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2018年01月15日

第158回直木賞の受賞作はこれ!!


今回の注目はなんといっても藤崎彩織さんの『ふたご』です。

もし受賞すれば大騒ぎになるでしょうし、
ただでさえ受賞作はベストセラーが約束されているところで
SEKAI NO OWARIのSaoriの作となれば、ミリオンも夢ではないでしょう。

又吉直樹さんの芥川賞の時のように、こんどは直木賞が事件になるのです。


それでもやはり今回は受賞はないと予想します。

もちろんデビュー作でこれだけの作品を書いた作家です。
実力の持ち主であることは間違いありません。

だからこそもっと書いてほしいのです。

彼女のつくる曲や詩の世界観からいえば、
ファンタジーも書けるかもしれないし(直木賞とファンタジーは伝統的に相性悪いとはいえ)、
それこそ彼女が学んできたクラシック音楽の時代を舞台にゴシックロマンなどもありかもしれない。

試行錯誤の痕跡もあらわなこのデビュー作ではなく、
藤崎さんの書いた2作目、3作目を読んでみたいと思うのです。
おそらく選考委員も同じような感想を持つのではないでしょうか。


そんなわけで、注目度の高い藤崎彩織さんは今後に期待、となると、残り4作品となります。

ここでぼくは、今回の賞レースの隠れテーマを見つけてしまいました。

それは「同志社大学」。

今回の直木賞のキーワードは、「同志社の戦い」なのではないか。
同志社出身者とはすなわち、文学部卒業の門井慶喜さんと、大学院修了の澤田瞳子さん。

受賞作はこの二人のうちのどちらかのような気がします。
うーん、どっちだ……。


悩みながらある日、書店の中を徘徊していると、不思議な場面に遭遇しました。

ふと目をあげると、向こうから本を持ったおばさんが歩いてきます。

これからレジに向かうのでしょう、そのおばさんは本を小脇に抱えるのではなく
大事そうに両手に持って、しかもなぜか表紙をこちらに向けているではありませんか!
こっ、これは……!?

ぼくは勝負事において、この手の偶然に過剰に意味づけをするタイプ。
間違いなくこれは神のお告げです。天啓です!

グレーのダウンジャケットを着たそのおばさんが掲げていた本は、
嗚呼!まるで保護色のようなグレーっぽい表紙をしているではありませんか!

そう、その本の名は、『銀河鉄道の父』!!

ということで、第158回直木賞の受賞作は、
天啓に導かれて、門井慶喜さんの『銀河鉄道の父』と予想いたします。


あ!それから、ついでに芥川賞の予想も。

今回の掘り出し物はなんといっても
若竹千佐子さんの『おらおらでひとりいぐも』でしょう。

74歳の桃子さんの一人暮らしを描いたこの作品、
岩手弁がなんともユーモラス。
笑ってそしてホロリと泣けて、人生を思いっきり肯定する最強の終活小説です。

著者は岩手県遠野市出身。
55歳から小説講座に通いはじめ、
本作で昨年文藝賞を史上最年長の63歳で受賞しました。

それにしても、この「おらおらで ひとりいぐも」というタイトルどこかで……あっ!
宮沢賢治の「永訣の朝」だ!

著者は遠野市、賢治は花巻…・・・あつ!
ここにも隠れキーワード、「岩手県」が!!

どうやら第158回直木賞と芥川賞は、
どちらも岩手県と宮沢賢治がらみのようです。

直木賞 『銀河鉄道の父』  門井慶喜 (講談社)

芥川賞 『おらおらでひとりいぐも』 若竹千佐子 (河出書房新社)

今回はこれで決まり!!

投稿者 yomehon : 2018年01月15日 05:00