幹線の安全を守るために夜通し働いているんですね。
そうなんです。
大村正樹
ところで、九州新幹線で博多と新八代がつながると、新幹線で鹿児島中央まで行けるって言われていますよね。
  線路はつながります。
大村正樹
所要時間は6時間半ぐらい?
そうですね。
大村正樹
ちょうど夜中の12時頃に出たら、6時半に着く。僕の嫁さんの故郷が鹿児島なんですよ(笑)。飛行機も高いし、寝台ができたらいいなと思っているんですけど、それは難しいですか?
難しいです。昼間に点検しようとしても、電車が何分かごとにボンボン走ってますから、危なくてできないんですよ。
大村正樹
なるほどね。
夜にまとめてやるしかないので、車両は走らせられない。
大村正樹
じゃあ、毎晩点検しているんですね。
してます。
大村正樹
今夜も誰かが新幹線の保線をしているわけですね。
実はもうひとつ理由があります。夜に走ったら、線路の脇に住んでいる人が騒音で寝られなくなってしまうでしょう?
大村正樹
そうかぁ。速度を落としてもダメですかねぇ。
はい。
大村正樹
分かりました。あきらめます。新幹線は騒音の問題が大きいんですね。
そうなんです。
大村正樹
それから、僕は最近『電車でGO!』にはまっていまして、運転台のツクリは大体分かったんですが、新幹線の運転席はわかりません。
井上さんは、新幹線の運転席に座ったことはありますか?
座ったことはありませんが、写真はたくさん見ています。
大村正樹
『電車でGO!』で再現される特急や在来線の運転台とは違うんですか?
  そんなに変わらないです。
大村正樹
スピードメーターは?
スピードメーターで違うのは、“今、何キロまで出していいよ”と、スピードの横にランプが点くんです。
大村正樹
じゃあ、『電車でGO!』みたいにオーバーすることはないわけですね。
  オーバーすると勝手にブレーキがかかります。
大村正樹
へぇ〜。新幹線のスピードメーターは何キロまであるんですか?
  時速300キロまで出せますから、メーターは400キロぐらいまであります。
大村正樹
でも、運転手さんが出したいと思っても制御されちゃうわけですよね。
そうです。安全のために自動的にそうなっている。
大村正樹
いつか時速320キロまで走行できるようになったら、その範囲が広がってくるわけですね。
  そうです。
大村正樹
物理的には、レールを走る鉄道は最大何キロまで出ると思いますか?
一発勝負の記録では、フランスで時速570キロぐらいまで出したことがあるそうです。
大村正樹
レールの上を? フランスで?
はい。
大村正樹
570キロ!
はい。
大村正樹
宮崎で実験した日本のリニアモーターカーは、何キロ出るんでしたっけ?
  あちらも500キロ以上は出ているんです。
大村正樹
でも、フランスのTGVでは、リニアモーターじゃなくても570キロが出ているという実績があるんですね。
山梨リニアは、もっとスピードを出してるはずです。
大村正樹
山梨リニアという実験もあるんですか?
中央高速に乗って、河口湖に行く途中の上を通っている…。
大村正樹
あっ、都留のところだ。
そうです。
大村正樹
あそこも時速500キロ?
500キロ以上出しています
大村正樹
リニアモーターカーは、ルートで揉めていますよね?
  そうですね。
大村正樹
結局、いつになったらできそうですか?
  2025年と言われていますが、何しろまだ山梨にチョロッとあるだけですから、どうなるのか…。
大村正樹
新幹線の専門家から見て、リニアモーターカーは日本の東京〜大阪間の大動脈の輸送の足として成り立つと思いますか?
  東京〜大阪間だけなら成り立つと思います。
大村正樹
そうですか。
  どうしてかと言うと、たくさんの人が行き来するからです。やっぱり人が行き来する所じゃないと、いっぱいお金をかけても無駄になっちゃう。
大村正樹
じゃあ、東京〜大阪間は大丈夫。でも、名古屋で停まるかとか、どこを経由するかで揉めてますよね。長野に停車駅を作ることは、井上さんから見るとどう思いますか?
単純に一人の電車好きとしては、「あまりちょこまか停めないでよ」と思いますよねぇ(笑)。
大村正樹
なるほど、一気に「名古屋ぐらいでいいでしょ」という感じですか?
子どもの頃は、「ひかり」が停まらずに素通りされる町に住んでいました。
大村正樹
どこに住んでいたんですか?
  浜松です。
大村正樹
そうですか(笑)。
だから素通りされる側の気持ちは分かるんだけど(笑)。
大村正樹
レールだけ引かれて、素通りされちゃうのは切ない。浜松っ子としては、「ひかり」号が通過して、やっぱり切なかったですか?
  停まった時、1日1本だったけど大騒ぎだったんですよ(笑)。
大村正樹
ですよねぇ。今では「ひかり」はほとんどの駅で停まるようになりましたよね。昔は「こだま」だけでしたからね。
  そうなんです。
大村正樹
じゃあ、逆に駅を作って通過されるよりは、レールだけのほうがいいという考えもありませんか?
  確かに。“物は言いよう”ですね(笑)。
大村正樹
新幹線とリニアモーターカーの作りは、全然違うわけですよね。
  はい。
大村正樹
リニアモーターカーは、本当に浮いているんですか?
浮いてます。
大村正樹
接点はないんですか?
ないです。
大村正樹
じゃあ、地上何ミリかの所を浮いて、スルスルスルと行くわけですよね。
10センチぐらい浮いている。
大村正樹
10センチも浮いているんですか! へぇ〜。
すごく強い磁石があって。
大村正樹
リニアモーターカーは浮いていますが、新幹線は夜中に見ると、パンタグラフから青い火花をピシピシと散らしながら走っているのが見える。あのパンタグラフはずっと架線に触れてるんですか?
離れると火花が飛ぶんですよ。
大村正樹
へぇ〜。じゃあ、あの速度でもちゃんと上の架線と密着しながら走っているんですか?
  走ってます。
大村正樹
あれも結構大変ですよね。
  大変です。最近はパンタグラフの数を減らして色々と工夫したんで、あまり火花が飛ばなくなったんです。火花が飛ぶのも騒音の原因のひとつになるので、その対策をしたおかげで最近はすごく静かになりました。
大村正樹
今は夏休みなので、新幹線をテーマに自由研究する場合、どんなことをテーマにしたらいいでしょうか?
  そうですね。もし図書館で昔の時刻表を見ることができたら、昔と比べてどれぐらい速くなったか分かりますよね。
大村正樹
今、東京〜新大阪間は約2時間30分ですね。僕が子どもの時は3時間半だった。新幹線ができた時は4時間だったそうですね。
  そうです。
大村正樹
僕が答えを言っちゃったらダメだ(笑)。自由研究のテーマにならない。
大丈夫ですよ。まだ他の路線がいっぱいありますから。
大村正樹
色々な新幹線の今昔を見たり、それがなぜ速くなったか調べたり。
その過程で車両がどう変わってきたか。時刻表を見て、「こんなに早くなったよね」と並べてみるとか。
大村正樹
あぁ〜いいですねぇ。他には?
そうですね。ちょうどこれから夏休みですから、浜松と仙台にある新幹線の工場で、一般公開があります。ぜひ行ってみてほしいですねぇ。
大村正樹
新幹線の車両の?
はい。分解して整備する実演があったりしますから。
大村正樹
新幹線の分解整備。
クレーンで車体を吊って、持ち上げて見せたりとか。
大村正樹
分かりました。じゃあ、今年の夏は浜松か仙台で新幹線の解体か、あるいは築地でマグロの解体ショー。
ハハハハ。
大村正樹
「どちらを選ぶかは君次第だ!」ということでよろしいですね。
はい。
大村正樹
ありがとうございました。楽しかったです! 今日のサイコーは、ライターの井上孝司さんでした。ありがとうございました。
ありがとうございました。
大村正樹
新幹線の解体整備は、『新幹線なるほど発見デー』といって、仙台と浜松で本日開催していました。

浜松は明日26日の日曜日も、JR東海浜松工場で入場無料で開催してます。今日の放送を聴いて新幹線に興味を持ったら、ぜひ浜松に行ってみてください。
レール
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